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「木曜日にはココアを」
2019年11月14日

昨日は小春日和の一日だったのですが
今朝は大嵐でしたね。
一雨ごとに寒くなって熱いココアの
美味しい季節になりました。



青山美智子さんの「木曜日にはココアを」は
それぞれの独立したお話が
日常のささいな出来事で繋がっていて
知らずに誰かの癒やしになったり
癒やしを受け取ったり、
そんな素敵なことが起こります。

 

各章にテーマカラーがあって
シドニーの町を描いた
オレンジとターコイズの章が好きです。
小説って自分の知らない場所に行けたり
経験できたりが楽しいですよね。
一生行くことはなかろう(飛行機怖っ)
色彩豊かなシドニーの街を
体感できたキブンです\(^_^)/。

 

明るい未来が予感できる穏やかな終わり方で
心に休息が欲しい時にまた
読み返したいと思いました。

 

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金澤syugenは、衣装コーディネート、
生家ご出立や挙式サポート、フォトプロデュース、
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「極上の罠をあなたに」
2019年11月6日

深木章子さん「極上の罠をあなたに」は
四つのお話が便利屋で繋がっている
背徳のミステリーです。



政治家、医師、刑事、弁護士といった
登場人物が悪人ばかりでこういう裏社会が
あるのかしらん。
罠を掛けたつもりが罠を掛けられます。
便利屋が悪人たちを翻弄し小気味良く
悪事の連鎖が解きほぐされていくのです。
作者がもと弁護士さんということでの
臨場感もあるようです。

 

今回、興味深いのは深木さんの経歴です。
60歳過ぎての小説家デビュー、
それまでの経験を文筆活動にいかされていて
現在72歳で物語に鮮やか仕掛け
なんともかっこいい女性です。

 

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「魔法がとけたあとも」
2019年11月1日

奥田亜希子さんの「魔法がとけたあとも」は
病気の不安、容姿のコンプレックス、
家族との諍い、仕事の行きづまり、
人との距離の測り方に迷う、などなど
誰もが抱える日常の中の負の部分が描かれています。



若さや健康や美貌、可愛いかった我が子、
恋するときめき、順調にまわっていた仕事、
それらは、すべてある意味「魔法」であると。
魔法がとけたあとも生きていかなきゃいけないし
あとの時間の方がはるかに長くて辛いわけで。

 

どのお話もほんわかあたたかく
最後は晴れやかな気分になれます。
日常にありがちな悩みを抱える
主人公が一歩前に進む瞬間が描かれています。

 

追記
魔法がとけたあとも魔法の中にいた時の
記憶にはげまされることがあります。
幸せな瞬間の写真は大切ですね。
写真を見返すと宝石のような時間が
よみがえってきますから(*^_^*)。

 

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「ライオンのおやつ」
2019年10月29日

小川糸さんの「ライオンのおやつ」は
死をテーマにしているのですが
ファンタジー感もあってあたたかな気持ちになれる物語でした。



余命宣告を受けた33歳の雫が選んだ
終の住処ホスピス「ライオンの家」は
柑橘の香りがする瀬戸内の海が見える島にあります。

 

「生まれることと死ぬことは背中合わせ」と
言う言葉が印象的でした。
「入り口は反対側から見たら出口」と。
ああ、なるほど
と、心地良く腑に落ちます。

 

「生きることは、誰かの光になること」
すでに意識が遠のいている車椅子の雫が
大切な人に「別れの悲しみではなく、
美しい海と空と光の記憶」を残してあげたいと
葡萄畑に行くシーンはもう顎先まで水浸しになりました。

 

夕食後、読みだしたら止まらなくなって
最終章手前では、嗚咽になるくらいに泣いて
翌日、目が腫れあがりました。
あと、最期に食べたいおやつは
何かなってあれこれ思い出を取り出し楽しみました。

 

心を浄化したい時に、繰り返し読み返したいものです。
かなりのおすすめです。

 

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「スナック墓場」
2019年10月25日

嶋津輝さん「スナック墓場」は昭和の
懐かしい邦画を彷彿とさせる七つの人情話です。



表題作「スナック墓場」まさに、レトロな
場末のスナックが舞台の切なくなるお話でした。

 

一番好きなのは「駐車場の猫」です。
いつもの地域猫を見かけないと
不安になる主人公の気持ちわかります。
金澤syugenの通勤の道中
いつもの時間にいそうな子がいないと
どうしたのかな
誰かに保護されたのかな。
だったらいいのだけど
などと考えますから。

 

特別なことも起きず、各章は
結末らしくないぼんやりとした結末があって
きっとこんな日常がつづくのだろうなぁと
想像できる平和なお話しでした。

 

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「のっけから失礼します」
2019年10月21日

三浦しをんさんの自虐ネタエッセイ
「のっけから失礼します」は
ノリツッコミも軽快で何度も吹き出しました。



「心を動かされると、文章化したい」
すごくわかります!
私も感動すると稚拙ではありますが
文字にしたくなります。

 

しをんさんは、すごく知的なんだけど
子供みたいに脳内妄想がとまりません。
身近の出来事をいろんな角度から観察していて
日常に「あるかもね」くらいのことも
特別に楽しい出来事にしてくれます。
擬人化や比喩が秀逸で、例えば
オンボロな自転車を「うちのぼうや」と言い
まるでその自転車に意思が
あるたみたいに書かれているのです。

 

心がきれいな人しか見えないインクで
書かれた巻末おまけ、私には見えました!
和歌山アドベンチャーワールドの
楽しさはわかります!
坊主と開演前から順番ついて
1日20組限定だったかの
「パンダ舎バックヤードツアー」と
「イルカとふれあい体験」をゲット!
もてもてパンダの永明パパの勉強もして
ぐうたら感いっぱいのパンダ舎で
リンゴのおやつあげ体験しました。
イルカにイワシをあげてイルカの肌に
触れたらツベツベのゴム長靴の感じでした。
あと、フラミンゴの羽根は高貴な触感で
ペンギン撫でたら手が生臭くなりました。
人間がオリに入ったカタチの車での
サファリツアーでライオンにトングで
生肉あげるのはびびりできず坊主にまかせました。
キリンに歩道橋みたいな高いとこから
エサをあげるのは平和な感じです。
赤ちゃんパンダは、たまらなく
可愛くて5回見に行きましたっけ。

 

閉園までいたので動物や鳥たちが
各お部屋に帰って行くところも
見られました。
飼育員のお姉さんと歩くカピパラと
しばらく一緒でカピパラがトコトコ
先に歩いて違う通路に行きお姉さんに
呼び止められて「あ!間違った」って
顔が可愛いらしいことでした。

 

あと、飛行機が嫌いもわかるわかるでした。

 

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「縁 YUKARI」
2019年10月18日

小野寺史宜さんの「縁」は心がほっこりするような
五つのお話が繋がってゆきます。



笑顔がいいのは強い、泣き顔より笑顔、真顔よりも笑顔。

っていい言葉でした。

 

日常のイラつきや妬みや虚栄心、
人のココロの奥底に潜む闇な部分が
穏やかに描かれていて
嫌な気持ちにならずに受け止められました。

 

読後、最終章で主人公のもとに
靴を直しに来た人って誰だったんだろう?
って、読み返し、ああ、きっと!(*^▽^*)
そんな明るい未来を想像できる
終わり方をするお話は好きです。

 

ほんの少しの幸せが日々の励みになって
人は生きているんだなぁ。
人との縁はどこかで繋がっていて
大切に結んでゆきたいと感じました。

 

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「世話を焼かない四人の女」
2019年10月11日

麻宮ゆり子さんの「世話を焼かない四人の女」は
自分を強く持っている個性的な女性達が
元気に活躍するお仕事小説でした。



第一章では猫ちゃんがいなくなって
車にひかれていないか
いじめらていないか
ヘンなもの食べていないか
寒くないか、などなど一緒に心配しました。

 

この作家さん、初読みでしたが
描写が新鮮なのです。
例えば、日和さんがドイツパンを作るシーンでは
機械から取り出したパン生地を
「ぐにゃりと気を失った美少年のようだ」と言い
生地を寝かせた後は
「生気と艶を増していく」とまるでパン生地を
尊ぶべき命があるように描かれています。


 

空気の読めない斎木くんが全編に登場しますが
必ず水玉アイテムを一点身につけていて
水玉を好きな理由が
「命を表す水のしずく」であって
「規則正しい、幸福の象徴」と言います。
そして、疲れないか?ってくらい
自分自身の決め事をいくつもキチンと毎日守っているのです。

 

斎木くんに限らず適材適所、
それぞれの個性が理解され
発揮できる場所があったらとても
素敵な社会になるのだろうと感じました。

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「平凡」
2019年10月4日

無数の選択から成り立っている人生。
大なり小なり「たられば」を思うことがあると思うのです。



角田光代さんの「平凡」は、もしあの時
別の道を選んでいたらというお話でした。

 

表題作の「平凡」では、ずっと昔に
理不尽な別れたかたをした男性の人生を
「ど平凡であれと呪い続けた」と言う女性。
なんと強烈な!
が、それは「波乱万丈なんかじゃなく
平凡に生きていてほしい」と願いに近い
感情だったというのです。
別れた男性の今の暮らしが穏やかで
あって欲しいと知らず知らず願う女性にうるっときました。

 

むっつの短編集には、妬み、僻み、
恨み、嫉み、見栄、未練と人間味ある感情が
鮮やかに描かれているのですが
重たくもドロドロもしていなくて、
やっぱり今生きている時間が現実なのだ
と、読後感は清々しいものでした。

 

自分がこの選択をして正解だったと
他の誰かの評価じゃなくって
自分自身で思えたらと素晴らしい人生
だったと言うことですかね( •ॢ◡-ॢ)-♡。

 

表紙のデザインが牛乳石鹸の青箱の
猫ちゃん、決して平凡ではないですね。

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「夏の騎士」
2019年9月30日

百田尚樹さん「夏の騎士」は、
共感できるエピソードもいっぱいの
ノスタルジー小説でした。



昭和時代の六年生のひと夏の冒険&
成長が描かれています。
小学生の男の子ってみんな
秘密基地を作りたがるのかな。
我が家の坊主も仲良し三人組で
基地づくりしてましたっけ。

 

友情と恋心のチカラは偉大で
力を合わせて困難を乗り越えていく
姿は清々しいことでした。
気付きで人は成長する
自己啓発本のように心にとめておきたい
言葉がいくつもありました。

 

夏の名残りのよな暑い日に読めて良かった。
セミの啼き声でなく鈴虫の音の
季節ではありましたが。
読後感は爽やかさ残る瑞々しい青春物語でした。

 

子供だけに見えた世界あったんだろうな。
いいお友達に出会えて良かったね。

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「虹にすわる」
2019年9月27日

瀧羽麻子さんの「虹にすわる」は
夕飯後に読み始めスラスラっと一気に読みました。



慎重すぎる真面目な主人公と
感性というかノリで生きている後輩
二人のコンビネーションがつくりだす
日々は、ほほえましくもありました。

 

物づくりが好きな二人が
「座る人にぴったりの椅子」を
作りあげてゆく様子が金澤syugenが
ウェディングを創作する姿勢と
似ているとこがあると感じました。

 

モノづくりをする人のお話しが好きです。
心地いいオーダーメイドの椅子を
作り続けたという二人の夢が叶いますように☆”

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「空から森が降ってくる」
2019年9月23日

森の中の家で創作を続けている
小手鞠るいさんの「空から森が降ってくる」は
時々おとぎ話のような愛らしさを感じられるエッセイでした。



 

森にはなんと多くの物語が秘められているのだろう。

花が咲く感動
野生の生き物の愛らしさ
深い樹木の香り
さまざまな雪の色
季節を迎える感動と草花や動物との再会の喜び
停電や豪雪、猛暑、容赦ない動物の命の連鎖。
自然の非常や過酷さを受け入れて
逞しくもしなやかに暮らす日々が綴られています。

 

庭に植えた薔薇や睡蓮を鹿に食べられて
悔しがるのだけど野生の鹿が庭に
来てくれることを喜んでいたり
家のそばの池に来る熊の成長を
見守っていたりするのです。
小熊を連れて来たり恋人同士でじゃれあう様子が
熊もユーモラスで可愛い仲間のようです。
時々、ウルウルっとくるページもあって
あ、愛猫の思い出話はボロ泣きです。

 

「生き物の死体を見つけたら葉っぱで
包んで森まで運ぶ」そうです。
森で生まれ育った魂は
「森に還ってこそ成仏できる」というのです。
自然の優しさや懐の深さを感じ
心あらわれるエッセイでした。

 

追記

オレンジのかぼちゃはpumpkin
で、深緑のかぼちゃはkabochaなのだそう!
日本語が英単語になっていてびっくり☆”

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「ムスメからおとうさんへ。」
2019年9月17日

なかがわみどりさんとムラマツエリコさんの
「ムスメからおとうさんへ。」はイラストも
ほっこり愛らしいことです。



第一章では顔が水浸しになりました。
読みながら、思いだしたのは幼い頃、
夜中に熱を出した私を抱いて
小児科へと父と母が走っている光景です。
朦朧とした意識の中だったろうけど
鮮明に覚えています。

 

友達が家に来て父に会うと
「お父さんかっこいい」「お父さんきれいな顔してる」
って言われたこと、鼻高々だったなぁ♪
(私は、残念なことにちっとも父に似てやしない)
思春期は反抗しっぱなしでごめんなさい。

 

今、金澤syugenの新郎新婦様達と
お話ししていて素敵だなぁと感じるのは
親御様に感謝の思いをしっかり持っていて
素直に表現されているということです。
それぞれにカタチは違うのだけど
新郎新婦様達の思いをうかがうと
すごくあたたかで清らかな気持ちになれます。

 

一番最後に父と旅をしたのは、
紅葉の白川郷でした。

お蕎麦食べたね、
とちの実煎餅も
紅葉がきれいだったね。

永眠した日も、町に紅葉が降りてきた頃でした。
一番好きな季節を選んで旅だったんだと思えます。
父の思い出をあれこれ再生したくなる一冊でした。

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「かわいい見聞録」
2019年9月13日

益田ミリさん「かわいい見聞録」は
かわいいものへの愛が満ち溢れていました。



「駅弁のお茶のかわいさ」の章で
幸せな時間の象徴としてポリ容器のお茶が登場。
覚えていますとも!
小学生の頃、絵の具の筆を洗うのに
持ってくる子がいました。
新しめの容器だと「どっか旅行してきたんだな」と
なんだかまばゆく見えたものでした。

