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「片想い」
2020年7月31日

東野圭吾さんの「片想い」は600ページの
厚みに圧倒され我が家の本棚に積読状態。
けど、読み始めるととまらなくなって
二日続けての夜更かしをしての読破です。



表紙の「メビウスの輪」は、男と女は
裏と表ではなく、人はみな両方の面を
持ってるという象徴で性同一性障害が
大きなテーマとなっています。

 

性はグラデーションとは言い得て妙で
比率はそれぞれだけど、誰もが
男性の気質と女性の気質を持っていて
自身の中でシーンによっても男女比が変わる
そういったことを再認識しました。
ジェンダーに限らず、善人の面と悪人の面や
Sな時とMの時なども言えますよね。

 

一個だけ違和感をぬぐえなかったのは
美月の置いてきた我が子への想いです。
心にひっかかっているくらいではなく
いつも胸のうちに重たい石のような
暗雲をかかえて生きているはずで
そのへんの描き方だけはしっくりこなかったです。

 

終盤、主人公がかかえていた秘密と
スポーツマンの友情にホロリでした。
セクシャルマイノリティのかたへの深い配慮も感じました。

 

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金澤syugenは、お急ぎ婚、こぢんまり婚、
フォト婚、家族婚、パパママ婚、カジュアル婚、
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挙式サポート、ご自宅支度、和装コーディネート、
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「素敵な日本人」
2020年7月28日

東野圭吾さんの「素敵な日本人」は9つの
短編が殺人ミステリー、SF、ファンタジー、
スピリチュアル、ヒューマニティなどなど
すべて毛色の違うのです。



「今夜は一人で雛祭り」は主人公の
亡くなった奥さんがお姑さん(母親)と
うまいこと付き合っていたことを
雛人形飾りの写真を見て気づくのです。
そして、その娘は母親の真意を
感じ取りながら賢く成長し近く嫁ぐ日をむかえます。
右と左の文化のある国ならではのお話しでした。

 

「水晶の数珠」が一番好きでなお話しで
父親の愛情に泣けました。
主人公の父親が

「人間いつかは死ぬ。老衰が一番いいが、
そうでないなら癌でいい。
残された寿命を味わいながら死んでいくのも悪くない」

病気を怖がらずに受け入れて丁寧に生きてゆくは理想ですね。
能力が親族に受け継がれるという設定は
「ツナグ」を思い出しました。

 

登場人物の哀愁や弱さ愚かさも感じつつ
読後は前向きになれるお話達で
日本の季節の行事と他人を思いやる気持ちは素敵なことでした。

 

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「コンビニたそがれ堂花時計」
2020年7月23日

村山早紀さんの「コンビニたそがれ堂花時計」は
時を戻したい、もう一度やり直したい
と、願う人々の三つの物語です。



中学生の女の子の友情を描いた
『踏切にて』がいちばん好きでした。
人の心の中には、善だけでなくちょっとした
妬みの感情など悪の部分もあって当然なわけで、
仲良しの二人でさえも互いへの負の感情があり
それに気づいてもいます(ここが賢い!)。
友を大切に思う姿は健気で愛おしく
泣けてしかたなかったです。

 

ねここさんの着物の柄が桜、金魚、烏瓜と
季節にあわせて変わるのも楽しかったです。
ねここさんが言うように「過去はかえられない」
過去の後悔を未来に向けての糧にしなきゃね
と、思える優しい余韻が残るお話でした。

 

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「アーモンド」
2020年7月20日

ソンウォンピョンさんの「アーモンド」は
感情を持てないという障害を持った少年ユンジュのお話です。



暴力的なシーンに度々、嫌な気分になったり
ユンジュに恐れの感情もないがゆえの
行動にハラハラもけっこうありました。

 

終盤「あちゃー!」と声を上げてまいました。
ネタバレになってはいけないから書けないけど
そんな!理不尽な!って感情です。
小説を読んで泣くことや声を立てて笑うことは
あれど、叫ぶは初めてでした。

