「もみじの言いぶん」 | 2019年8月5日 |

「もみじの言いぶん」は村山由佳さんの愛猫
もみじの視点でかかれたフォトエッセイです。
もみじのツンデレ感がなんとも可愛いいのです。
村山さんがしばらく留守にして帰ると
無視をするわけです、もみじちゃんは。
「思い知ったらええのや。うちが、どんだけ怒っとるか。」
本当、猫ってこういうとこあるよなーって
甘えっ子で生意気で自分が一番偉いんだって威張っている。
関西弁イントネーションのお話を
ネコメンタリーのナレーション声へと
脳内変化させて読み進むとさらなる臨場感です。
猫が亡くなった時、棺に湯たんぽのカバーを
入れたっていう村山さんの親心にポロポロ泣けました。。。
もみじちゃんの着替え(生まれかわり)を
待っている村山さん、こんなに愛されて
なんてもみちゃん幸せな猫なのでしょう!
関西弁の語り口がユーモラスで楽しいことでした。
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「旅ドロップ」 | 2019年7月30日 |

江國さんの「旅ドロップ」はドロップス缶のごとく
色とりどりの旅の思い出が詰まっていました。
旅先の空気が気持ち良かったから
土に馴染む履きものとして買った下駄を
今も新聞を取りに行く時とかつっかけていて
旅の楽しさが日常にも繋がっている感じがいいですね。
ナッシュヴィルのアイスクリーム店の章は
涙がにじむくらい優しさを感じました。
アイスクリームのフレーバーを「初めて」と
言ったことを誤解されるに始まり大丈夫よと
親子くらい年の若い女の子になぐさめられる
そんな、旅先の人とのふれあいはあたたかくて。
このアイス屋さんは、先日読んだばかりの
「彼女たちの場合は」に出てきました。
行ったことある場所や同じような経験が
登場した時も楽しいものです。
和歌山のアドベンチャーランドでは、
赤ちゃんのパンダの前を幾度も行きましたし
パンダ舎のバックヤードツアーにも参加したもんね♫•*¨*•.¸¸♪✧
どんなに楽しい旅でも家に帰ると
家があって良かったとほっとするという章では
帰る場所があって無事に旅ができたことに
感謝する感じは共鳴できます。
そんな気持ちになれることはとても幸せなことで
なんなら、そのために旅をするような
うん、そう、そうです。
学生時代に女友達と帰る日も泊まる場所も
決めずにお金が続く限りアフリカまで行こうとした旅で
一緒に感動したり互いに勇気付けられたり
こういう様々な経験が積もって
江國さんの小説が出来あがるんだなって
今まで読んだ作品を思い出すのも楽しいことでした。
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「しゃぼん玉」 | 2019年7月26日 |

乃南アサさんの「しゃぼん玉」は帰る家も
頼る家族も仕事も友人もなく恋さえもしたことがない
絶望感のみで生きている青年が主人公です。
我が身を「何一つ持たず、ただ漂って
生きているだけの、やがてパチンと
消えてしまうしゃぼん玉」と感じており
「着地したら消えてしまう」
「人とかかわると消えてしまう」と
逃げることしか考えていない青年が
その日に帰る場所と洗濯された衣類、
上等ではないけど何だか心地いい寝具、
そして、自分を頼ってくれる人、
笑顔になって欲しいと願う人との出会い、
心のこもった食事をとることで
徐々に変わってゆきます。
田舎の情景描写も美しいことでした。
ことさら、水の音が臨場感を持って描かれていて
青年の荒んだ心にあたたかいものをもたらします。
例えば、田舎の家の雨音に耳を澄ませて
そのうち、雨音を楽しい嬉しい愉快と感じ
自分の中にこんな感情があったのだと驚く。
そんなことを考えながら眠りについた日は
きっといい夢がみられるんだろうなぁなんて
読み手も幸せなキブンになれます(*^▽^*)。
想像通りの展開でしたが、エピローグでは泣きました。
人は、誰かに愛されている、
誰かに必要とされているという思いで
希望を持って生きられるというメッセージをうけとりました。
方言があるからこその人物の個性を
想像できて読みやすかったです。
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「ふたたび蝉の声」 | 2019年7月23日 |

内村光良さんの「ふたたび蝉の声」は
何気ない日常や思い出の振り返りのような小説でした。
過去と現在を行ったり来たり
そこに、親が老いていく時の寂しさや
家族の病のことなども描かれています。
臨場感がすごくあってウッチャンって
いったいどんだけ数多くの経験してるんだろか?
と、感じました。
もちろん、小説がすべて作家自身の
実体験などとは思ってはいないけれどね。
ウッチャン本人が
知り合いの誰かと誰かを足して創った人物もいれば、
まったくの想像で創った人物もいたり……。
と語っていました。
舞台俳優の進をとりまく人々が
オムニバス形式で主役になり
場面が次々入れ替わります。
終盤、大泣きした章があって
(ネタバレになっては
いけないのでかけませんが)
ああ、理想の来し方行く末だなぁって思えました。
素朴な文章が読みやすかったです。
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「ひと」 | 2019年7月19日 |

「ひと」は短いセンテンスで読みやすく
大泣きはしなけれどウルウルしながら
あっという間にスイスイっと読めました。
健気で人が良過ぎて譲ってばかりの
主人公に「そんな無防備な」とハラハラしたり
いいことがあるとそろそろ嫌なことが
起こるんじゃないかとヒヤヒヤしたり
これ以上に辛いこと酷い目にあったら読めないな
なんて立ちどまることも度々あって。
けれど、目次が
一人の秋、一人の冬、一人の春、夏
なので、一人じゃなくなる、きっと
と、信じ安心して最後まで読めました。
悪いヤツ、嫌なヤツも出てくるけれど
イイ人が当たり前に淡々と現れる感じがいいです。
ホッとしたのは猫が苦手だった主人公が
猫をなでた描写でした。
ご縁が大事
「人材に代わりはいても人に代わりはいない」
ぴったりのひとに出逢うべくして出逢えると信じています。
ハートウォミング系やっぱいいですね。
初読みの作家さん小野寺史宜さんの
小説は爽やかな読後感でした。
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「思わず考えちゃう」 | 2019年7月16日 |