 

「コンペイトウのかわいい演出」の章では
お茶のお稽古の時間、瓢箪っぽい形の
振出(菓子器)をまわす時の
『何色が出てくるのかしらん』と
ワクワクした感じを思い出しました。

買って食べるというより、もらって「わっ、かわいい」と喜ぶお菓子。

わかります!金澤syugenの引き出物でも
金箔の金平糖は人気商品です( •ॢ◡-ॢ)-♡

 

イラストもシュール感と文章のリズムも楽しく
時々は懐かしさもこみあげるエッセイでした。
最後に作者の撮ったかわいいものたちの
写真の中に金沢の金花糖もあって嬉しかったです。

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「鎌倉うずまき案内所」
2019年9月9日

青山美智子さんの「鎌倉うずまき案内所」は
まずは鮮やかな藍色の表紙&裏表紙の
デザインでキュンときます。



令和から六年ごとに遡って昭和の
終わりまで六つの短編集が繋がっています。
その当時の流行りものが背景として
書かれていて「あったあった^^」や
懐かしいがいっぱいありました。
スケルトンのMACはウチにもありました。
その頃は、めちゃくちゃおしゃれなの
持ってんだなぁアタシと悦に入ってたっけ。

 

会社を辞めたくて悶々とする編集者、
思春期の息子を案ずる母親、
この人でいいのかな?と、結婚を迷う女性、
学校での人間関係に苦しむ女の子、
咲かない実りがないと悩む劇作家、
来しかたはこれで良かったのかと問う本屋の店主、
すべての章の主人公にどこか共感できて
中でも「つむじの巻」は泣けました。

 

私が夢にまでみた光景が描かれているのです。
我が子の小さい頃のことを思い出しては
もう一度抱っこしたいってよく思うのです。
脇の下に手を入れてフワリと持ち上げられた
あの頃、可愛かったなぁ♫•*¨*•.¸¸♪✧
夢でもいいからもう一度
抱きしめたいなぁ
いつまでも小さくて可愛い坊主であるはずはなく
成長は当たり前のことなんだけどね。
もう一度、あのふわふわなほっぺだったり
柔らかい髪のにおいをかぐことができたら
どんなに幸せなことだろうと妄想していました。

 

なつかしいって感情は、年長者への
ご褒美みたいなものだよね。
時がたてばたつほど、美味しくなる。


これ名言だと思いました。

 

人生にはぐれた感のある登場人物に
少しの奇跡がおきて気付きをもたらせてくれる。
優しい気持ちになれる良き小説でした。

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「五つ星をつけてよ」
2019年9月2日

奥田亜希子さんの「五つ星をつけてよ」は
ネット社会をからめた短編が六つです。



様々な登場人物それぞれに全幅で
共感できるということはないけど
日常のあるあるだったり
ズレを理解することが出来ました。

 

「キャンディ・イン・ポケット」は
思春期のほろ苦さの中の
ほのかな甘さが表現されていて
結末では、ふわっと優しい気分になれました。

 

「ジャムの果て」では、過干渉気味の母親を
疎ましく思う成人した子供達と
かわらぬ愛情ゆえの苦悩と孤独感の母親、
どっちもわかるわかるです。
子供はいつまでも子供じゃなくて
成長しているってことなんですよね。
結末は、ホラーでした。

 

「ウオーター・アンダー・ザ・ブリッジ」は
大人を信用できない中学生が大人になった時
過去の経験が蘇って来ます。
女の子が成長してゆく時の心情がよく表れていて
時々は若さゆえの残酷さというものを感じて
自分自身が通った道を思い出しヒリヒリしました。

 

私もインスタグラムだったり
こうやってブログもかいていますが
暗い言葉は文字にはしないってこと決めています( •ॢ◡-ॢ)-♡。

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緋の河
2019年8月28日

桜木紫乃さんの「緋の河」読了
やっぱ桜木作品好きだなぁって思えました。



幼少時から男である自身の性に違和感をもち
やがてゲイボーイとして生きていく主人公。
普通じゃないと感じるものを残酷に
排除しようとした時代に生きぬいた
その苦労は辛らつなものだったと思います。

 

女っぽくしなをつくっている体の小さい
主人公が啖呵を切るシーンでは
男言葉になってドスの利いた声で怒る様を
想像してスカッとした気分になりました。

 

母親の細って柔らかくなった白髪を
染めてあげるシーンに大いに泣けました。
それは、母さんのほうの気持ちにもなれるから。

「自分の生んだ子がどんな姿でも、誰かを幸せにしているのならそれでいいよ。」

母親の言葉にジーンします。
家族からさえも愛する息子を蔑まれることがあって
想像もできないほどの苦労が続いたわけで。
姉との里帰りで母親に記憶に深く残る
幸せな思い出を作ってあげられて
良かったって心から思えました。
物語は終始、優しい母さんと姉上の存在にホッとできます。

 

ラストシーン、沈む太陽をみて

赤く、朱く、紅く、より緋くー

小説には赤い紅、赤いヒール、
赤いスカート、真っ赤な薔薇
と、赤が印象的に射し込まれまれていました。

 

桜木さんの繊細な描写は
我が心にとどめて置きたい言葉が多く
引き返して二度読みするこも度々でした。
530ページ退屈することなく読み終えました。

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「生のみ生のままで」
2019年8月23日

綿矢りささんの「生のみ生のままで」は
一人の女性が一人の女性に
雷に打たれるように一目惚れするとこから始まります。



若さと勢いのある激しい恋を描いた上巻から一転、
七年を経て病の恋人に再会した下巻では
崇高な愛が描がかれています。
献身的に尽くす姿に胸を打たれ泣きながら読みました。

 

親御さんの「苦労する道を選んで欲しくない」
という親心も理解できます。
公にすると生きにくい関係であろうと察します。

 

ラストではちょいとはしゃぎすぎている二人に
「こらー!そんなことしゃだめだよぉー」って
声をかけたい気分にもなりました。

 

「どんな場所も、あなたといれば日向だ」
なんて素敵な言葉なのでしょう。
病める時も健やかな時も、
二人がずっと一緒にいられますように。

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「いるいないみらい」
2019年8月19日

窪美澄さんの「いるいないみらい」は
子供が嫌い、子供が欲しい、子供を失った
それぞれの事情で真剣に悩む人達が
五つの短編の主人公です。



 

「小さな花が集まって強い香りを放つ金木犀」
「ほおずきの実を鳴らす音」
映像、香り季節を感じながら読み進みました。

 

「小麦粉とバターとクリームの混ざったようなにおい」
のくだりでは生まれ育った家の
近くのパン屋さんの横の道を歩いた
私自身の子供の頃のことを思い出しました。

 

物語の主人公の子ども時代の
複雑な環境で育ったエピソードが切なく涙しました。
「選ばれなかった子供」でも、
良い出会いがあって前向きに生きていけるのです。

 

子どものいる未来、子どものいない未来
センシティブなテーマでありながら
深刻にならず温かい気持ちで読み終えました。
「トリニティ」に続きオススメです。

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「アンバランス」
2019年8月14日

加藤千恵さんの「アンバランス」は
冒頭からすでに怖いのです。



今まで読んだ加藤さんの小説は
青春にあるようなふんわりした題材が
多かったのですが、今作は
夫の不倫相手が乗り込んでくるという
キョウレツな始まり方でした。

 

信頼関係もあってある意味バランスの
とれた夫婦は互いに思いやっている。
けれども、本当のこと、一番大切なこと
伝えたいことが言えていなかった。

 

意識的に蓋をしていた感情が
どんどん広がってゆきそれを
押しつぶしてなくしたいのだけれど
うまくいかずさらに広がり不安になる
そんな、心理描写が繊細なことでした。

 

夫婦だから何も言わずとも
相手の思っていることがわかる
なんてことはあるはずもないのだから
ちゃんと伝えなきゃねと思いました。

 

結末はみなさんのご想像におまかせ的な
終わり方でしたが私は勝手に希望の
持てる未来を思い描きました。

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「百の夜は跳ねて」
2019年8月9日

古市憲寿さんの「百の夜は跳ねて」は
あんがい読みやすい作品でした。



主人公の語りの途中で挟まれる謎の声が
段落が変わることも、「」で囲まれることさえもなく
とにかくいきなり思考に入ってくるのだけど
不思議とスムーズに受けいれることができるのです。

 

老婆との不思議な出会いがあって
自身を落伍者だと思っていた
青年が老婆を喜ばせたい一心で
いきいきとしてくる感じが好きでした。

 

アンデルセンの「雪の女王」のごとく
格差社会の中で自棄になっていた
青年があたたかい心を取り戻してゆく
希望の持てる終わり方でした。

 

描写が細かく
考えたこともなかったけれど
そういうことあるかもね
と、腑に落ちることたびたびでした。
やはりテレビで観る通り古一さんって
おもろい人のようです。

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「もみじの言いぶん」
2019年8月5日

「もみじの言いぶん」は村山由佳さんの愛猫
もみじの視点でかかれたフォトエッセイです。



もみじのツンデレ感がなんとも可愛いいのです。
村山さんがしばらく留守にして帰ると
無視をするわけです、もみじちゃんは。
「思い知ったらええのや。うちが、どんだけ怒っとるか。」
本当、猫ってこういうとこあるよなーって
甘えっ子で生意気で自分が一番偉いんだって威張っている。

 

関西弁イントネーションのお話を
ネコメンタリーのナレーション声へと
脳内変化させて読み進むとさらなる臨場感です。

 

猫が亡くなった時、棺に湯たんぽのカバーを
入れたっていう村山さんの親心にポロポロ泣けました。。。

 

もみじちゃんの着替え(生まれかわり)を
待っている村山さん、こんなに愛されて
なんてもみちゃん幸せな猫なのでしょう!
関西弁の語り口がユーモラスで楽しいことでした。

2019年8月5日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「旅ドロップ」
2019年7月30日

江國さんの「旅ドロップ」はドロップス缶のごとく
色とりどりの旅の思い出が詰まっていました。



旅先の空気が気持ち良かったから
土に馴染む履きものとして買った下駄を
今も新聞を取りに行く時とかつっかけていて
旅の楽しさが日常にも繋がっている感じがいいですね。

 

ナッシュヴィルのアイスクリーム店の章は
涙がにじむくらい優しさを感じました。
アイスクリームのフレーバーを「初めて」と
言ったことを誤解されるに始まり大丈夫よと
親子くらい年の若い女の子になぐさめられる
そんな、旅先の人とのふれあいはあたたかくて。
このアイス屋さんは、先日読んだばかりの
「彼女たちの場合は」に出てきました。

 

行ったことある場所や同じような経験が
登場した時も楽しいものです。
和歌山のアドベンチャーランドでは、
赤ちゃんのパンダの前を幾度も行きましたし
パンダ舎のバックヤードツアーにも参加したもんね♫•*¨*•.¸¸♪✧

 

どんなに楽しい旅でも家に帰ると
家があって良かったとほっとするという章では
帰る場所があって無事に旅ができたことに
感謝する感じは共鳴できます。
そんな気持ちになれることはとても幸せなことで
なんなら、そのために旅をするような
うん、そう、そうです。

 

学生時代に女友達と帰る日も泊まる場所も
決めずにお金が続く限りアフリカまで行こうとした旅で
一緒に感動したり互いに勇気付けられたり
こういう様々な経験が積もって
江國さんの小説が出来あがるんだなって
今まで読んだ作品を思い出すのも楽しいことでした。

2019年7月30日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「しゃぼん玉」
2019年7月26日

乃南アサさんの「しゃぼん玉」は帰る家も
頼る家族も仕事も友人もなく恋さえもしたことがない
絶望感のみで生きている青年が主人公です。



我が身を「何一つ持たず、ただ漂って
生きているだけの、やがてパチンと
消えてしまうしゃぼん玉」と感じており

「着地したら消えてしまう」
「人とかかわると消えてしまう」と
逃げることしか考えていない青年が
その日に帰る場所と洗濯された衣類、
上等ではないけど何だか心地いい寝具、
そして、自分を頼ってくれる人、
笑顔になって欲しいと願う人との出会い、
心のこもった食事をとることで
徐々に変わってゆきます。

 

田舎の情景描写も美しいことでした。
ことさら、水の音が臨場感を持って描かれていて
青年の荒んだ心にあたたかいものをもたらします。
例えば、田舎の家の雨音に耳を澄ませて
そのうち、雨音を楽しい嬉しい愉快と感じ
自分の中にこんな感情があったのだと驚く。
そんなことを考えながら眠りについた日は
きっといい夢がみられるんだろうなぁなんて
読み手も幸せなキブンになれます(*^▽^*)。

 

想像通りの展開でしたが、エピローグでは泣きました。
人は、誰かに愛されている、
誰かに必要とされているという思いで
希望を持って生きられるというメッセージをうけとりました。
方言があるからこその人物の個性を
想像できて読みやすかったです。

2019年7月26日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「ふたたび蝉の声」
2019年7月23日

内村光良さんの「ふたたび蝉の声」は
何気ない日常や思い出の振り返りのような小説でした。



過去と現在を行ったり来たり
そこに、親が老いていく時の寂しさや
家族の病のことなども描かれています。

 

臨場感がすごくあってウッチャンって
いったいどんだけ数多くの経験してるんだろか?
と、感じました。
もちろん、小説がすべて作家自身の
実体験などとは思ってはいないけれどね。

 

ウッチャン本人が

知り合いの誰かと誰かを足して創った人物もいれば、
まったくの想像で創った人物もいたり……。

と語っていました。

 

舞台俳優の進をとりまく人々が
オムニバス形式で主役になり
場面が次々入れ替わります。
終盤、大泣きした章があって
(ネタバレになっては
いけないのでかけませんが)
ああ、理想の来し方行く末だなぁって思えました。
素朴な文章が読みやすかったです。

