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「本を守ろうとする猫の話」
2018年2月24日

一昨日は猫の日でSNSでも猫話題が
多くて楽しいことでした。


夏川草介さんの「本を守ろうとする猫の話」を
犬好きの友が貸してくださいました。



優しいファンタジーで、主人公の林太郎の
おじいちゃんの言葉が深かったです。


本には力がある。
力のあるたくさんの物語を読めば、
お前はたくさんの心強い友人を得ることになる。


あのお話し好きだったや
心に残るあらすじがあったり
勇気づけられた言葉を記憶している本があります。


本を読むことは、山に登ることに似ている。
ときに一行一行を吟味し、
何度も同じ文章を往復して読み返し、
頭をかかえながらゆっくり進めていく読書もある。
その苦しい作業の結果、ふいに視界が開ける。
どうせ登るなら高い山に登りなさい。絶景が見える。


読む本によって速度がかわって
しっくこないと戻って戻っての読書だけど
あ、良かったんだ、そういうのも。
と、思えました。


猫のトラに「ありがとう」という
シーンではふいに大泣きしました。
私も死んだ猫のモコに逢えたら
「ありがとう」と言いたいなって。
そして、もう一度、あのモフモフの
おデブを抱きしめたいっ。


この物語にでてくるトラは
抱きしめたくなるような
可愛い猫ちゃんではないです。
翡翠の瞳を持つ気難しそうな猫。
表紙のイラストの愛らしい猫とは
イメージ違うんだなぁ。


やはり、紙に印刷された本で読むことが好きです。

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「降り積もる光の粒」
2018年2月19日

角田光代さんの「降り積もる光の粒」は
旅について書かれたエッセイでした。
呑気だったり危なげだったりしながらの
作者の気づきが綴られています。


 
あ、そのワクワク感わかる!と
感じることも多々ありました。


時に、ほのぼのっと
緩やかに流れる時間が描かれ
叙情的で美しくて夢見心地になれました。

すがすがしいほど開けているからか、
時間の速度も変わったように感じられる。
ゆったり、おおらかに時間は流れはじめる。


私までおおらかな大地を漂っているような気分になれます。


第四章は、ぐっと深刻になり
たくさん泣きました。
マリとインド、パキスタンへ
ボランティアに同行し女性の窮状を
取材する旅の話になります。
文字にすることはとてもとても
おどろおどろしいようなことが
今も発展途上国にはあって
それは、現地の人にとっては
「母もそうだったから」という
意識で流されてしまうのです。
とても衝撃的で重たく受け止めました。
 

今、開催のオリンピックでも
人種差別や女性差別を受けた選手の
努力はいかばかりだったのかと・・・。
心から応援します。


最終、東日本大震災後の三陸の旅の
話には大きな希望を感じました。

けれど旅を終えたとき、私たちは気づくのだ。
それらが、きらきらと光を
発しながら自身の内に降り積もっているのを。


と、印象的な言葉を残してエッセイは
とじられています。
ぎゅっといい話がつまっていました。

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「運命はこうして変えなさい」
2018年2月13日

林真理子さんのエッセイ
「運命はこうして変えなさい
賢女の極意120」はたいがい
毒舌なんだけどクスッと笑えたり
なるほどねぇと思えたりしました。


 
一番印象に残っているのは
 
女というのは、
一五歳の時をどう生きたかで、
その後の人生が
すべて決まってしまう。


と言いこの呪縛から逃れる方法は
「私は可愛かった(略)」
と自分にも人にも言い聞かせることで
本当にそう思えてくると。

現在の地点から過去を立て直す。
すると今の自分もぐっとよくなってくるという。


こういう考え方は、好きです。
勇気が出るってもんです( •ॢ◡-ॢ)-♡




そして、もう一個好きだと思ったのは

やらないより、
やった方がずっとマシ。
ゼロから始めて、
0.01だけしか
得られなかったとしても、
ゼロよりもずっとマシだ。


これはいい言葉です。
習い事や新しいことを
年齢や忙しさのせいにしがちだけど
この「やったほうがマシ」の気持ちには
これからも後押しされそうです。


 