絵本作家ヨシタケシンスケさんの
「思わず考えちゃう」は、ほのぼのとした
あるあるがいっぱいなのです。
中でも子育ての章の共感が心地よしでした。
「川遊びでぬれちゃって裸でシートベルト」
と、いうくだりに大笑い!
で!思い出した!
我が家でも裸にランドセルあったあった!
川遊びして全身ずぶぬれの坊主が
半ズボンは履いていたけれど右手にずぶ濡れTシャツ
ランドセルを半裸の上にしょっていたっけ。
あのランドセル姿は今も鮮明に覚えています。
「裸の大将?山下画伯か??」って思ったものね。
『今しかないのにもったいない』は
身に沁みる言葉です。
最近、よく思うのです。
あんなに可愛くておもしろかった幼い頃を
なぜもっと大切にできなかったのだろう
いっぱい楽しめなかったのだろう
余裕なかったなぁっと・・・・・
が、エッセイ読みながら
あ!そういう後悔は自分だけじゃないんだと思えて。
あと、我が子の幼い頃のことを宝物のように
度々、思い出している感じもです。
そんな安心感が心地よしの章でした(*^▽^*)
ゆるいイラストも楽しいエッセイは
どこからでもお気楽に読んで良いので
忙しい時の脳味噌リフレッシュにむいている一冊です。
あ、ウチの坊主も
お、おにぎりが好きなんだなぁ(*^▽^*)
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「そして、バトンは渡された」 | 2019年7月11日 |

瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」は
音楽とご飯がなにかと良いアクセントになっていました。
一緒に食事をすること、会話することの大切さありますよね。
中島みゆきの「糸」を主人公の優子の
ピアノ伴奏で義理父が歌うシーンが好きでした。
優子が心に思う
「音楽は心や体に入っていくだろう」
というくだりがとても共感できました。
確かに、身体であっても心であっても
辛くて食事も励ましの言葉も受けとれない
そんな弱った時でも音楽に癒されること
元気づけられることってあります。
義理父が親になることは
「未来が二倍以上になること」と。
子供を持つって苦労も増えて
心配事も二倍に増えます。
けどけど、確かにそれを超える幸せがあります。
あと成長の足跡も我が子の記憶は
鮮明さをとどめる宝で、何度思い返したって
あきることも色あせるもありません。
優子の結婚で反対する父親の姿に
リアルを感じます。
親も人なので無償の愛でありたいのに
「してやったのに」ってなことにもなりがちで
まぁ、どこの家もケンカしてまう
それが、普通。
家族を大切に想う愛情あればこそ
幸せになって欲しいからこその衝突。
どっちの気持ちもわかるわかる。
それを説得する婚約者
そう!結婚ってそういう努力があって
絆が深まることがあります。
世知辛く心が痛くなる報道が
多い昨今、善良な大人に守られている
子どものお話に和まされました。
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「マジカルグランマ」 | 2019年7月8日 |

柚木麻子さんの「マジカルグランマ」は
図書館の予約待ちの間に直木賞候補になっていました。
主人公の74歳の正子さんが先輩女優の
アドバイスでおばあちゃんらしく
外見を変えることから始まります。
自信家で自己中の正子さんの
頭は案外と柔らかく行動力もあり
SNSなんかも器用にこなすのです。
現実的では無い設定ではありますが
過去から現代への社会問題をからめながら
夢、存在価値を求めるサクセスストーリーです。
ご近所やお友達や家族もいい人に
囲まれていて良かったなぁって感じました。
年老いても成長できるんだ!
年をとることに悲観的にならず
いくつになっても
過去より未来のほうが大事
と、前向きになれるお話でした。
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「アタラクシア」 | 2019年7月3日 |

金原ひとみさんの「アタラクシア」は
登場人物の生活や行動がすべて刺激的で
暴力シーンではちょっと苦しく感じました。
恋人間も夫婦間も友人同士も
えらく難しい言葉で議論しあってて
私には経験ないなぁーと考えたりです。
ですが、相手に対して
嫌だと感じることやここが好きも
言葉にしないと伝わらないことがあって
良い関係を続けてゆくには
会話することは大事なんだと思いました。
章ごとに主人公が変わる長編小説で
一つ一つの章が確立していながら
それぞれの絡みかたがお見事で
登場人物達の表と裏の顔が
おもしろく描かれていました。
そして、迎えた最終章はホラーと言ってよいでしょう。
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「人魚の眠る家」 | 2019年6月30日 |

今日、6月30日は人魚の日なのだそうです。
「人魚の眠る家」は殺人もミステリーもない
新鮮な東野圭吾作品でした。
「心臓死と脳死」をどう受け止めるべきかを
深く考えさせられました。
我が子を事故で亡くす親の気持ちは
想像もできないものです。
「子供への思い」あればこその 母親の狂気、
ただ同じ立場になったとしても
とんでもない経済力がないと
このような展開にはなりようがないだろうと感じました。
脳死や臓器移植については
求めて知ろうとはしないことでしたが
移植医療や海外での臓器移植の問題など
分かりやすく理解出来て勉強になりました。
悲しく辛い話でしたが
薔薇のふくよかな香りが漂うようなエピローグは
希望が持てるものでした。
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