2019年7月23日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「ひと」
2019年7月19日

「ひと」は短いセンテンスで読みやすく
大泣きはしなけれどウルウルしながら
あっという間にスイスイっと読めました。



健気で人が良過ぎて譲ってばかりの
主人公に「そんな無防備な」とハラハラしたり
いいことがあるとそろそろ嫌なことが
起こるんじゃないかとヒヤヒヤしたり
これ以上に辛いこと酷い目にあったら読めないな
なんて立ちどまることも度々あって。
けれど、目次が
一人の秋、一人の冬、一人の春、夏
なので、一人じゃなくなる、きっと
と、信じ安心して最後まで読めました。

 

悪いヤツ、嫌なヤツも出てくるけれど
イイ人が当たり前に淡々と現れる感じがいいです。
ホッとしたのは猫が苦手だった主人公が
猫をなでた描写でした。

 

ご縁が大事

「人材に代わりはいても人に代わりはいない」

ぴったりのひとに出逢うべくして出逢えると信じています。
ハートウォミング系やっぱいいですね。
初読みの作家さん小野寺史宜さんの
小説は爽やかな読後感でした。

2019年7月19日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「思わず考えちゃう」
2019年7月16日

絵本作家ヨシタケシンスケさんの
「思わず考えちゃう」は、ほのぼのとした
あるあるがいっぱいなのです。



中でも子育ての章の共感が心地よしでした。
「川遊びでぬれちゃって裸でシートベルト」
と、いうくだりに大笑い!
で!思い出した!
我が家でも裸にランドセルあったあった!
川遊びして全身ずぶぬれの坊主が
半ズボンは履いていたけれど右手にずぶ濡れTシャツ
ランドセルを半裸の上にしょっていたっけ。
あのランドセル姿は今も鮮明に覚えています。
「裸の大将?山下画伯か??」って思ったものね。

 

『今しかないのにもったいない』は
身に沁みる言葉です。
最近、よく思うのです。
あんなに可愛くておもしろかった幼い頃を
なぜもっと大切にできなかったのだろう
いっぱい楽しめなかったのだろう
余裕なかったなぁっと・・・・・
が、エッセイ読みながら
あ!そういう後悔は自分だけじゃないんだと思えて。
あと、我が子の幼い頃のことを宝物のように
度々、思い出している感じもです。
そんな安心感が心地よしの章でした(*^▽^*)

 

ゆるいイラストも楽しいエッセイは
どこからでもお気楽に読んで良いので
忙しい時の脳味噌リフレッシュにむいている一冊です。
あ、ウチの坊主もお、おにぎりが好きなんだなぁ(*^▽^*)

2019年7月16日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「そして、バトンは渡された」
2019年7月11日

瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」は
音楽とご飯がなにかと良いアクセントになっていました。



一緒に食事をすること、会話することの大切さありますよね。
中島みゆきの「糸」を主人公の優子の
ピアノ伴奏で義理父が歌うシーンが好きでした。

 

優子が心に思う
音楽は心や体に入っていくだろう
というくだりがとても共感できました。
確かに、身体であっても心であっても
辛くて食事も励ましの言葉も受けとれない
そんな弱った時でも音楽に癒されること
元気づけられることってあります。

 

義理父が親になることは
未来が二倍以上になること」と。
子供を持つって苦労も増えて
心配事も二倍に増えます。
けどけど、確かにそれを超える幸せがあります。
あと成長の足跡も我が子の記憶は
鮮明さをとどめる宝で、何度思い返したって
あきることも色あせるもありません。

 

優子の結婚で反対する父親の姿に
リアルを感じます。
親も人なので無償の愛でありたいのに
「してやったのに」ってなことにもなりがちで
まぁ、どこの家もケンカしてまう
それが、普通。
家族を大切に想う愛情あればこそ
幸せになって欲しいからこその衝突。
どっちの気持ちもわかるわかる。
それを説得する婚約者
そう!結婚ってそういう努力があって
絆が深まることがあります。

 

世知辛く心が痛くなる報道が
多い昨今、善良な大人に守られている
子どものお話に和まされました。

2019年7月11日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「マジカルグランマ」
2019年7月8日

柚木麻子さんの「マジカルグランマ」は
図書館の予約待ちの間に直木賞候補になっていました。



主人公の74歳の正子さんが先輩女優の
アドバイスでおばあちゃんらしく
外見を変えることから始まります。
自信家で自己中の正子さんの
頭は案外と柔らかく行動力もあり
SNSなんかも器用にこなすのです。

 

現実的では無い設定ではありますが
過去から現代への社会問題をからめながら
夢、存在価値を求めるサクセスストーリーです。
ご近所やお友達や家族もいい人に
囲まれていて良かったなぁって感じました。

 

年老いても成長できるんだ!
年をとることに悲観的にならず
いくつになっても
過去より未来のほうが大事
と、前向きになれるお話でした。

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「アタラクシア」
2019年7月3日

金原ひとみさんの「アタラクシア」は
登場人物の生活や行動がすべて刺激的で
暴力シーンではちょっと苦しく感じました。



恋人間も夫婦間も友人同士も
えらく難しい言葉で議論しあってて
私には経験ないなぁーと考えたりです。
ですが、相手に対して
嫌だと感じることやここが好きも
言葉にしないと伝わらないことがあって
良い関係を続けてゆくには
会話することは大事なんだと思いました。

 

章ごとに主人公が変わる長編小説で
一つ一つの章が確立していながら
それぞれの絡みかたがお見事で
登場人物達の表と裏の顔が
おもしろく描かれていました。
そして、迎えた最終章はホラーと言ってよいでしょう。

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「人魚の眠る家」
2019年6月30日

今日、6月30日は人魚の日なのだそうです。



「人魚の眠る家」は殺人もミステリーもない
新鮮な東野圭吾作品でした。

 

「心臓死と脳死」をどう受け止めるべきかを
深く考えさせられました。
我が子を事故で亡くす親の気持ちは
想像もできないものです。

 

「子供への思い」あればこその 母親の狂気、
ただ同じ立場になったとしても
とんでもない経済力がないと
このような展開にはなりようがないだろうと感じました。

 

脳死や臓器移植については
求めて知ろうとはしないことでしたが
移植医療や海外での臓器移植の問題など
分かりやすく理解出来て勉強になりました。

 

悲しく辛い話でしたが
薔薇のふくよかな香りが漂うようなエピローグは
希望が持てるものでした。

2019年6月30日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「トリニティ」
2019年6月27日

窪美澄さんの「トリニティ」は461ページ
現代、戦後、高度成長期やバブル期と
各時代の背景の描写も細やかなドキュメント風小説でした。



三人の女性がそれぞれ懸命に生きた姿に胸打たれます。
結婚、仕事、子供、さらには恋
得た物と手に入らなかった物があって
どの道を通っても後悔はあるのだろうと感じました。

 

がむしゃらに仕事をする母親に
愛して欲しいと心が満たされていないまま
成長した子息の語りのくだりが
泣けてなけて仕方なかったです。
子息が母親の生い立ちや
仕事を得ることの難しさも知ることから
自身が母親の影響を受けていることを認め
母親を許し愛おしさも感じ
さらに誇らしく思える時を迎える。
もう涙が溢れてとまりませんでした。

 

世代交代と栄枯盛衰
女の生き様、死に様が切ないくらい
見事に描かれていました。
2019年上半期読んだ中で1番でした。

2019年6月27日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「晴れときどき猫背そして、もみじへ」
2019年6月24日

村山由佳さんの「晴れときどき猫背そして、もみじへ」は
もみじちゃんの母親の真珠ちゃん、さらには
おばあちゃんのこばんちゃんとの出逢いも綴られています。



村山さんに家の猫ちゃん達は
なんとも自由に山で遊びカエルとか
食べていてその野生っぷりにびっくりします。
母猫こばんちゃんが我が子の真珠ちゃんとの
子離れのシーンにはとても驚きました。
そして、村山さんとこばんちゃんとの
再会シーンには大いに泣けました。

 

猫は野生動物なんだから
予防接種や避妊、去勢手術で命を
コントロールしてはいけないという
当時の村山さんの同居人さんの考え方
そして、不幸な猫を増やさないために保護する
どちらの意見も猫への愛があってこそ
こういうくだりでは真顔になって読んでいました。

 

我が家のモコちゃんはもともと捨猫です。
拾った方がいてその里親に
なったのですがとにかく我が家では
溺愛して育てました。
そんなわけでモコは過保護のヌクヌクの
生活にあぐらをかき外には興味ない様子でした。

 

ところが、モコが半年の頃の予防接種に
行く日に脱走したのです。
探しても探しても見つからなくって
一晩中泣きながら探したけど
会えなくて・・・・
明け方には、一人で生きて行くことを
選んだモコの幸せを祈りました。

 

すっかり朝になって、通勤通学の時間帯
空気を震わすみたいな声が
どこからかして、それは私にしか聞きとれない声で。
ぐるっと探したら、植え込みの中から声がする
よっぽど怖い思いをしたのか呼んでも出て来なくって。
そりゃー、びびりやもんねーモコは。
走って家に帰って、好きなキャッツフードと
マタタビとを持って並べてみたところ
そうっと警戒しながら出てきたモコの
首根っこつかまえて鞄に入れて家に連れて帰ったわけです。

 

あったかいお湯で洗って乾かして
一緒にゴロンとしたこと
一生の中で一番幸せなお昼寝でした。

 

世界中のすべての猫が幸せで健康で
穏やかに暮らしてくれたらと願います。

2019年6月24日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「ポルシェ太郎」
2019年6月20日

羽田圭介さんの「ポルシェ太郎」は
ハードボイルドと帯にはあるけれど
「おっちょこちょいの気づきまで」を
描いたお話という印象でした。



主人公がポルシェに乗ることで
仕事でもプライベートでも万能感を
持つようになるのですが
仮装通貨で1500万を失ったり
裏社会の男に危ない仕事をさせられたりとか
とにかくハラハラするのです。

 

SNSで承認欲求を満たす主人公がある時つぶやく

自分が、見られたい、見られていると
意識するものなんて、他人は全然見てないし
気がついてなんかいない。
反対に、見られているなんて
思いもしないものが、気にされ見られている。

という言葉はなるほどでした。
主人公が羽田さん本人に思えてしかたなく
ユーモラスでもありました。

 

車を持ったことがなくこれからもきっと
運転はしないけれど深夜にポルシェに
乗って首都高をドライブするシーンでは
きっと爽快なのだろうななんて想像しました。

 

追記
私は、徒歩や自転車なので毎日
季節の移り変わりを感じることが出来ます。
「あの庭で真っ白な紫陽花が咲く頃」
「ズッキーニの花、今日もみれるかなぁ」
と、毎日ルートを考えながら通勤は
身の丈にも合っていてけっこう楽しいものです。
キャットフードの個包装をかばんに
入れているので地域ネコちゃんとの交流もあります( •ॢ◡-ॢ)-♡。

2019年6月20日 カテゴリー: 気まま図書館 | 2件のコメント »

2 Comments

  1. 花奈恵 より:

    淳ねえさんと同じく徒歩&自転車生活になって、通勤途中によそのお宅の庭を眺めたり、いつも会う散歩途中の老犬にアイコンタクトしてみたり、結構楽しいものです(^^♪

  2. 淳ねぇさん より:

    わかる!お散歩のワンちゃんに会うと、心の中で「ワンワンちゃ~ん♪」とか声かけている。今の季節、夏野菜の花が鮮やかで、かがみこんで眺めたりもしますの(^_^;)

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「彼女たちの場合は」
2019年6月17日

江國香織さんの「彼女たちの場合は」は
ナイーブな17歳と社交的な14歳の少女が
置き手紙をしてアメリカを旅します。



思春期の子供を持った経験のある身としては
母親の気持ちになってしまうから
時にもう心配に押しつぶされそうになったりします。
危ない目にも嫌な目にもあい
これ以上、怖い事態になったら
読み続けられないと怯える場面もあったけれど
祈る思いで読み進めました。

 

472ページの長編は、二人がいろんな土地に旅します。
青い空や異国の街の雑踏
埃っぽさや、新雪だったり、風
料理の匂いなど描写が豊かで
時々は、一生行くことはなかろうという
(飛行機嫌いにつき)土地に
降り立ったような気持ちになれました。

 

いいことが起こると「チーク」って二人が
ほっぺをくっつけるお約束ごとは可愛くてしかたなく
こちらまでハッピーになれました。

 

出会っては別れるその土地の人々が
纏っている匂いなんかも伝わってくるような
そんなお話でした。

2019年6月17日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「おやつが好き」
2019年6月10日

坂木司さんの「おやつが好き」は
おやつ愛にあふれていました。



読んでいると愛おしいおやつの思い出達が
ポコポコと蘇るのも楽しかったです。

 

銀座あけぼのさんの「二十四節季花」が
美味しいのはもち米だからなのだと書かれています。



KENさん&TOMOさんからいただいた
二十四節季花は美味しく楽しんだあと
箱も可愛いくてお針箱にしました。

 

熊本の海苔のお菓子の「風雅巻き」章では
「ふわんと漂う海苔の香り」とシンプルなことが
いかに素晴らしいかが書かれています。



以前、智史さん&枝里ちゃんのお母様から
熊本産のお海苔を頂戴しましたところ確かには絶品でした。

 

お菓子を度々擬人化していて
「顔見知りのお菓子」として六花亭の
「マルセイバターサンド」が紹介されています。



法大さん&美穂さんから北海道旅行のおみやげにいただきました。

 

エッセイの中の問いかけで
「死ぬ前に食べたいおやつは」と。
小学生の頃、お茶のお稽古の時に
いただく吉はしさんの上生菓子は
子供心にも「日本イチ美味しい和菓子だ」
って確信していました。
季節が表現されている
和菓子は芸術だと思います。

 

高砂屋さんの嵐山も見た目ホロホロ
なのに、しっとりのあの食感好きです。

 

あと、おでかけ編では長町にある金花糖さんの
白玉&あんみつは絶対のオススメです!モグモグ。

2019年6月10日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「マスカレード・ナイト」
2019年6月4日

東野圭吾さんは、ガリレオシリーズ
加賀シリーズなど多く読んできたのだけど
マスカレードシリーズは初読みでした。



「マスカレード・ナイト」は、みなホテルを
利用する時、仮面をかぶっている
洗練されたホテルマンはそれを詮索しないということらしいです。

実写化されているため
新田刑事は完全にキムタクの声に脳内変換しちゃいます。

サイドストーリーの部分が人間味あって
不倫や隠し撮り、女性のマウンティング行為
そこから、脅迫や復習と物騒なことへと発展してゆきます。
バラバラに見えるエピソードつながりあっていく
展開は、期待したとおりです。

