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「政略結婚」
2017年7月19日

北國新聞に掲載されていた高殿円さんの
「政略結婚」が単行本化されました。



その昔の結婚のしきたりや
武家や華族のならわしなどが描かれていて
一般平民としては興味深く読みました。

 

「てんさいの君」は、江戸時代末期に
実在した加賀前田藩の親戚である
加賀大聖寺藩の利極公のもとに
嫁いだ勇姫が主役です。

 

物語は金沢の街から始まります。
前田家の側室のもとに生まれた
勇姫が住まいする金谷出丸は
今の尾山神社さんのお隣にあり
そこからは、専光寺浜の廻船が見えて
波音が聴こえたと言うのです。
尾山さんの灯りを目指して船が
金沢の港に着いたと聞いたことはありましたが
波音まで聴こえていたとはビックリ!

 

勇姫が金沢から江戸に嫁ぐ時

私の輿より前を行くのは貝桶と
呼ばれるもので、貝はぴったりと
合うことから非常に縁起がよく、
私が先さまへ御輿入れ前に
運ばなければならないしきたりだった。


貝桶は今も花嫁様のお衣装や
箱せこに描かれる絵柄です。



写真は、隆弘さん&恵子ちゃんの
「花貝あわせの儀」です。
美しい絵柄の貝を貝桶へと納めていただきました。

 

建姫のお輿入れでは

幸い菱というめでたい模様が織られた
白い装束を身につけるのがしきたりである。
菱は堅いに通じ、夫婦の絆、お家同士の絆、
お家同士の絆がかたくなるよう、
婚儀のお道具などもすべてこの菱のかたちにつつまれる。




写真は、前田家ゆかりの宇多須神社さんから
十月亭さんへ花嫁道中でお運びの
ヒロキさん&イクヨさんです。
イクヨさんが育った板橋は、
前田家の下屋敷があったことから
橋や公園、施設に加賀や金沢の名前がついていたそうです。

 

建姫の嫁入り行列では

しゃんしゃんという鈴の音に合わせて、
行列がゆっくりと進み始めた。
鈴の音がいいとされるのは、
かって源氏物語の須磨の巻で、
源氏の君を乗せた小舟が、
その鈴の音をたよりに明石の君の
屋敷に流れ着いたといういわれからである。




写真は、魔除けの鈴をテーマにされた
賢一郎さん&由美子さんのケーキです。
辻口博啓さんプロデュースで
飴細工で鈴のデザインです。

 

個人より家のために生きることが
当たり前だった時代。

ご縁をとりもつことが女の一番大事な仕事であった。

病気で若くして死ぬことも多々あって
また、お産が命がけで、生まれたとしても
赤ちゃんが無事に育つことが困難だった
こともあって「世継ぎ」が
お家存続のために絶対なのです。
そして、「結納」や「結婚の儀」がとても
重大な意味をもつものだと言うことが伝わってきます。

 

二章「プリンセスクタニ」は、明治から大正にかけて
九谷焼復興に力を注ぐ小松子爵の万里子が主役です。
洋行帰りの万里子が学校で上流階級の
女学生ならではのマウティングされるの
だけどかわしかたがカッコよく小気味良かったです。

 

三章は「華族女優」は、大正から昭和
激動の時代に没落した伯爵家の令嬢が
映画女優へと転身し戦中戦後を
逞しく生きる花音子が主役です。
花音子は、平成の世でも女優なのだとか(*^▽^*)
モデルは誰なのだろう
と、考えるのも楽しかったです。

 

中裏表紙のてんさい(大根)の絵。



「てんさい」の絵柄の九谷焼の皿が
どのお話にも登場します。

 

それぞれの時代の女性の
個性的な生き方が描かれていて
三つのお話が少しづつ繋がっています。

六月一日からは、金沢での挨拶はすべて「おあつうございます」となる。

本当に、おあつうございますね。
気になっていた小説だったので
晩酌もこらえてサクサク読みました。

投稿者 rin5chan : 2017年7月19日 カテゴリー: 加賀百万石のしきたり ならわし, 気まま図書館 | コメントはまだありません »

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