大笑いしたのが

女というのは、
お姫さまになる
一瞬のために、
生命を懸けるものだ。

ジミ婚というのが大嫌いである。


金澤syugenの結婚式は、
スポットライトをあびる
ハデ婚はありませんが
清楚で上品であたたかな
そして何より親御様や
お世話になったかたがたに
感謝の思いをキチンと伝える祝言です。
美しいお姫さまになるお手伝いを
いたしております♫•*¨*•.¸¸♪✧。

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「鳥肌が」
2018年2月7日

硬質で重たげなにび色の空に
圧力を感じています。
今年の雪には自然の猛威ってのを
突き付けられた思いで怯えています。


子供達だけはこの雪で大喜びです。
まあ嬉しそうに分厚い雪の綿にダイブだったり、
道でも降ったばかりの雪に
得意そうに足跡をつけているのを見ると、
私も子供のころは大雪って
ワクワクしたなぁと思い出しました。


子どもの頃はなんてことなかったのに
大人になって怖さがわかるもの
ありますよね。
その逆もあります。


穂村弘さん「鳥肌が」は子供の頃、
怖かったけど大人になると
なんてことなかったりすることや
作者の豊かな想像力ゆえの怯え
他人との許容のズレや
理解し難い怒りのツボ
自分のこだわりや魔がさす瞬間
ゾッとする話、霊的な経験、
自分の物忘れなどなど
鳥肌が立ったことがおもしろおかしくかかれています。



表紙にも遊び心あってエンボス加工で
鳥肌仕様、不気味な挿絵は目をこらしても
「なんのこっちゃわからん」でした^^。
このかたのエッセイはリズムがあっておもろしろいのです。


私自身にも心当たりがある
ほんの少し怖いような話が続きます。
友の話というとこで、夜半に
上司と泊まったビジネスホテルの
一室で目覚めたら、テーブルの上に
髪の毛の塊があって絶叫したというもの。
この話にはオチがあってさらに
笑えるのですが、それは
ネタバレになるのであえてかきませんね。


これは、我が家の出来事。
着物で過して家に帰って
髪をほどいて家のことをしていたら
洗面所から「ぅわーっ!」という
坊主のびびった叫び声!
見に行くと置きっぱなしにしてあった
私のヘアピースに驚いていたのでした。
なんの心の準備もなく
洗面所に大量の毛束
んーー怖かったね。
鳥肌たつよね。
ざわつかせた悪い母さんでした。


みなさま、大雪にはどうぞ引き続き
ご注意くださいませ。

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「吹上奇譚 第1話」
2018年2月3日

吉本ばななさんの「吹上奇譚 第1話」は、
ばななさん曰く哲学ホラーと。
ホラーと言うよりほのぼのとした
スピリチュアルファンタジーでした。



主人公が持つ「現実を夢で知る夢見」という能力。
そこまではっきりしたものでは
ないけれど目覚めた時、夢から
メッセージっぽいもの感じるとる
ことってありますよね。
例えば、お昼間なんでもないと思えた
ことが夢に出てきて
『気にしてないフリしてたけど
案外と気にかかってたんだ』のような。


ミミとこだちが育った町には
異世界に繋がる出入り口があり、
異星人が普通に人間の世界で生活しているのです。
宇宙人と人間が結婚してハーフや
クオーターがいるという異類婚姻譚が
なにごともなく成立しています。
立場や世界が違っていても
理解しあえば穏やかに暮らしてゆけるよ
というメッセージを感じました。


ミミがサイキックと言われる人に相談に行くのです。

「今日は植物園に行って
当時と変わらない懐かしい木々に触れ、
昔の明るい気持ちを取り戻してくださいね。
それで正しい流れができますからね。
行くだけでいいのです。」