名言がふたつ。

「1度疑いがはれた人は信用される」

「時計が正確すぎると余裕を持とうとしない」

これ、カギになります。

さて、牧村緑役を検索しても出てこない。
エキゾチックな美人は
映画では出てこないのでしょうか?
気になる。。。。
どなたか知っていたら教えてください。

2019年6月4日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「大好きな町に用がある」
2019年5月28日

角田光代さんの「大好きな町に用がある」は
旅につてのエッセイです。



縁と愛の章で

土地と人は、人同士と同様の相性があり、縁がある。

そして

(その土地に)縁のある人は、ただ歩いているだけで
気持ちがしっくりきて、時間を
潰すなんて思いもつかないのだ。


なんか、わかる気がします。
で、私にとってしっくりきた場所は・・・・・
と、考えてみました。

飛騨古川の街はサラサラと
流れる用水の音に癒されました。
鯉も泳いでいるのです。

鞆の浦の版画みたいな街並の
潮のにほいも好きでした。
瀬戸内の凪いだ海は心が穏やかになれます。

さて、角田さんは自身を旅慣れていない
要領が悪いのだと言ったことを
書いているけれど度強はあるし
未開の土地で怖い思いしてもへこたれないし
すごい根性の持ち主だと感じました。

2019年5月28日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「ままならないから私とあなた」
2019年5月23日

朝井りょうさんの「ままならないから私とあなた」は
イマドキなテーマのお話が二つです。



「レンタル世界」は結婚式で出会った
レンタル列席者の女性に恋をした主人公が
その女性をレンタルしデートします。
主人公が「レンタル業はおかしい」と言うと
女性はレンタル業は性的な接触は
厳禁であることを話し
「(風俗に行っている)あんたにだけは、
おかしいって言われる筋合い、ない」
と怒るくだりが痛快でした!
登場人物達が見栄や隠し事を取り繕う様子に
読後、切なさが残りました。

表題作の「ままならないから私とあなた」は
気の合う人、価値観が同じ人とだけで
暮らしが成り立つはずはなく
また、新しいものであってもよいものは
取り入れる柔軟さがあれば
生きやすいということかと感じました。

時代の変化は淘汰より共存

これ、名言だと思います。
最後まで読みきったあとに、だから
このタイトルなのねと納得できました。
オススメです。

2019年5月23日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「嘘と約束」
2019年5月20日

女性作家アンソロジー「嘘と約束」は
優しい嘘だったり、切ない約束だったり
それぞれのお話に謎が秘められています。



短篇なので展開もはやく
女性特有の繊細な心理描写が好きで
読み進めるのが楽しかったです。
毒もあります。

甘美ないくつもの嘘が繋がって展開する
近藤史恵さんの「ホテル・カイザリン」は
ぜひ、映像化して欲しいものです。
明治の洋館のホテルは各部屋が
シェイクスピアの戯曲をテーマにした内装や
薔薇のお庭や暖炉の質感など
空想するのもちと楽しい( •ॢ◡-ॢ)-♡
マクベス夫人は横顔の美しい女性に演じてもらいたいなぁ♫•*¨*•.¸¸♪✧

大崎梢さんの「いつかのみらい」は
けっこうなドンデンでした。

ミステリー、サスペンス、シリアスとありましたが
どれも読後感の良いものでした。

2019年5月20日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた」
2019年5月16日

「もの書く人のかたわらには、いつも猫がいた」は
「NHKネコメンタリー猫も杓子も」の書籍化で
エッセイや小説が掲載されています。



村山由佳さんの章では、もみじちゃん目線の
関西弁イントネーションのお話を
ついついネコメンタリーの
ナレーション声へと脳内変化させて読みました。

 

柚月裕子さんがエッセイの中で
「人間は猫の下僕」と言います。
子猫の頃、手でご飯をあげていたら
今もお皿で出しても食べずに待っているというのです。
わかる!猫ってそういう偉そうなとこあります。

 

角田光代さんの小説「任務十八年」は
とにかく泣けました。

 

好きな作家さん達の愛猫への思いが愛おしく
写真も可愛らしいことでした。

2019年5月16日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「かがみの孤城」
2019年5月13日

辻村深月さんの「かがみの孤城」は傑作でした。



以前、途中まで読んで女子中学生のいじめが
陰湿で苦しくなってリタイアしたのだけど
気になる・・・ファンタジー系っぽいし、、、
で、再チャレンジ、やはりいじめの話は苦手ですが
描写が良き塩梅というか読みやすいのです。

物語の中盤で母親の思いにもなりました。
引きこもりで登校拒否の我が子への
心配は、苛立ちや怒りもあり
度々、自身を責めては悩み
時には機嫌をとったり
腫れものにさわるような態度であったりの
母親の戸惑い、葛藤が痛いほどわかるのです。

主人公の母親が我が子から辛い体験を
告白された時、我が身に起こったことより
苦しく切なかろうと察しました。
その後の子供を守るための毅然とした姿は
泣けてしかたなく両親の決意は勇気あることでした。

物語のトリックについては
早いうちから気がついていたことだったので
(ネタばれになってはいけないからかきません^^)
登場人物に知らせたような気分にもなりました(子供か!)。

終盤では「お話だから」と自分自身に
言い聞かせるも涙が洪水のようにあふれました。

人間関係の構築がうまくできないや
無関心や暴力や様々な問題、
矛盾に悩んでいる子供達にぜひ読んでもらいたいです。

「助けてくれる人は必ずいるから、大丈夫」

かつて私自身が通ってきた厳しく理不尽な
時間がフラッシュバックすることもありました。
ですが、554ページの中には色んな力強い
メッセージがこめられていて
この本に出会えてよかったと思えました。
大人も楽しめる素晴らしいファンタジーです。

2019年5月13日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「自分流のすすめ気ままな私と二匹の猫たち」
2019年5月9日

「自分流のすすめ気ままな私と二匹の猫たち」は
曽野綾子さんの生活スタイルに好感をもてることが多々ありました。



このエッセイの中で「母は北陸の漁港の出身である」と
何度かかかれています。

以前、曽野さんが戦争中に金沢へ
疎開していた折、秋に桜の柄の風呂敷を
使っていたら同級生に「なんと無粋な」と
言われ金沢の人の繊細さに驚いたと言う
エピソードを聞いたことがあります。

曽野さんにはあまり欲がないらしく
「奮発して買いたい」と唯一思うのが
毎日の食事に使う陶器であると
そして、中でも九谷焼がお好みだそうです。

風流人の曽野さんですが「マグは我が友」の
章で安物であっても自分だけのマグで飲み物を
とる時「心の個室を持てる気がする」とあり
なるほどと思うのでした。
「私たちは人ともいたいが、時には一人になりたい」
大部屋であっても、群れで行動をしなくてはならない時にも
お気に入りのマグは個人の世界を
守ってくれる存在だと綴られています。

器からこんな風にお話をふくらませる
曽野さんの思考ってすごいなぁってと思うのでした。

2019年5月9日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「瞳のなかの幸福」
2019年5月6日

小手鞠るいさんの「瞳のなかの幸福」は
大人の女性のためのおとぎ話のようでした。

最終章では、守るべき存在である
愛猫との間に同じような経験が
私にもあるのでドキドキ読みすすみ
最後でホッして涙が出ました。



雑誌の副編集長をしている主人公の

話し言葉と書き言葉の区別がなくなり言葉が排水みたいに流されている

という言葉に共感しました。

かさばる紙媒体はどんどん減り
電子書籍化されていく昨今ですが
私は、電子書籍というものが読めません。
文字を映像としてしか見られず
作者の感情が入ってこないのです。
紙に印刷してある文字でなければ
思いが伝わってこなくて感動がないのです。
(ですので、トリセツなどはネットで
見ても理解できますの。)

その昔の少女マンガを
読み終えたような時の感じが蘇りました。

2019年5月6日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「海の見える丘」
2019年5月1日

くすのきしげのりさんの「海の見える丘」は
「絵のない絵本」です。



読み手の想像する力によって、
登場する人物の心情や情景は無限に広がります

と、作者が言うように紙面の白い部分から思い描けるのです。

丘の斜面から見た大海原、
赤い流れ星、
しなる大きな樹
希望に満ちた太鼓の音の響き、
木の息吹のにおい、
あたたかく清々しい風。

ほのぼのあたたかいメッセージが
こめられたお話が五つあり
中でも「優しさは受けつがれていく」が
泣けてなけてしかたないことでした。
ワンちゃんから猫にあげた優しさが
次の時代へと継がれていくのです。

新しい元号が始まり何か気持ちも
清らかになれるような今日の日に
紹介したいと思った大人の絵本でした。

2019年5月1日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「この世界は思ってたほどうまくいかないみたいだ」
2019年4月19日

新井見枝香さんの
「この世界は思ってたほどうまくいかないみたいだ」は
現役書店員さんの日常が
ユーモアある早口な文体で綴られていて
「あるある」と共感できる章も「ないわー」ってことも度々ありました。



「パンツを脱ぐ女」の章では
「エレベーターの中でパンツをおろしたことはあるだろうか」
と、いう語りかけから始まります。



なんでパンツを脱ぐのかその理由がおっかしくって
挿絵にも大笑いしました。

「読まなくなった本は捨てるけれど」の章で
「紙に書いた文字は重たい」と始まり
今はいない人のメモを見つけたことからの
心温まるエピソードがかかれています。

『セブンルール』に出演した際の裏話や
新井賞をとったという桜木紫乃さんのことも
何度か書かれていました。
私も好きな作家さんです(*^▽^*)。

各章ごとに緩急があります。
そして、妄想力がもの凄くて
歯医者さんに恋をしたくだりは
私にとっての「あるある」でした。

その昔の思い出です。
歯医者さんへは、診療で汚れたら
嫌だからといつも母の服を借りて
テキトーな格好で通院していました。
が、ある日のこと、診察のあとイケメンな先生から
「いつもおしゃれですね^^」と声を掛けられたのです。
わっ!わわわー!

手足長くテニスを好み日焼けしていて
センスいいヨーロッパ車が駐車場に
停まっていましたっけ♫•*¨*•.¸¸♪✧
なので、次の診察の時は気合いれましたよ。
買ったばかりのダナキャランのブルゾン着てゆきました。
見る人が見たらわかるもんねー
ボタンにロゴが入っているから( •ॢ◡-ॢ)-♡。

なのに、なのに、めっさ張りきったのに
その日は、代診の歯科医さんでした。
チーン・・・・・・・。

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「沈黙のパレード」
2019年4月15日

東野圭吾さんの「沈黙のパレード」は
最初のうちは少し退屈になったけれど
被害者家族やその周りにいる人々が
行動を起こし始めたあたりからおもしろくなって
440ページの長編がさくさく読めました。



ドラマの影響で、湯川学のセリフは
福山雅治さんの声で脳内アフレコしてしまうのです^^;。

人々の情が丁寧に描かれていて
それぞれが「誰かのために」という思いが
複雑に絡み合って事件が起きます。
真相が明らかになるにつれ
期待通りのどんでんに継ぐどんでん
さらなるどんでんがありました。

ガリレオ先生が真犯人に話した

「愛する女性のために、すべての罪を背負おとした男がいたんです。」

これ、「容疑者Xの献身」ですよね(*^▽^*)。
東野作品との出会いの作品で
もう最終章では大泣きに泣いたし
今も一番好きな作品です。

久々のガリレオ先生は
随分と人間っぽくまあるくなったなぁなどと感じました。

「沈黙のパレード」もきっと映像化されるのでしょうね( •ॢ◡-ॢ)-♡
トリックはもちろんのことパレードや
ガリレオ先生がアコースティックギター
(ギブソンというのだそう)を奏でるシーンなどなど
映画になったらきっと楽しいことと思われます。

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「傲慢と善良」
2019年4月8日

辻村深月さんの「傲慢と善良」は
ミステリーと思いながら読み進むと
婚活、恋愛、SNS、ヒエラルキーと
言ったイマドキな闇が描かれていて
後半、俄然おもしろくなりました。



傲慢さと善良さというのは正反対の
ことのようで実は紙一重なのですね。
一つのシーンを男性側からと
女性側から書かれていて
そこには嫉妬や親子の歪んだ関係、
マウンティング、タナの違う人間同士の
折合わせない感じなどなど
複雑に絡み合っていました。

夜中に目が覚めて、先が気になって
いたものだからついつい手にとって
と、414ページあったけどすんなり読めました。

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「ショートショートドロップス」
2019年4月2日

新井素子さん編集の
「ショートショートドロップス」は
女性作家によるアンソロジーです。



宮部みゆき「チヨ子 」が最高に好きでした。
宮部さんのファンタジー系は
「過ぎ去りし王国の城」が印象に
残っていますがこのショート小説にも
現代社会の問題や辛さが描かれていました。

何かを大切にした思い出。
何かを大好きになった思い出。
人は、それに守られて生きるのだ。

なんか、なんかわかります。

三浦しをんさんの「冬の一等星」も大人と子供の
友情が守られた感が良かったです。

淡い恋心と桜咲く公園と鯛焼き
辻村深月さんの「さくら日和」も
せつなくて可愛くて好きでした。

SFやサスペンス、ホラーも
ドロップのごとくな文章で楽しく読めました。

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「麦本三歩の好きなもの」
2019年3月29日

住野よるさんの「麦本三歩の好きなもの」は
「図書館勤務の麦本三歩のなにげない日常」と
紹介文通りおっちょこちょいな女の子の
穏やかでゆるーい日々のほのぼの系
だと最初は思いました。
けど、読み進むうちに「けっこう深い!」
と、感じるとこがいくつもありました。



三歩の好きなものが章ごとに
テーマになっていて
「麦本三歩は君が好き」では泣けます、かなり。

「(略)君を好きなままの私が、少なくともいるから、安心して、(略)」

この前後の言葉をかくとネタばれになるので
かけないのだけどとにかく感動しました。
三歩の友人を思う優しさは、なんてあたたかく
そして人を勇気づけられる強さがあるのでしょう。
三歩の成長してゆく様も好きでした。

