ちょうど読んでいる時に（時差投稿です）
直木賞候補に選ばれた嶋津輝さんの「カフェーの帰り道」です。



東京の上野にあるカフェーで平和な
大正から昭和の戦前、戦中、戦後へと
語り手を変えながら時代が進んでいきます。
表紙もその頃の流行りだったという銘仙のお着物風です。

 

竹久夢二の美人画っぽい女性と
戦地に行った息子との手紙のやりとりを
描いたお話は泣けました。
母親が戦地の我が子に一番伝えたいこと
「無事の帰りを待っている」と書くと
検閲に墨で塗り潰されることになるから
書けないと・・・・・。
愛する人への言葉が黒く塗り潰されるって
尊厳をも踏み潰されるようではないかと
一緒に痛みを感じました。

 

戦争の悲惨さと理不尽さも静かに
描かれていました。
古い邦画のような雰囲気の物語でした。

 

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