 

一章から四章へと主人公の挿絵の背景の色が
明るくなってゆくことで少年の心の成長を表現しているようです。
恋心や友情、大事なものを守りたいという
気持ちはとにかく尊いことで
明るい未来を感じさせる終わり方でした。

 

追記
ユンジュが映像と小説について思うことです。

映像の中の物語は、ただ撮られて描かれている通りにだけ存在している。
その世界に、僕が変化させられるものは何もないのだ。
本は違う。本は空間だらけだ。

ああ、そうか!私が小説を好きなのは
こういうことか!と思えました。
私が小説を読む時、モノの質感を想像したり
話し方や声質を描いたり
そういうふうに自由に脳内変化させることが
とても好きなようです。

 

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「まだ温かい鍋を抱いておやすみ」
2020年7月17日

彩瀬まるさんの「まだ温かい鍋を抱いておやすみ」は
ファンタジーも人情話もあります。
穏やかでありながら人間関係の難しさや厳しさが
描かれていて時にピリリと辛く痛みもあります。



「大きな鍋の歌」は余命わずかな友人に
不器用ながら寄り添う主人公が
友との食の記憶を通し我が人生を見つめ直します。
無骨な男牲なのだけど、友はその気質が心地よいのです。
これ相性ですね、食の記憶が友の最期の時に
幸せをもたらせたこと良かったよかった
と、ボロ泣きしました。

 

食は命の源で心を育てること。
そして、食をともにすることは
最大のコミニュケーションで
人との関係を築ける素敵な時間です。
コロナ自粛中は
「また、(以前のように)ごはん行こうね」
と、励まし合いながら生活していました。
それが、希望でもありました。

 

香り立つくらい美味しそうな活字が
胃袋を刺激するので夜の遅い時間に読むのは危険です(*^_^*)

 

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「稚児桜」
2020年7月13日

澤田瞳子さんの「稚児桜」は能の演目を
題材にしているということで興味を持ちました。



最初、漢字や知らない言葉が多くて
どうしようって思ったけど
言葉も美しくリズムもしなやかで
平安の時代の情景がふわりと思い描けるようでした。

 

表題作の「稚児桜」は能の「花月」を
インスパイアとありましたが原作とは
まったく似ても似つかず、稚児・清水寺・
七歳・曲舞・父子の再会と言ったことのみが
共通しているようです。
読後、親に捨てられた子、子を捨てた親
それぞれの胸の内を思いばかり切なくなりました。

 

嫉妬、恨み、妬み、嫉み、復讐、情念、欺瞞、
うすら寒くなるような終わり方のお話が
多くイヤミス時代小説って感じでもありました。

 

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「グランドシャトー」
2020年7月10日

高殿円さんの「グランドシャトー」は
高度経済成長にわく昭和38年から
バブル期をへて平成の終わり頃までの
大阪のキャバレーを舞台にしたコミカルな歴史小説です。



京橋にグランドシャトーというキャバレーは
実在していて私も関西に行った時
何度かコマーシャルを観たことがあります。
2000年代以降も昭和チックな色合いの粗い画像が
際立っていたものだから記憶に残っています。
作中で大阪の町を「大阪らしい大味な風景」の
表現に作者の出身が神戸と知りなるほどで
神戸の人から見た大阪なんですね(*^_^*)。

 

主人公のルーが慕い続ける
一回り上の真珠ねえさんとの関係がいい。
ねえさんは地蔵さんのように優しい人で
憧れのねえさんに甘える時間が好きなルーは
ねえさんを喜ばせたくって
大好きなねえさんのためにと
斜陽だったキャバレーに賑わいが
もどるようにと奮闘します。
その姿が、おかしくて力強くて
寂しく物哀しさもあるのです。

 