まったりされたいかたにオススメの一冊です。

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「愛なき世界」
2019年3月26日

三浦しをんさんの「愛なき世界」は
料理人と研究者、登場する人々が
みな優しく愛にあふれています。



ビストロの大将は厳しいけれどいい人で
お芋を育てる教授の芋愛は微笑ましく
殺し屋風の松田教授の友情の話には
うるっときました。

苺のツブツブは種ではなく果実で
果実と思っていた香り良い赤い部分は
めしべの土台の茎のようなものだそうです。
そして、苺は野菜なんですって。

泉野には家庭菜園をされているお家が多くて
私は徒歩か自転車での通勤なので
草花から季節の訪れを知ることがあります。
特に野菜の花や実が好きで
苺の白い花を見つけた時は
なんと愛らしいことかと健気に育つ姿に感動しました。

「地球上の生物はみんな、光を食べて生きてる」

これいい言葉です、うつむかず前向きに
と、植物を通して愛について考えるお話でした。

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「ラヴレターズ」
2019年3月21日

「ラヴレターズ」は直木賞作家や
「え?あの二階堂ふみ?」のような
タレントさんの章もあるアンソロジーです。



壇密さんの恋文はダメダメな男性に
振り回されていた若き日が綴られていて
少し似たような経験がなくもないもので
懐かしい気持ちになりました。
あと、テレビでよく毒吐くコメンテーターが
案外と可愛らしい女性なんだなぁ
って思えたりもありました。
吉本ばななさんの恋文は好きでした。

さぁて、私が誰か一人にラヴレターを
かいてとどけられるとしたら・・・
5年前にお空に行った猫のモコちゃんに
とどけたいです。
今もモコを思い出さない日はありません。
ウチの坊主はモコと話す時には
お兄ちゃん風を吹かせていましたっけ。

モコにラヴレターをかきました。
良かったらお読みくださませ。

「お空のモコへ」

人間の勝手で捨てられたのに
人懐っこくってすぐにお兄ちゃんと仲良しになったね。

手のひらにのるくらい小さくて
初めての猫だったから風邪をひかせないようにと
母さんは膝掛けを腰に二重に巻いて
おヘソのあたりにモコを入れて仕事していたよ。
カンガルーの親子みたいだったね、きっと。
気持ち良く眠って目がさめると
小さな体ですばしっこくやんちゃもしたね。

可愛い顔してモコには狩猟本能があったよね。
母さんが歩いていると頭を低くして構えてて
狙っていることが目のはしに見えていても
気付かないふりをしてあげたよ。
腰を左右にふったあとピュッと走って来て
ベビーシュークリームみたいな小さな手で
母さんの片方のかかとを
チョンとつまんでシャッと逃げて行ったね。
母さんは「わぁ!」という驚くフリを忘れなかったよ。
そんな時「してやったり」と得意な顔していたね。

お兄ちゃんが夜遅くまで起きていた日は
嬉しくて嬉しくてナナメナナメに飛び上がる
ヘンテコな動き方したよね。
欽ちゃん走りのようだったよ。

一緒に寝ようと抱っこしてもしばらくすると
もういいよね?とばかりに猫らしい体制を
整える仕草のあと部屋から出てゆくんだよね。
それでいて明け方になると、
なんで一人にした・・・
と、メソメソ小さく啼きながら
部屋にやってきたね、毎日。
そんな時、可愛くってしかたなかったよ。

モコは母さんの感性をつちかってくれたと思っているよ。
ありがとう、本当にありがとう。

今も、自転車こいでいる時や歩いている時は
モコの可愛かったこと、
おかしかったことの思い出を取り出して
ニヤニヤ笑ったり
目に水の膜がはってきたりで
「いかんいかん」とこらえたりも度々。
怪しいヤツかもね^^。

モコ、ずっとずっと大好きだよ
いつかきっとまた会えるよね。
そしたら、抱っこしてモコのにほいを
吸い込んでお昼寝したいな
それが母さんの夢だよ。

母さんより

2019年3月21日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「まつらひ」
2019年3月15日

「まつらひ」は
古くから伝承される祭をテーマにした
六編の短編小説です。



「龍神まつり」が近づくと怪しい夢をみる
山あいのレタス農家に嫁いだ主人公の
「夜明け前」は夢おちと思っていたのに
二段仕掛けの妖艶な結末でした。


「分かつまで」は福島の「相馬野馬追」の
馬のことが書かれていて泣けてなけて
しかたありませんでした。
あの頃、原発事故のNEWSで
動物達が右往左往する姿に胸が痛みました。

「人間だって、自分の命ひとつ
落とさないように抱えているだけで精一杯で(略)」


瓦礫の間にはさまれて動けないまま、
食べるものもなく汚泥の中にいたという馬が
自分を置き去りにした人間たちを
拒んでいたのだけど、やがて人間を赦し
信頼が快復したという物語に感動しました。


浅草寺の「ほうずき市」のあかぬけた感じ
福岡柳川の「白秋祭」は幻想的で
岩手黒石の「蘇民祭」は
冬の寒さに凍える思いになりました。
それぞれ祭りの風情、街のおもむき
季節の移ろいの描写が好きでした。

2019年3月15日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「猫のためいき鵜の寝言十七音の内と外」
2019年3月11日

「猫のためいき鵜の寝言十七音の内と外」は
テーマごとにエッセイと俳句が綴られいます。



まず第一章、集団就職をする子供の章で
泣けるのです。
12歳とか15歳くらいで親元を離れ
自立しなきゃならなかったって
親もどんなにか辛かったろうと涙が出ました。
昔の人は大人になるのが早かったことでしょうね。


著者の正木ゆう子さんは毎年、
長野まで鷹の渡りを見に行くのだそうで
旦那さんから「去年も見たのに」と言われた時の

昨日ビールを飲んだら、今日は飲まなくていいのか。

という返しに吹き出しました。
桜も毎年観に行きますものね(*^▽^*)


正木さんは日本酒が好きで

ふだんはペンより重いものは持てない私が、
一升瓶だけは片手で持てるのが不思議である。

あははあはは!
わかるわかる!


そして、猫好きさんでもあって

この世に猫を抱いて眠るほど気持ちのよいことはない。

まったく同感です。
愛猫ちゃんをお布団の中で
抱っこして眠ったこと今も良き思い出です。


言葉も綺麗で心が穏やかになれる一冊でした。

2019年3月11日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「かけらのかたち」
2019年3月4日

深沢潮さんの「かけらのかたち」は
タイプの違う女性たちの連作短編で
自己承認欲求の闇を鮮やかにえがいています。



母親がSNSに公開している望む生き方に
窮屈さを感じながらよせてゆこうとする娘の安奈や、
妻が幸せな家庭を書いている体で
人から羨まれるような「自身の理想の家庭」を
BLOGに綴る夫などSNSに翻弄されている
人達が各章の主人公です。


六つのお話の中の「ミ・キュイ」に出てくる
杉坂さんという60歳くらいの女性の
「女としての始末の付け方」について語る
源氏物語の読書会のお話は素敵でした。


最終章で

「人からどう見られたいかでなく、自分がどうありたいか」

安奈の気づきにホッとしました。


深沢潮さんは「かっぱーん」を読んだことがありますが
現実にありそうなゆえに背筋が凍るくらい怖い話でした。


マウティングは自分のまわりには
実生活でもないです、たぶん。
私もインスタグラムなどしていますが
SNSで卒業新郎新婦様の暮らしや
お子様の成長を知ったり
よそのお家の猫ちゃんみたり
花の便りを知ったりと穏やかなことです。

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「珠玉」
2019年2月26日

以前、彩瀬まるさんの
「眠れない夜は体を脱いで」
「桜の下で待っている」などを読み
好きな文体だと感じる作家さんだったので
図書館に「珠玉」を予約して楽しみにしていました。



ですが、最初のほうは小間切れに
語り手が前ぶれなく変わるので
「え?だれ?目線?」
と、見失う感じになって
読みにくく、少し戻って読み返すと
「ああ、なるほど」でした。
黒蝶真珠目線なんて考えもしなかったのです。


祖母が美貌の偉大な歌姫であることが
プレッシャーで自身の外見や才能に
コンプレックスを抱く女性が主人公です。


読んでて、昭和のスターの祖母の
設定に山口百恵さん、中森明菜さんがよぎりました。
読後、参考文献を見て納得でした。


本物と偽物の違いについてお話は展開します。
樹脂パールが黒蝶真珠に話す言葉

それ自体の価値は大したことなくても、
自分の味方だって強く思えるものが
鞄に入ってるだけで、ずいぶん頑張れたって。

偽物であっても本物であっても、
その人の価値観次第で珠玉になるということでしょうか。


誰もが大事な「珠玉」を
持っているはずと教えられるお話でした。

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「おとぎカンパニー」
2019年2月21日

田丸雅智さんの「おとぎカンパニー」は
グリム童話やアンデルセン童話などを
素材にしたブラックファンタジーです。



「マッチ売りの少女」のパロディの
「夕陽売りの少女」のノスタルジック感が
なんとも好きでした。

夕陽のように見えるだけじゃないの。
人の中にある、夕陽の思い出にも火をともせるものなの

読みながら、幼い頃にみた
そろばん塾の帰りに坂の上からみた夕陽や
近所の小路からするお出汁の匂いまで蘇りました。


現代を舞台に風刺やホラーもあったけど
田丸雅智さんが描くとほわりとあたたかいのです。
勧善懲悪で誠実であることの大切さを
教えてくれるものもあります。
まだまだ寒い日はあるけど暖まれる一冊でした。

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「吹上奇譚第2話」
2019年2月18日

吉本ばななさんの「吹上奇譚第2話」は
前作に続いての哲学ホラーとのことですが
人情味もあってファンタジー色強く
屍や墓場と死の匂いがするのに
どこか牧歌的で爽やかです。



美鈴という少女が話すと

言葉がこんぺいとうくらいの小さな字が
ぽろぽろと口から出ては、雪みたいに消えてゆく

楽しいじゃありませんか(o^∇^o)ノ
ばななワールド炸裂です。


少女の霊に取り憑かれた美鈴
(黒美鈴とよぶのですが)のくだりでは
霊も霊に体をのっとられたほうも
互いを思いやる感じが優しくてホロリときました。


あとがきで、今回の作品の執筆の時期は
「青春を象徴した人たちとの別れ」が
多くあったそうです。
大切な人達や愛犬、
おばあちゃん猫ちゃんと続く
悲しいお別れがあり
30年の戦友だったという、さくらももこさんとの
ことにもふれていました。


吹上奇譚第1話に続いて
深いテーマを扱っているのに
あったかくほのぼのするお話でした。

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「あなたの愛人の名前は」
2019年2月12日

島本理生さんの「あなたの愛人の名前は」は
ドキドキあっという間に読めます。



恋愛とは言えないような危なっかしくも
引き寄せあう男女の関係が
人称の異なる短編で収められていて
お話達が繋がっているのです。
一個だけ猫目線の章がありましたっけ。


「氷の夜に」が純文学のような文体で
「あなたは知らない」と「俺だけが知らない」が
女性側からと男性側から一対の作品でした。


道ならぬ恋、幸福感をえたいと
埋められないものを補う感じの男と女。
が、島本理生さんの繊細な感情の表現で
描かれると湿度持ちつつの清涼感がありました。

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「それでも空は青い」
2019年2月8日

荻原浩さんの「それでも空は青い」は
ファンタジー、ヒューマン、ホラーものまで
コミカルに描かれてる短編集です。



帯には「人間関係に正解なんてない。
人づきあいに悩む背中をそっと
押してくれる7つの物語」とあります。
確かにそれぞれの家族の不器用な感じは
ほっこりあたたかくてホロっときました。


「人生はパイナップル」が特に好きで
戦争体験のある祖父の思い出と
孫の現代の思いが交互に語られます。
孫の誕生日が終戦記念日であることも
きっと、意味があるんですね。


「どんなに悲しくても辛くても
空って青いんだよな。」
誰もが、辛い時、空を仰いで
こう感じたことあるのではないでしょうか。
ハートウォーミングなお話達でした。

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「光まで5分」
2019年2月5日

桜木紫乃さんの「光まで5分」は
沖縄を舞台にしたノワール小説です。



いつも暗黒なんだけど、
悪い奴はいたっていいんだけど、
金と暴力と性の
記憶から自由になれない
流されていくだけの主人公の生き方に
読後感はどんよりとなりました。


今回は救いも癒しもまるでなく
桜木ワールドのファンとしては
すっきりしない終わり方でした。

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「髪結百花」
2019年1月29日

泉ゆたかさんの「髪結百花」は
吉原を舞台にした髪結さんのお仕事
時代小説でした。



各章で髪を結いあげてゆく
描写にワクワクしました。
表紙は灯ろう鬢です。
花魁の艶めかしさ
着物やかんざしの華やかさを
想像するとさらに奥行きが広がるようです。


四章では、懐妊の時から
「この子が生きてくれるなら」
と、我が子のために死ぬことは
「そんな嬉しい死に方」何も怖くないと
言い切る潔い花魁の姿に感動しました。


遊郭での花魁の悲惨な境遇に
寄り添う髪結いさんの女性としての
人生もまた悲しいものです。
けれど、最終章では
登場人物すべてが好きになれました。


読み終えてこんな風に命がけで
産んでもらったんだなぁ
母親に感謝しなければって思いました。

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「愉楽にて」
2019年1月25日

図書館で順番待ちの長かった
林真理子さんの「愉楽にて」が読めました。



二人の富裕層の男性が主役で
東京、京都、シンガポールを舞台に
現代の源氏物語のごとく
優雅で甘美なことでした。


登場人物が「あ、あのIT社長のこと」や
「きっと、あの会社ね」ってうかがい知れて
林真理子さんが実際に見聞きしていることを
元に構築しているんだろうと感じました。
そして、女性を値踏みするごとくな
お化粧や服装、雰囲気なんかの描写がさすがでした。


いくつになっても甲斐性があれば
恋ができるというメッセージを受け取った思いです。

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「本日は、お日柄もよく」
2019年1月21日

機を逸して読めていなかった
原田マハさんの「本日は、お日柄もよく」
この度、ご縁あって読みました。



お話に登場するスピーチを読む度
言葉や文章の美しさ
力強さに心を揺り動かされました。
言葉の魔力って、なるほどです。


言葉の持つ力に魅せられた主人公が

なんていい日なんだろう、今日は。
大好きな人たちが、こうして、
集まってくれた。
私たちの、新しい門出のために。

結婚式の日のこの言葉に
今までの金澤syugenの
いくつもの感動のシーンが甦り
卒業新郎新婦様達の最高の笑顔が
思い出され、あたたかぁ~い
気持ちで読み終えました。