と言われます。

ああ、こういうのあるって思いました。
私は、富樫の薔薇園に行きたくなります。
豪勢に花の咲いていない時もです。
そこは、凪の世界なのです。


あと、みずみずしい柑橘系の果物についても
度々、描かれていて

柑橘をむいたときのぷしゅっという勢いのあるしぶき

ばななさんの柑橘愛が伝わってきます。



柑橘ファミリー大好きですから
この季節の楽しみでもあります。


読後、身近かな人を「あの人、異星人っぽい^^」とか
想像するのも楽しかったです。

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「バースデイ・ストーリーズ」
2018年1月29日

村上春樹さんの「バースデイ・ストーリーズ」は
カット・メンシックさんのイラストも
ビビットで鮮やかなアートブックです。




孤独な主人公が二十歳の誕生日に
不思議な老人から願いごとをひとつ
叶えてあげると言われます。
たいがいのひとは
「美人になりたいとか
賢くなりたいとか、お金持ちになりたいとか」
言うけれど主人公の願いは
随分と違っていたらしいです。
ネタバレになるから、この先は
かけませんんが(^_^;)


あとがきの中で村上さんは
誕生日について、どんな人にも公平で
「特別な日」が年に一度だけ
与えられていることは
素晴らしいと書いています。


で、もうこんな歳になってしまったから
嬉しくないって人には
「誕生日は一年にたったひとつしかない。(略)
そのたぐいまれな公平さを
祝福しなくちゃ」と反論するそうです。
なんてロマンチストなんでしょう( •ॢ◡-ॢ)-♡
あとがきにあったかい気持ちになりました。

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「意識のリボン」
2018年1月23日

「意識のリボン」は、ホラーっぽかったり
SFだったりの短編集で
エッセイっぽいのもいっこありました。



綿矢りさ作品は装丁が美しく
「手のひらの京」の時と
同じく鈴木久美さんのデザインです。


表題作にもなっている
「意識のリボン」が印象に残っています。
二歳の頃の主人公が、
母親の胎内にいたことを
お腹の中は、夕焼けのような色の世界だったと
拙い言葉で思い出として語ります。


大人になって交通事故にあい
幽体離脱や「ひかり」に導かれる経験をします。

空から自分の姿を見たり、
人生の記憶をたどる旅をしたり、
ひかりと天空で遊んだりした。


このお話のリボンは、私の解釈では
魂が纏うものなのかなって思えました。


小説、最後の言葉が美しかったです。

私は呼び続ける、愛しい人の名前を。
身体が滅びても、時を超えて、
いつの時代へも。

もし大切な人が意識をなくしたら
大きな声で名前を呼び続けようと思いました。
スピリチュアルなお話でした。

 
追記
リボンは神と人を繋ぐものと
おとぎ話でよんだことがあります。
 


リボンモチーフが大好きです。

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「サーカスナイト」
2018年1月16日

お正月によしもとばなな(現在は
吉本ばなな)さんの「サーカスナイト」を読みました。



お姑さんも、昔の彼のお母さんも、
ご両親と共同経営していた夫婦も
とてつもなく人間ができていて
「そんなことってあるのかしらん?」
なーんて思いながらそれでも
なんとも心地よく読み進みました。
この小説は新聞連載だったそうです。
あとがきで、作家さん本人が
毎日おそろしいニュースが載っているから
「よんでいるあいだだけ憩ってほしい」と
願って書いたことが語られていました。