お地蔵さんにねえさんとの
日常のささやかな幸せに感謝し
手をあわせる時「みんなにもこんな
幸せがきますように」と祈るルーが
健気で愛おしいことでした。
そして、猫がふわっと長屋の路地に
現われる時の比喩にホント、猫って
祠の隙間からあの世と行き来してるのかもね
なんて思いました。

 

追記
須磨の海岸線ぎりぎりを走る山陽電車や
友の母上の炊いたイカナゴのくぎ煮が
懐かしくよみがえりました。
海岸に沿って車窓から見る景色が
穏やかでとても好きでした。

 

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「少年と犬」
2020年7月7日

馳星周さんの「少年と犬」は
「男 と犬」の章から始まり「泥棒」
「夫婦」「娼婦」「老人」「少年」へと
繋がってゆく神秘的なお話でした。



多聞は聡明な犬です。
会うべくして出会う認知症・介護・犯罪・
貧困・家庭不和・堕落・癌・自然災害後の
ptsdなど様々な問題を抱える主人を癒し
そっと「救う」のです。

 

一章二章が重たく暗く残酷で
嫌な気持ちになり読むのをやめようかなと
思ったりもしました。
ですが、犯罪者達は多聞を「守り神」と敬い
とても優しく愛情をそそぐのです。

 

最終章、少年を守る多聞に泣けてなけて
ワンちゃんを飼ったことはないけれど
こういう賢く気高いところが確かにあると思います。
少年が多聞の意志を受け継ぎきっと強く
生きてゆけると思える終わり方でした。

 

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「クスノキの番人」
2020年7月2日

東野圭吾さんの「クスノキの番人」は優しい奇蹟の物語でした。



新月と満月の夜の神秘的な出来事を通して
そこに関わる人達の人生が垣間見えます。

 

クスノキの謎がゆっくりと解けていき
それとともに卑屈だった主人公が
堂々とした番人に成長してゆきます。
主人公と叔母の距離感が他人から家族へと
変わってゆく様も心あたたまりました。
また、伯母の経済人としての理念や思考、
決断が潔くかっこ良かったです。

 

言葉にできない想いを伝えたいという念、
音楽が紡がれて思い人にとどくシーンでは泣けました。
ファンタジー系につき映像化したら
音での表現もあってきっと楽しいだろうなぁ
主人公役は菅田将暉くんがいいなぁなどと考えていました。

 

図書館の待ちが人が326人とのことで
他の本はおいといてサクサク読みました。

 

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「女神のサラダ」
2020年6月29日

瀧羽麻子さんの「女神のサラダ」は
野菜農家さんや酪農家さんのお話が八編です。



オリーブのお話が現代版蝶々夫人かしらんと
せつなくて大泣きしました。
ネタばれになってはいけないからかけませんが
どんでんあります。
こういう大人の恋がわかる年頃(戸籍上は
とっくのとうに大人なんだけどね^^;)に
なったんだなぁ私
と、悦に入りましたね。

 

最終のお話が小松のトマト農家さんのお話で
小松や金沢が出てくるのですがその方言も
自然にかかれていたから茶の間の会話を
小松ならではの語尾上がりに脳内で再生できました。

 

「トマトは栽培する人間の個性が出やすい作物」
「人柄を映す」と話す主人公の祖母。
これわかるわかるって思いました。
気だてのいいトマトって作った人の思いが伝わってきます。

 

この章でそれまでのレタス・茄子・馬鈴薯・
アスパラガス・レモン・チーズ・オリーブ
「美しい一皿」になっているのです。
「素材が命だからね」というシェフの言葉に
私の好きなベジタブルバルを思い出しました。
そのお店のシェフは、どれだけ新鮮な野菜か
愛情こもった野菜かを私のような一般人にも
熱弁してくださいます。

 

野菜好きさんにはもちろんのこと
穏やかなお話を読みたい時にオススメです。
瀧羽作品は「ありえないほどうるさいオルゴール店」も
あたたかく優しいお話でした。
次作も楽しみにしています。

 

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