美しい日本語を次の時代へと
繋いでゆけたらとも感じました。
初めての古本屋さんにてのお買い物は
満足まんぞくでした。

2019年1月21日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「リトルガールズ 」
2019年1月15日

錦見映理子さんの「リトルガールズ」に
ある思春期の頃、美しい女子友に憧れる
感じは女子の誰もが通る道な気がします。



登場人物の人間関係も複雑
それぞれの思いも複雑です。
夫が妻をすごく愛している
その表現が不思議だったりもしました。
太宰治賞とのことです。


錦見映理子さんの経歴を読んで
「校閲」さんと知り、なるほどでした。
子どもから大人までいろいろな
登場人物の目線で
めまぐるしく語り手が変わるのだけど
とても厳密に描かれていて
スラスラっと読めました。
あ、表紙の裸婦画は50代の女性です。


年末年始と案外と忙しく
なかなか一気読みは難しかったのですが
久々にイッキしました。

2019年1月15日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「猫のお告げは樹の下で」
2019年1月11日

青山美智子さんの「猫のお告げは樹の下で」は
七つの短編からなる人情味いっぱいのファンタジー小説でした。



悩みを持つ各章の主人公が猫のミクジから
お告げをうけとります。
お告げで見えるようになるわけじゃなく
見ようとしていなかったことに
気づけるという感じなのです。

 

猫の描写も愛情あふれていて
神社に現れるハチワレ猫の様子を
想像することも猫好きにはたまらないことでした。

 

一番泣けたのは
思春期の娘を持つ父親の章でした。
我が子とコミュニュケーションが
うまくできないことに寂しさを感じ悩む父親が

家族って、電車に乗り合わせたようなもんだ。

そして

時期がきたら自然に、自分の意志で親と違う電車に乗り継いだ。


と、我が身の成長の時期を思います。

 

私は娘を持った経験も
父親になった経験もないけれど
どしちゃったんだろうってくらいに泣けました。

 

七つのお話は、おしまいで
主人公の気づきと前向きに歩む姿に
ホッコリあたたまれます。

好きな言葉があって

「神の見えざる手で必要な人のところに渡るようにできてるものよね」

「えにし」ということに思いをめぐらせ
まわりにいる人にあらためて「感謝の思い」を
言葉にしたくなりました。

 

「猫」がタイトルに入っていたから
借りたのですがハートウォーミングで
幸せになれるオススメ本です!

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「フランス座」
2019年1月7日

ビートたけしさんの「フランス座」は
装丁が洋菓子のパッケージ
(昔の資生堂パーラーの箱っぽい)
のようにきれいです(*^▽^*)



お父さんの話はテレビで何度も
聞いたことあるエピソードでしたが
それでも笑いました。


子供が大学に行っておらず
ストリップ劇場でバイトしていることを
知りながらもお母さんが、ずっと
私立大学の学費を払い続けていたり
こっそり大家さんに家賃をおさめていたり
さらに小遣を渡すくだりでは
ホロリと涙が出ました。
母親の愛情の深さには胸うたれますね。。。


「師匠に出会って、俺は一生の夢を拾った」
下積時代の自伝的私小説は
昭和ならではの粋も感じました。

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「となりの脳世界」
2019年1月2日

村田沙耶香さんの「となりの脳世界」は
あるあるがいっぱいのエッセイです。



芥川賞作家の作品ってどうも
その文学的な言いまわしに
疲れることが多いのだけど
スラスラサクサク読めます。


二人きりで遊んだことのない女性と
温泉に入った時、その人がお腹を
隠していたからつられてお腹を
隠す話はゲラゲラ笑いました。
「彼女が懸命に隠している部分を
丸出しにしているのが恥ずかしかった」
「彼女がおでこを隠していたら、
おでこを隠していた」と言うのです。
とても可愛らしい女性なのでしょうね。


昔使った歯ブラシとデートする妄想話や
旅行に行く時にあの袋と探す話
日常の瑣末な事柄も
村田さんが書くとおもしくなるようです。
速音読していると度々、吹き出して
ヘロヘロな音読になります。


共感できることも
理解しがたいこともあったけど
ほんわかしていて女性にオススメです。

2019年1月2日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「ポストカプセル」
2018年12月25日

折原一さんの「ポストカプセル」は
15年遅れで届いた手紙をめぐるミステリーです。



ラブレター、遺書、礼状、脅迫状、
受賞通知、待ち合わせの連絡など
15年前の手紙が引き起こす
波紋を描いた一話完結小説です。
が、なんと最後にすべてが繋がり
謎がしっくりおさまるのです。
なので、一気に読まないと結末章で
わからなくなります。


図書館から借りた本が
今、手元にちょうど10冊
年末年始は図書館のお休みもあるから
貸出期間が長くて嬉しいなぁです。
私も人並みに師走でせわしなく、
なかなかゆっくりとは読めないから
この時期はエッセイを選んで
お正月は頭がこんがらがりそうな
長編小説を一気読みしてやるんだ!
うん!そうしよう!

2018年12月25日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「ツキマトウ 警視庁ストーカー対策室ゼロ係」
2018年12月19日

真梨幸子さんの「ツキマトウ
警視庁ストーカー対策室ゼロ係」は
ストーカーをテーマにした連作ミステリーです。



自身は被害者と思っているけれど
実は加害者だったりします。
加害者と被害者が紙一重って
言うのが怖いのです。


登場人物の心情や行動がとにかく
変わっていて理解しがたいものが
多かったのですが
「嫉妬と羨望の違い」は
ふうむ、なるほどでした。


昭和歌謡の「キャンディ」の
歌詞の解釈は、えー?そんな!
っと、びっくりです。
原田真二さん、可愛くて爽やかだったから
そんなエロテックでおどろおどろしい
内容だなんて思いもしませんでした。


人間関係が絡まりまくって
時間軸も飛びまくり
一気読みしないと見失ってしまう感じで
頭の体操になったはず(*^▽^*)。
ラストでどんでんもあります。

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「お別れの色」
2018年12月13日

図書館が2週間の調整期間で
ちょっぴり寂しかったものだから
休館明けはなんだかソワソワして
湿度をたっぷり含んだイチョウの
落ち葉で足を滑らさないように
気をつけながら走りました。


予約の本とお休みの間の新刊も
借りれて嬉しいなぁ
っと、外に出たら降っていて
傘を持たずに来てしまったから
図書館のティールームで
お茶して待つことにしました。
借りたばかりの本とハーブティで
過ごす時間なんと贅沢なことでしょう^^



吉本ばななさんのどくだみちゃんとふしばな
シリーズは毎回、読んでいます。
今回の「お別れの色」は愛犬との
別れの気配を感じるお話が
愛情深く綴られていました。


日常の中で寝たきりのワンちゃんに
見つめられて、見つめ返す時

その目に映し出される魂の姿しか見えていない。

もう、愛おしくていとおしくて
しかたないという感じで
人間同士だとなかなか叶わないですよね。
崇高な愛情です。


明日にも死ぬかもしれないっていう
ワンちゃんのためにふかふかのベッドを
用意して早く寝かしてあげたい
と思いながらつくのがこわい気もして
いつも犬と歩いた道をゆくという
くだりはもう大泣きです。


切々と静かな文章で丁寧に
心のうちが描かれていて
ほのぼのするエッセイでした。

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「京洛の森のアリス Ⅱ 自分探しの羅針盤」
2018年12月10日

前作「京洛の森のアリス」では
ありすが天職を見つけるための
自分探しをするのですが
今作では蓮が自分探しの旅に行きます。



ありすは着物で書店の仕事をしています(*^▽^*)
と言うことで今回は表紙が和装です。


うさぎの棗が言います。

「一人一人、持っている速度が
違いますから、誰かと比べるのは、
そもそもが愚かなことなんですよ」


こんな風に深い言葉が数多くありました。


芸者さんの紅葉さんがありすに言います。

「『自分が感じたことを丁寧に教えること』と
『自分の意識を押し付けてしまうこと』は、紙一重や。
もし、自分の意識を相手に押し付けてしもたら、
同時に大きな『責任』も伴う。」

相手のためを思っての助言は
自分の考えを押し付けることではなく
愛情と覚悟を持ってしなければいけない
と言うことでしょうか。


また、「天職は一つとは限らない」

ありすは、本屋さんの店員さんに
なりたいと望みそれが叶って書店を開きました。
私も読んで面白かった本を人にすすめたり
誰かの好きな本の傾向を把握していたら
きっと、これ気に入ってくれるはずとすすめたり
あと、感想を聞くのも好きです。
私もウェディングプランナーが
天職って思っているけど
本屋さんもありなのかなぁなんてことも思いました。

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「海の見える理髪店」
2018年12月5日

表題作「海の見える理髪店」は古い
邦画を見ているような懐かしさを感じました。



荻原浩さんのファンタジー小説は以前から大好きです。




理髪店の店主は主人公の男性が
いつかきっと来ると待っていた気がします。


鏡越しに海に陽が落ちてゆく
様子が私のまぶたにもオレンジの
色み強く思い描けるようでした。




「いつか来た道」は娘の立場で
あったなら誰もが母親に持つ思いと
母親が老いてゆくことを受け止める
痛みが描かれていて切ないことでした。
列車に乗る時、幼い頃の辛い思い出と
憎しみに決別できたのだと感じました。




「遠くから来た手紙」は
ユーモラスでありながら
戦争中の夫婦の優しい情愛に泣けました。




他のお話も穏やかで心あたたまります。
この作品は直木賞受賞とあって
出版当時あまりにも図書館の貸し出し
順番が長く借りることをあきらめました。
この秋、気持ちがめいっていた時に
図書館をゆっくり歩いていて
本棚で目にとまったのでした。
本も人も出会うべき時に
出会えるものなんだと感じました。

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「はつ恋」
2018年11月30日

村山由佳さんの「はつ恋」は
猫のユズちゃんとの生活
幼馴染の彼や親御さんのことなど
日常が綴られた自叙伝のような小説でした。



認知症の母親とのくだりではせつなくなって涙が出ます。


四季折々の自然を愛でる描写が繊細で素敵でした。

それら一つひとつが、まるで古い書物に
はさんでおいた栞のように、
ハナの記憶の一ページを開く手がかりになる。

虫の鳴き声や風のにおい、光の色で
懐かしいある情景が鮮やかに
蘇ることってありますよね。
毎年、繰り返される四季は
その都度に喜びと感動にあふれ
偉大なことです。


人生最後の恋は穏やかでありながら
ときめきもあって、胸の高鳴りは
はつ恋をした年頃から随分と
たっても変わらずにあるらしいです。

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「水曜日の凱歌」
2018年11月26日

乃南アサさんの「水曜日の凱歌」は
716ページかなりショッキングな長編でした。



残酷シーンが多くプロローグで早くも
リタイアしようかってチラリと思ったけど
本章に入ると夢中で読み切りました。


これは映像化したら残虐過ぎて
直視できないだろうと思います。
想像できないようなむごたらしい
表現が続くのですが、涙が
あふれてとまらなくなったのは
学童疎開していた子供たちが
東京に帰ってきたら焼け野原で
家族がいなくなっていることに気づくくだりです。
誰も迎えに来てくれなくて独りぼっちで
どこに家があったのかもわからず
行くところもなく保護してくれる人もいない
食べ物もなく寝るところもない
心細いなんてもんじゃなかろう
その子たちは生きることができたんだろうか。
そして、命を奪われる瞬間に
きっと愛する我が子を思ったであろう
親の無念さはいかばかりか・・・・・。
今文字にしていても涙が出ます。


拗ねてばかりいた主人公の少女
鈴子が僅か一年で目覚ましい成長をします。
逞しく生きてゆく女性達が多く描かれており
その中でも鈴子の母親のしたたかさが
なんとも言えないのです。
鈴子の母親からみた戦前から戦後を
読んでみたいとも思いました。


一億総懺悔なんて冗談じゃない
ほとんどの国民が望んだ
戦争じゃなかったはずです。
弱者(ほとんどの国民)ばかりが
地獄(それ以上かもしれません)の
ような苦しみを味わされた戦争は
たったの75年前のことなのですね。


戦争を経験した人がご高齢となり
風化されていくことも考えられます。
こんな風に文字で戦争の惨さ愚かさ
人々の苦しみを伝える小説が
あっていいと思います。
どうか愚かしい戦争が二度と起こり
ませんようにと強く強く祈ります。
オススメの一冊です。

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「緑の花と赤い芝生」
2018年11月19日

伊藤朱里さんの「緑の花と赤い芝生」は
真反対の性格の27歳同い年の
嫁と小姑が交互に語ります。



万人に嫌われたくない杏里と
他者とのかかわりが苦手な
エリートでリケジョな小姑の志穂子は
互いを嫌悪し怒り、けん制しあいます。
そして、二人は共に自身の母親を
受け入れられない息苦しさを抱いています。

語尾や語頭をひょこんと動かすそれには、小動物がしっぽを振る動きさながら場をやわらげる効果がある。

志穂子は関西弁で可愛く話す杏里を
このように見ていました。
確かに方言キュートだったり
親密さを深めやすかったりしますよね。


が、杏里と志穂子が対峙するシーンで
ゆわふるキャラなはずの杏里が
尼子インターの渚としか思えない
話し方となって(たぶん声のトーンも)
本音を互いにぶっつけあいます。
このシーン好きだったなぁ気分爽快( •ॢ◡-ॢ)-♡。


さて、お話にはおもしろい言い回しがいっぱいありました。

呼び鈴ってどうしてこんな音なんだろう? クイズに正解したときの音。ピンポーン。急にやってきておいて、自分が正しいと言わんばかりに。ピンポーン。これが正解です。ピンポーン。拒むあなたが悪い。ピンポーン。