主人公は、サイキックで

イメージをつかみだす。水の中に手を入れるようにして。(略)
ものに触れてじっと見ていると、イメージが浮かんでくる。


モノからイメージを読むチカラがあったら楽しいなぁ^^


物語はスピリチュアル的要素が高く
人との距離の取り方なども参考になりました。

自由なのはいい、うんといいことだ、
でもだれともつながっていない、
いつ切れるかわからないような
つきあいばかりの人生は
ほんとうの自由というものではない。
 

そして、どうにもできないことが
時間の経過でほどけることも
人生には多くあります。

流れた時間は、ちょうどよく発酵して、
悲しみを取り込んでいった。


時間が解決しない問題はない。
味噌や醤油が発酵するみたいに、
放っておいてもワインが熟成していくみたいに、
大変だったことは時間の要素に
抱かれてなんでもないことになっていく。
こだわり続けるのは人間の心だけなのだ。

悲しみや辛いことがこんな風で
あって欲しいと思いました。


 
そのときはとてもひどいことに
思えるだけのことから、なにかが始まって
やはり芽吹いていく。
種が風に乗って、いろんな人のところで花開く。


過去を振り返ると確かに心当たりがあります。
そういう繋がり。



正月に、ぴったりな愛に満ちたお話でした。
あたたかい気持ちになりたい時、オススメです。


ばなな祭はさらに続きます。
図書館サマありがとうございます☆”

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「恋愛仮免中」
2018年1月9日

奥田英朗さん窪美澄さんなどの
好きな作家さん達のアンソロジー
「恋愛仮免中」を読みました。



荻原浩さんの「アポロ11号は
まだ空を飛んでいるか」は
現在と過去が交互に描かれていて
半分くらいのとこから
泣きながら読みました。
長く連れ添った夫婦が
二人の作った歴史をこんな風に
穏やかに優しい気持ちで振り返るんだ
と、涙とまらずでした。


原田マハ「ドライビング・ミス・アンジー」
手紙にほろっとくるシーンがあります。
「和紙になめらかなインクの文字」の
手紙であったり
「白い紙に走り書き」など
大切な役割を持ちます。
あたたかい気持ちになれるお話でした。


さて、今年もみなさんからの
年賀状ありがとうございました。
アートな写真やお子様の健やかな成長、
添えられている言葉に感動しきりでした。


写真にさりげに映りこんだ
優しい家族に保護された猫ちゃん写真には
お部屋のあたたかい温度まで伝わってくるようでした。


まるっこくってふわりとした
文字に幸せな春を告げられた思いがしました。


一枚一枚を何度も見返しました。
ほっこりしたりぷっと吹き出したりの
楽しい年賀状ギャラリーは
追って開催しますね。

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「感傷的な午後の珈琲」
2018年1月5日

小池真理子さんの
「感傷的な午後の珈琲」を読みました。  



言葉の繊細さがとても好きです。
例えば、天井の高い洋館を訪ねた時

降り積もった時間に匂いがあるとしたら、
ちょうどこんな匂いがするのでがないか。


趣きある洋館にワープできそうです。
 

人生を振り返って

通り過ぎてきた時間は儚くて、
てのひらに載せるとすぐに溶けてしまう淡雪のようなもの。


もっとも儚げな淡雪に例えられるのですね。


ゴブという名の愛猫への思い出の
くだりでは大いに泣けました。
なぜ、ゴブかと言うと

拾ってきた時、何者かに全身の毛を刈られ「五分刈りにされていた」

そのゴブちゃんは17年生きたそうです。
最後に遊んでいたぬいぐるみを
今も遺影、遺骨とともに
飾ってあるそうです。
そして、手にすると

私の目はまたしても水びたしになる。

・・・・・・・・


うちの猫ちゃんがお空の星になって
三年と半、可愛いことしか思い出せません。
(ワルサもいっぱいして、確かに
困らせられたこともあったけど
思い出すとどれもこれも愛おしい)



最後の章「ハロー・グッバイ」では
作家さん達との思い出や
お別れの時のことが描かれていて
もっとも印象に残りました。


今まで読んだことがある小池さんの
エッセイは恋にまつわるお話が
多かったのだけど
「人生の楽しみ方」や「人生を終える」と
いったことが美しい情景とともに綴られていました。

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