あはは!言いえて妙
昭和歌謡が出てきたりけっこう笑えました。


随所に赤と緑の印象的な対比があります。
あ、今日「緑のおばさんの日」なんだそうです。

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「「違うこと」をしないこと」
2018年11月12日

吉本ばななさんのエッセイ
「「違うこと」をしないこと」を読みました。




毎日は選択の連続で、自身の
心の声を聴くことこそ大切と
ばななさんは言います。


すごく好きな考え方は

時間は、未来から過去に向かって流れている

普段、時は過去から流れて
今に至っているって感覚ありますよね。


ですが、確かに創作祝言を
組み立てる時にこういう感じあります。


例えば「お二人の新生活には
ご家族の応援があったら
きっと心強い」と感じた時
親御様にむけてのさりげない演出を
提案させていただくことがあります。
もちろん、お二人の個性にあったかたちでです。
結婚式は、お二人がお互いのお家に
受け入れられる良い機会ですから。


良い結婚生活にむかって
お二人と一緒に思いの伝わる
結婚式を創り上げてゆきます。


あちこち気になったところから
読んでいたら、あとがきで
「パパブブレの飴のように、
どこから読んでも」とかいてありました。
大変、自由に読みました。

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「ふたりぐらし」
2018年11月6日

桜木紫乃さんの新刊
「ふたりぐらし」は
夫と妻が交互に一人称となる
「ふたりで生きていくこと」を
テーマにした連作短編でした。



出会ったときからこの声が好きだった

と、妻が思う、その感じわかります^^。
声に、言葉や表情以上に
その人となりを感じます。


桜木さんの作品につき
闇世界や危なく艶っぽい男性が
登場する暗黒小説を期待して
おったのですがつまつまとした
毎日の暮らしの心の内が
丁寧に繊細に描かれています。
なんならそこにあるであろう
生活臭まで想像できました。


ヒモのような夫が
母親が亡くなって一年して
鳩サブレの缶に500円貯金と
遺されたメモを見つけます。

素っ気ない演技に騙されていたのか

親の心、子知らずに泣かされました。


夫の上司の男性が付き合っている
女性の母親を病室で看取る時に
整髪料のにおいを感じるシーンがあります。

「この匂いはお父さんのものだ」

と女性が言うのです。
のちに男性が語ります。

お迎えっていうのは、
逝く側が心から
望んだ人が来るのかもしれない

このくだりがとても、とても好きでした。


来し方行く先を考える世代も
これから結婚を考える世代にも
良き一冊と思います。


本の帯に「一日一章ずつ」とあったけれど
こらえきれず一気読みしてしまいました。

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「廓のおんな 金沢名妓一代記」
2018年10月23日

ずっと読みたかった井上雪さんの
「廓のおんな  金沢名妓一代記」を読みました。



時代小説が好きで吉原や京都の
花街のお話には多く出会い
岩下尚史さんの随筆でも
新橋や深川、赤坂などなど
地域によって芸者さんの
営業の形態が違い
時代によっても役割が変わった
ことなども知り金沢の遊郭に
ついて書かれたものを探していました。


きぬさんも本が好きだったそうです。
「芸者は新聞や本を読んだら
恐ろしい人間になる。旦那さんが
つかなくなる」と禁じられ
読み書きを覚えることも嫌がられたため
泉鏡花を隠れて読んでいたと言うのです。
知恵がつくことを女将は嫌ったようです。


13歳の時にロシアの俘虜に
「オジョサン」と生涯に一度だけ
呼ばれてお嬢さんは良家の
子女をさす言葉だったから
胸が高鳴ったと言うのです。
そして、17歳で初めて横山邸で
お雛さんというものを見たと
書かれていてせつなくなりました。


明治から昭和までの世相
時代の移り変わりが描かれています。
金沢の町にロシア人の俘虜が
大勢いて(天徳院に300人も入れるんだ!)
随分と大切にされたようです。
金沢駅から出発する汽車を野町まで
見送りの人が連なっていたというのを
頭の中で想像しました。
元旦は日本髪を結い毘沙門さん
(宇多須神社さん)に黒留でお参り、
続いて挨拶まわりをしたそうです。
兼六園に屋形船が浮かび
霞ケ池を一周したなどなど
そんな時代があったんだと
セピア色の風景を思い浮かべながら
読み進めました。


母の世代というより祖母が使っていた
金沢弁の話し言葉で語られていて
それは、今の濁音が多い金沢弁ではなく
まあるい響きのある言葉で
今はまず聞くことのなくなった
「はしかい(賢い)」
「はごたえ(口ごたえ)」
などなど懐かしい方言に
タイムスリップした気分でした。


その昔の金沢の風習や暮らしなども
うかがい知れてオススメです。

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「彼女の恐喝」
2018年10月15日

藤田宜永さんの「彼女の恐喝」は
昭和のドラマを観るような
どこか懐かしい感じがしました。



主人公の女子大生の矛盾している性質
「悪女だけど優しい」「狡猾だけど健気」
これは、作家さんの若い女性への
願望なのかしらんと想像しました。


主人公も含めて登場人物達が
暗黒の中にいながらも人としての情を
持ち続けていると感じられて心地よく読めました。


未読のページがもうわずかしかない頃には
いったいどう決着するのだろう
って、ハラハラ急いで読み進みました。


あまり、読まないラブノワールサスペンスですが
ドキドキおもしろかったです。

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「静かに、ねぇ、静かに」
2018年10月9日

石川出身の作家の本谷有希子さんの
新作「静かに、ねぇ、静かに」は
ネット社会を描くホラー三作品でした。



一作目の「本当の旅」は
SNSで誰しもが持ったことのある
違和感が気持ちいいくらいに
あぶりだされています。


自分を探し続けたままアラフォーに
なった三人は一緒にいながら
SNSで会話をしたり、
加工、編集してインスタ映えする
写真を楽しい思い出として
SNSにのせ「作りものの旅」をします。


例えば「こんなもの日本じゃお金は払えない」と
感じている料理を懸命に写真を撮り
スマホの画面をのぞきこみ「おいしそう」
と、満足し冷えた料理を食べる
そんな三人は不気味です。

僕が本当はどう感じたかなんて、
たいしたことではないのだ。


画面の中の自分たちが
楽しそうで仲よさそうで
食べ物がおいしそうなことに
充足感を得るようになったというのです。


無神経でまわりへの迷惑おかまいなし
それでいてお気遣いな自分に酔っている感じや
ハラハラするようなポジティブ信仰
(思考ではなく)っぷりも違和感あります。
おもしろくってあっという間に読みおえました。




ネットショピング依存症の二作目
「奥さん、犬は大丈夫だよね?」
動画配信をする三作目
「でぶのハッピーバースデー」は
芥川賞の「異類婚姻譚」を
読んだ時のあの感じで
私にはうまく理解できませんでした。

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「彼女は頭が悪いから」
2018年10月1日

「彼女は頭が悪いから」の
第一章は平凡な女子高生の日常が
事細かにかかれていて退屈で読むのを
やめようかと何度も閉じかけました。



ウィット、言葉をかえたら
イヤミな表現で度々、東大生を表現し
東大生の差別的蔑視の感情の
詳細が描かれていますから
とにかく嫌な気分になって
がまんして読み進むうちに
どんどんさらに嫌な気分で
いっぱいになって
不愉快きわまりなく
途中でやめて寝るってことができない
と、夜更かしして一気読みでした。


恋の終わりはせつなくて
一縷の望みを信じたい
被害女性の気持ちもわかるわかるです。


被害女性を残して帰って行った
知人女性の行動は理解できず
私だったら無理矢理でも
「さ、一緒に帰ろっ」とひっぱって
部屋から連れ出すんだけど・・・
って思いました。


物語の終わり被害者女性の通う
大学の教授の言葉にボロボロ泣けて
不快感いっぱいで読んできた
心が救われました。


人の痛みや苦しみを共感する能力は
東大を合格するには無駄で
不要なのだといったことが
かかれていたけどそんな人ばかりではないです。


姫野カオルコさんの作品
他も読んでみたいと思いました( •ॢ◡-ॢ)-♡。

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「正しい女たち 」
2018年9月26日

千早茜さんの短編集
「正しい女たち」を読みました。



この中で、半年後の春に幸福な
離婚を約束している夫婦が
心穏やかに残り少ない日々を
過ごすお話がおもしろかったです。


一緒のベッドで寝て互いを慈しみながら
日々を暮らす二人はおだやかな夫婦です。
それでいながら「離婚は結婚の死」と
もうすぐ死にゆくときの冷たい気配が漂っています。


これで終わりだと思えば、
相手への憎しみや怒りも和らぎ
優しくなれるものなのかもしれません。


諦めたことでかえって
残されたの二人の時を大切にしようと
終わりに向けてゆっくり思い出を
静かに作っていくの感じが切ないけど良かったです。

2018年9月26日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「大人は泣かないと思っていた」
2018年9月20日

初読み作家の寺地はるなさんの
「大人は泣かないと思っていた」は
文体のバランスも良く読みやすかったです。



噂話が娯楽というような
田舎町での男尊女卑のエピソードが
リアルに描かれています。


主人公が変わる連作短編が
繋がってゆきます。
到底共感できない無神経で
横暴かつ身勝手なおやっさんの章もありました。
ですが、おやっさんの孤独、悲哀もあり
この章が一番おもしろかったです。
ラストに長年連れ添い我慢し続けた
奥さんがああたに言いたいことが
たくさんあるから伝え終わるまでは
長生きしてという
それがなんとも優しさに満ちていて
ふわっとあたたかい気持ちになりました。


それぞれの章の目線が変わり
女ゆえの窮屈さがあり
男ゆえの苦悩ってのもあって
また、年代別の悩みってのが
あるんものなのだということを感じました。

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「燃える波」
2018年9月17日

村山由佳さんの新刊「燃える波」を読みました。



子供っぽく自分勝手なモワハラ夫との
間でのトラブルの起こりかたや
進展のしかたとかが
とにかくリアルでこういう
経験あったんだろうなって
ここまで心の機微の詳細をえがけるは
想像だけでは無理だろうななんて考えたりしました。


主人公の仕事が順調で
その成功のしかたがはんぱないのです。
そして、さらには主人公を
ずっと昔から慕ってくれていた
同級生の男性との出逢いがあって
ほめてくれるし感性が似ているし
恋も仕事も順調ってドリーム感いっぱいです。


さて、先日のNHK「ネコメンタリー
猫も、杓子も。村山由佳ともみじ」は
関西弁で話す猫(上野樹里さんの
ナレーション)のもみじちゃんが
最高にキュートでした!


そのドキュメンタリーで村山さんの
二回目の離婚のあと同居する
同級生の男性が実在するのを知りました。
あぁ、小説はほぼほぼ自叙伝でしたか。
なんて無粋なことを考えてはいけませんね。
小説、おもしろかったです☆”

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「ほんのきもち」
2018年9月10日

「ほんのきもち」は、16人の
作家さんが贈り物について書いた
幸せな気持ちになれるエッセイ集です。



初読みの鹿子裕文さんの
「とっておきの一冊」は
リズムも心地良く
きっと相性いいなっと読み進んだところ
とどいた贈り物のところで泣けました。
で、お返しにおくったお品に
また、泣けました。
なんともあたたかい気持ちになれます。


やはり、初読みの乾ルカさんの
「天使の名前の犬のこと」では
顔が水浸し大事件になりました。
愛犬ガブリエルとの思い出話は
どれもこれも微笑ましく
亡くなった愛犬へ感謝の想いを
「いまだかって味わったことが
ないほどの悲しみをくれた」
と、それが贈り物だったと綴られていました。
8ページ(内1ページは下の絵)のお話はすごい威力です。



挿絵のセンスも良いのです。


贈り物に困った時にきっと
心強いなっていうバイブルのような本でした。

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「ありえないほどうるさいオルゴール店」
2018年9月1日

今日から九月、涼しいです。
丘の芝生がお盆ごろはワラの色をしていて
夏の芝生ってこんな色だったっけ
と、不思議に感じていました。
ですが、ここんとこの雨で
みずみずしい青が甦り誇らしげに輝いています。


瀧羽麻子さんの七つのお話
「ありえないほどうるさいオルゴール店」は
タイトルとは裏腹に静かな店内でおこる
優しい物語達に泣けました。



それぞれのお話は独立していて
各結末に心ほのぼのとする展開があります。
ファンタジー系好きさんにも
ヒューマニズム系好きさんにも
お子様にもご年配にも
とてもオススメの一冊です。


人生の大事な場面でたまたま流れていた曲が、
心に残ることもある。
音楽は大切な思い出を呼び起こす。
 

自分にはどんな曲のオルゴールなのだろう
心の音をカタチにしてくれる
こんなお店があったらいいなぁ♫•*¨*•.¸¸♪✧


余韻も楽しめます。
フェバリット図書が増えました。

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「切なくそして幸せな、タピオカに夢」
2018年8月28日

吉本ばななさんの
「切なくそして幸せな、タピオカに夢」は
SoupyTangさんの挿絵が
可愛らしい絵本のようなエッセイでした。



父上との思い出、そして自身が親になり
子を思う気持ちが綴られていて度々泣きました。


野菜やおでんのネタだったり
猫ちゃんのいる台所の挿絵が
エッセイの思い出話を
とても身近なものにしてくれます。
例えば市場で父上がほうれん草を
買ってくると「ほうれん草づくし
メニュー」になるという思い出の
挿絵は、ほうれん草料理達を
さらにほうれん草がループして
囲んでいるのです(*^▽^*)。


子供が5歳の頃の母子の写真を
見つけて泣いてしまうくだりがありました。

もうこんなときは二度と戻らないのだと思った。(略)
あの写真を見た一瞬、私はあの時間の中にいた。

私も幼かったころの我が子を思い出し
ふわっと涙が出ました。


写真って大切ですね。
幸せな瞬間の写真を見返した時
巻き戻せる感じが愛おしいですね。

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「ののはな通信」
2018年8月24日

三浦しをんさんの全編書簡形式の
小説「ののはな通信」を読みました。



高校生の文通や授業中のメモは
確かに経験あるけれど今となっては
(ましてや他人の)興味はなく
いったんは読むのやめようとしたものの
図書館の紹介文を読んで
おもしろくなるのかな
以前に読んだ作品も良かったしな
図書館の長い順番待ちの末だしな
と、読み進みました。


無音で読書するのだけど
一章では、ドラマ高校教師の主題歌
(森田童子さんのぼくたちの失敗)がリフレインします。


二章では、ののとはなの再会があり
会えなかった時期の恋や様々な経験と
近況を手紙で語りあいます。
そして、大きな転機を迎え
連絡を取り合わないことを決めます。


三章で手紙はメールになります。
ののが亡くなった愛おしい人の
思い出をかくうちに
「文章って、変なものですね。
過去やあの世とつながる呪文みたい。」
文字にすることで偲ぶことも供養ですね。


はなが「ひとが手にすることのできる
最もうつくしいものは、
宝石でもお花でもなく、記憶なのです」と
若い日の二人を懐かしく振り返ります。


ののが「記憶が私たちを生かす糧」と
決して後ろ向きな意ではなく
愛し愛された記憶が人を前進させると語ります。


最終章では、宮崎駿監督映画の懐かしく
清らかな曲(手島葵ちゃんが歌う)が
耳の奥でリフレインしました。


自己評価が低く他力本願だった
はなの成長は力強く
年月が人をかえる感じと
それでいて縁のある人とは
また繋がれるものなのだと希望が持てて
終盤はとても感動していっぱい泣きました。


若い頃のひかり
歳を重ねて研磨されてゆき放つひかり
きっとあるよね、
そう思える一冊でした。

2018年8月24日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「ブルーハワイ」
2018年8月20日

夏らしい表紙の青山七恵さんの
「ブルーハワイ」を読みました。



独立した六つの短編小説は
教師と教え子、同僚の女性、母娘、
姉妹、女友達、従妹、祖母と孫
などなどの女性特有のどこか
時に神経質だったりするあるあるが満載でした。


「ミクラ―シュの日」という小説が好きでした。
長く付き合っていて気のあう友人は
一番一緒にいてラクチンなはずなのに
旅先で喧嘩してしまう感じ
わかる、わかるのです!


楽しい旅になるようにと最初は
お互いにいい意味で緊張しているんだけど
旅も終盤に近付くとだんだんと
苛立ちが積もってきます。
で、喧嘩のきっかけもなんだかわかるのです。
暑さ寒さは人によって違っていて
そういうことで突発的に我慢できず衝突しちゃいます。


異国の地で孤独や恐怖もあって
さらにさらに過去にさかのぼって
ひっかりを自分でみつけては積もらせてゆきます。
主人公の胸の内には負の感情が渦巻くのです。


けれど、だんだんとクールダウンしてゆくと
反省もします。
寂しい気持ちになった時、あの子がここに
いてくれたらなと考えます。
で、おしまいには「走れメロス」をちらっと思いだした。


夏らしい表紙って思ったけどこれ水着じゃなく下着ですね。



裏表紙で気づきました(^_^;) 。

2018年8月20日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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「エンディングドレス」
2018年8月15日

蛭田亜紗子さんの「エンディングドレス」は
この時期に読むのにふさわしいお話でした。



最愛の人をなくした主人公の麻緒は
絶望感の中で自殺する準備を進めています。


ひょんなことから死に装束を作る
終末(決して週末ではない)洋裁教室に
通い陽気な3人のおばあさんトリオの
おリュウさん千代子さんしのぶさんと
一緒にエンディングドレスを
縫うための課題に取り組みます。


戦時中にはたちを迎えた千代子さんは

「娘ざかりのいちばん輝いていたころ、
わたしは着飾ることがいっさいできなかった。
せめて死に装束はとびっきりお洒落をしたいと思って(略)」

千代子さんの思い出が
せつなくて大泣きしました。
戦争中に青春時代を過ごした多くの女性が
経験されていることと思われます。
千代子さんの母親が浴衣だけはと
とってあったというその親心にも大いに泣きました。


『自分以外のだれかのための服を
つくってください』の章でも
千代子さんの優しさにキュンと泣かされました。


おリュウさんが最期の装いに選んだのは
真っ赤なビーズ使いのドレスで
それは、おリュウさんの好きな花に
囲まれた時にとてもひきたつ衣装でした。


主人公の変化していく様がとても手ごたえがあって

「服を一着完成させるごとに、
わたしはばらばらになった自分のパーツを
縫い合わせるように立ち直っていた」

というセリフが心に残りました。
主人公が人と接し交流することで
少しずつ再生していきます。
読後は爽やか気分になれました!

平和を意識することが多い
この時期にちょうどこの小説に
出会えたことに感慨深い思いでいます。
終戦記念日の今日、二度と戦争が
起こりませんようにと強く祈ります。


女性が自由に装うことができる
今の時代はとても幸せだと感謝します。
そして、ハレの日に花嫁様の
お手伝いができることは誇らしく
さらに丁寧に大切にと心から思いました。

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「消えていく日に」
2018年8月12日

加藤千恵さんの「消えていく日に」は
記念日にまつわる九つのお話の短編集で
揺れ動く女性の心が描かれていました。



「消えていくものたち」がとても好きでした。
主人公はいくつなんだろう
と、はっきりしないけど
東京に路面電車が走っていて
高層ビルがなかった頃に恋をしていたようです。
主人公が喫茶店でハロウィンの日に
携帯電話で写真を撮りあう仮装姿の
若者達に驚きます。
恋をしていた頃を振り返り
あの時に携帯があったらあんなすれ違いは
起こらなかったとか思いを巡らすシーンは
わかるわかるです。
私も携帯のある時代とない時代と両方を
知っていますから。


主人公が過去を振り返って

後悔はいくつも残っているが、
後悔のない毎日だったのなら、
逆にこんなにも楽しめなかったのかもしれない。


いい言葉ですよね。


ネタバレになってはいけないので
核的なことかけないですが
好きな人や家族をいつもそっと気にかけて
見守っている感じにウルウルしました。
盆どきにぴったりなお話だと思いました。


「赤いプレゼント」の一文

つらかった記憶じゃなく、
幸せだった記憶のほうが、ずっと涙腺を刺激する。


別れた男性とのことを思い出す
切ないお話なんですけどね。
何気ない日常の中で起こった
幸せな出来事を思い出が愛おしくて
じんわり涙するってありますよね。


生きていると立ち直れないくらいの
絶望感に襲われることもあります。
ですが、すべてのことはいつも流れているのですよね。
新しい一歩を踏み出す気持ち大切にしたいです。


あと、表紙と裏表紙も好きでした。
パンプス・マニュキュア・フランスパン・
フライパン・ショートケーキとか日常の中に
あるもの達がきっかけで
時々、古い時間に思いをはせます。

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「放蕩記」
2018年8月5日

小学生の頃の夏休みは毎日
ソロバン塾がありました。
先生に「あなたを見ていると
ファッションショーみたいね^^
毎日違う服着て来て」と
言われたことを覚えています。
母手製のこましなデザインの洗濯機で洗える
綿のワンピースが多かったです。
母は、家にいる時はいつも縁側で
ミシンをかけていました。


公立の小学校なので普通に制服が
あったのですが学期ごとの始業式と
終業式には母親手製のフォーマルな服を
着せられていました。
そういう節目には正装させたかったようです。
我が母親はなかなかのトリッキーさんでした。



村山由佳さんの「放蕩記」はほぼ
自叙伝っぽくって母と娘の微妙な確執に
悶々としている主人公の姿に
自分と通じるものがあります。
なかなか強烈なお母様なのです。


物語の後半、年老いた母との
関係が変化してゆきます。
自分の記憶と合わせても悲しくなりました。


誰もがきっと持っている母親への思いに
色々と共感できて、心が痛くなることも
多いけどとても好きなお話です。

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「愛することばあなたへ」
2018年7月31日

瀬戸内寂聴さんの「愛することばあなたへ」は
素敵な言葉がいっぱいありました。



「健康の秘訣は、心にわだかまりを持たないこと。
言いたいことをじいっと我慢しているより
口に出して言ったほうが、
心のわだかまりがなくなります。」

大人になるってことは言わないで
心に蓋をするという選択が増えること
なのかなって思っていました。
ですが、確かにいい関係を
構築してゆきたいと願う人には
きちんと伝えたほうがいいですね。


もういっこ好きだった言葉です。

好運は、陽気でユーモアが大好きだ。
笑う門には福来たる。
世の中、無理にももっと笑って、
好運の連鎖反応が起きますように。

好運も幸運も笑顔でいたほうが
近寄って来てくれるってことですね。
幸せのスパイラル広がりますように( •ॢ◡-ॢ)-♡

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「うかれ女島」
2018年7月28日

花房観音さん「うかれ女島」都市伝説にもなった島は実在しているそうです。

表紙はカラヴァッジョ代表作「マグダラのマリア」

「東電OL事件」デジタルタトゥーやリベンジポルノとか

男性が一人称でかかれている章で
自分を捨てたのだと思っていた母親が
子どもを大切に思っていたことを知る章では泣けました。

女性が社会で生きにくい

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「いちごの唄」
2018年7月25日

峯田和伸(銀杏BOYZ)さんの曲を
題材にした岡田惠和さんの小説
「いちごの唄」は題名と表紙の印象で
ファンタジーなのかなと読み始めたら
せつなくもあるヒューマンラブストーリーでした。



自転車でブレーキをかけずに
急な坂をおりるシーンから物語は始まります。
私も小さい頃、近所の坂を世界一急で
大きな坂なんだって思いこんでいて
自転車でワンパクしては世界征服の冒険気分を味わってましたっけ。


主人公が父親に
「ストロベリーフィールドって知ってる?」
と、聞くと父親は
「おまえとビートルズの話が
できるようになったなったんだ」と
感慨深く言います。
確かに親子で音楽の話って嬉しいですよね。


登場人物がみんな優しくて
「銀河鉄道の夜」の章は大泣きしました。
ネタバレになってはいけないので
かけませんが物語の終わりに
「ストロベリーフィールド」ワードが
出てきて、ここでフワッと泣けます。


峯田さんの描き下ろしイラストもあり
一曲ごとの短編が繋がって全体が
一編の物語となります。


あ、「ストロベリーフィールド」って
ジョン・レノンが育った近くに実在していた孤児院だそうです。
夕食後サラサラあっというまに読めました。

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「偽姉妹」
2018年7月21日

図書館で順番待ちしていた
山崎ナオコーラさんの「偽姉妹」が読めました。



本当の姉妹との会話に嫌な感じがして
50ページくらい読んだところで
返してこようって思いました。
けど、1日たったらまた読んで
みようかなって思えて100ページ
くらいからでしょうか、なんだか
おもしろくなってスルスルっと読めました。


全編に顔の美醜がからんできて
容姿によってヒエラルキーや
マウンティングと、
そんなものかしら・・・
なんて感じることも多くありました。
私は、目鼻立ちというより
表情のいい人を美しいと感じます。


お話の中でエリック・サティの音楽を
背景みたいと主人公が言います。

サティは「家具の音楽」を提唱していて、
意識的に聞かれない音楽を目指したんだ


じゃまにならないしあきないとも。
同感です。
耳にさわらなくて穏やかで
音をはったり主張したりがなく
私もBGMでよく聴いています。


最終章、描かれている未来で
「小説を読もう」と電子書籍を
ダウンロードします。
私は電子書籍というものが読めません。
映像の文字は物語を読んでも
感情が入ってこないのです。
紙に印刷してある文字でなければ
感動はありません。


借りた本は、2週間は手元に
持っていてもよいのですが
私のあとにもこの本は
予約待ちのかたが多かったので
優先して読みました。
次の「紙に書いた本」が好きなかたに
読まれていることでしょう。
未来にも紙にインクで印刷された
書籍が読めますようにと祈ります。

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「砂上」
2018年7月17日

桜木紫乃さん「砂上」です。



桜木作品には、男の色気って
こういうことなのかしらんと思える
影のあるかっこいい男性が登場します。
「霧」や「ブルース」「裸の華」では
実社会ではかかわりたくない
(かかわってはいけない)危ない
男性が物語の軸となっていて
ゾクゾクしました。
ですが、この作品の登場人物は
なんだかふがいない男達でした。


小説家になりたいアラフォー女性が
作家デビューするまでの話で
厳しい女性編集者のアドバイスを受け
時に反発しながら自分の生き様
母や妹との関係を題材にした
私小説を書き上げます。


物語を生み出す作家の凄まじさを感じ
この物語自体が桜木さんの私小説なの
かしらんと、思ったりしました。


ちらかり放題の思考が、一本に
まとまってゆくときの心地好い感覚がある。


このくだりが爽快感がうかがい
知れてとても好きです。
私の仕事も、点と点を紡いでゆく
作業が多く、整った時の
気持ち良さと言ったらないですから。

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「猫を拾いに」
2018年7月12日

川上弘美さんのSFもありな短編集
「猫を拾いに」は文章が穏やかで美しいことでした。



「はにわ」のゲイの息子と
そのことに罪悪感を持つ母親の
たがいに思いやる優しい関係がいいなぁと
親子の幸せを祈りたくなりました。


「猫を拾いに」では政府広報にいつも印刷されているという

人と人との絆をまもるために、贈り物は大事なのです。

なんてほのぼのとした街なのでしょう。


「金色の道」はぬりえのように
人の顔の色が感情によって変わり
複雑な思いがあるとグラデーションに
なったりして見えるというのです。
現実の世界でもホントに見えている人がいるような気がします。


最後の「信長の怨霊」は笑ったわらった!
一個いっこのお話が可愛くて
こんなことホントにあったら
なんて考えるとワクワクしました。


壇密さんが独特の言葉で
解説をかいているのですが、
「このお話達が好きなんだなぁ」って
よぉく伝わってきました。


幻想的な「ミンミン」では小さい人がでてきます。
小さいおじさんの話はけっこう好きです。


このひとつ前に読んだ
アンソロジー「華やぐ女たち」の
川上弘美さん「庭のくちぶえ」でも
「ちいちゃなおじさんは実在するんだ!」
って楽しい気分になりました。



佐野洋子さんの「これはペテンか?」は
ほのぼのとした老いがあります。


岡本かの子さんの「老妓妙」は
老いてなお、粋な女性がかっこいいのです。


林扶美子さんの「晩菊」は
平行して年をとった男と女が
過去に熱い恋をしていた頃の
昔を懐かしむ会話をしながら
胸のうちではたがいに洞察し
値踏みする感じがおもしろかったです。


片山廣子さんの「子猫ノハナシ」が
童話のようでとても好きでした。
夢の世界に旅立つように
生涯を終えられたら
なんて幸せなんだろうって、憧れます。

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