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「彼女は頭が悪いから」
2018年10月1日

「彼女は頭が悪いから」の
第一章は平凡な女子高生の日常が
事細かにかかれていて退屈で読むのを
やめようかと何度も閉じかけました。



ウィット、言葉をかえたら
イヤミな表現で度々、東大生を表現し
東大生の差別的蔑視の感情の
詳細が描かれていますから
とにかく嫌な気分になって
がまんして読み進むうちに
どんどんさらに嫌な気分で
いっぱいになって
不愉快きわまりなく
途中でやめて寝るってことができない
と、夜更かしして一気読みでした。


恋の終わりはせつなくて
一縷の望みを信じたい
被害女性の気持ちもわかるわかるです。


被害女性を残して帰って行った
知人女性の行動は理解できず
私だったら無理矢理でも
「さ、一緒に帰ろっ」とひっぱって
部屋から連れ出すんだけど・・・
って思いました。


物語の終わり被害者女性の通う
大学の教授の言葉にボロボロ泣けて
不快感いっぱいで読んできた
心が救われました。


人の痛みや苦しみを共感する能力は
東大を合格するには無駄で
不要なのだといったことが
かかれていたけどそんな人ばかりではないです。


姫野カオルコさんの作品
他も読んでみたいと思いました( •ॢ◡-ॢ)-♡。

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「正しい女たち 」
2018年9月26日

千早茜さんの短編集
「正しい女たち」を読みました。



この中で、半年後の春に幸福な
離婚を約束している夫婦が
心穏やかに残り少ない日々を
過ごすお話がおもしろかったです。


一緒のベッドで寝て互いを慈しみながら
日々を暮らす二人はおだやかな夫婦です。
それでいながら「離婚は結婚の死」と
もうすぐ死にゆくときの冷たい気配が漂っています。


これで終わりだと思えば、
相手への憎しみや怒りも和らぎ
優しくなれるものなのかもしれません。


諦めたことでかえって
残されたの二人の時を大切にしようと
終わりに向けてゆっくり思い出を
静かに作っていくの感じが切ないけど良かったです。

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「大人は泣かないと思っていた」
2018年9月20日

初読み作家の寺地はるなさんの
「大人は泣かないと思っていた」は
文体のバランスも良く読みやすかったです。



噂話が娯楽というような
田舎町での男尊女卑のエピソードが
リアルに描かれています。


主人公が変わる連作短編が
繋がってゆきます。
到底共感できない無神経で
横暴かつ身勝手なおやっさんの章もありました。
ですが、おやっさんの孤独、悲哀もあり
この章が一番おもしろかったです。
ラストに長年連れ添い我慢し続けた
奥さんがああたに言いたいことが
たくさんあるから伝え終わるまでは
長生きしてという
それがなんとも優しさに満ちていて
ふわっとあたたかい気持ちになりました。


それぞれの章の目線が変わり
女ゆえの窮屈さがあり
男ゆえの苦悩ってのもあって
また、年代別の悩みってのが
あるんものなのだということを感じました。

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「燃える波」
2018年9月17日

村山由佳さんの新刊「燃える波」を読みました。



子供っぽく自分勝手なモワハラ夫との
間でのトラブルの起こりかたや
進展のしかたとかが
とにかくリアルでこういう
経験あったんだろうなって
ここまで心の機微の詳細をえがけるは
想像だけでは無理だろうななんて考えたりしました。


主人公の仕事が順調で
その成功のしかたがはんぱないのです。
そして、さらには主人公を
ずっと昔から慕ってくれていた
同級生の男性との出逢いがあって
ほめてくれるし感性が似ているし
恋も仕事も順調ってドリーム感いっぱいです。


さて、先日のNHK「ネコメンタリー
猫も、杓子も。村山由佳ともみじ」は
関西弁で話す猫(上野樹里さんの
ナレーション)のもみじちゃんが
最高にキュートでした!


そのドキュメンタリーで村山さんの
二回目の離婚のあと同居する
同級生の男性が実在するのを知りました。
あぁ、小説はほぼほぼ自叙伝でしたか。
なんて無粋なことを考えてはいけませんね。
小説、おもしろかったです☆”

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「ほんのきもち」
2018年9月10日

「ほんのきもち」は、16人の
作家さんが贈り物について書いた
幸せな気持ちになれるエッセイ集です。



初読みの鹿子裕文さんの
「とっておきの一冊」は
リズムも心地良く
きっと相性いいなっと読み進んだところ
とどいた贈り物のところで泣けました。
で、お返しにおくったお品に
また、泣けました。
なんともあたたかい気持ちになれます。


やはり、初読みの乾ルカさんの
「天使の名前の犬のこと」では
顔が水浸し大事件になりました。
愛犬ガブリエルとの思い出話は
どれもこれも微笑ましく
亡くなった愛犬へ感謝の想いを
「いまだかって味わったことが
ないほどの悲しみをくれた」
と、それが贈り物だったと綴られていました。
8ページ(内1ページは下の絵)のお話はすごい威力です。



挿絵のセンスも良いのです。


贈り物に困った時にきっと
心強いなっていうバイブルのような本でした。

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「ありえないほどうるさいオルゴール店」
2018年9月1日

今日から九月、涼しいです。
丘の芝生がお盆ごろはワラの色をしていて
夏の芝生ってこんな色だったっけ
と、不思議に感じていました。
ですが、ここんとこの雨で
みずみずしい青が甦り誇らしげに輝いています。

 

瀧羽麻子さんの七つのお話
「ありえないほどうるさいオルゴール店」は
タイトルとは裏腹に静かな店内でおこる
優しい物語達に泣けました。



それぞれのお話は独立していて
各結末に心ほのぼのとする展開があります。
ファンタジー系好きさんにも
ヒューマニズム系好きさんにも
お子様にもご年配にも
とてもオススメの一冊です。

人生の大事な場面でたまたま流れていた曲が、
心に残ることもある。
音楽は大切な思い出を呼び起こす。
 

自分にはどんな曲のオルゴールなのだろう
心の音をカタチにしてくれる
こんなお店があったらいいなぁ♫•*¨*•.¸¸♪✧

 

余韻も楽しめます。
フェィバリット図書が増えました。

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「切なくそして幸せな、タピオカに夢」
2018年8月28日

吉本ばななさんの
「切なくそして幸せな、タピオカに夢」は
SoupyTangさんの挿絵が
可愛らしい絵本のようなエッセイでした。



父上との思い出、そして自身が親になり
子を思う気持ちが綴られていて度々泣きました。


野菜やおでんのネタだったり
猫ちゃんのいる台所の挿絵が
エッセイの思い出話を
とても身近なものにしてくれます。
例えば市場で父上がほうれん草を
買ってくると「ほうれん草づくし
メニュー」になるという思い出の
挿絵は、ほうれん草料理達を
さらにほうれん草がループして
囲んでいるのです(*^▽^*)。


子供が5歳の頃の母子の写真を
見つけて泣いてしまうくだりがありました。

もうこんなときは二度と戻らないのだと思った。(略)
あの写真を見た一瞬、私はあの時間の中にいた。

私も幼かったころの我が子を思い出し
ふわっと涙が出ました。


写真って大切ですね。
幸せな瞬間の写真を見返した時
巻き戻せる感じが愛おしいですね。

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「ののはな通信」
2018年8月24日

三浦しをんさんの全編書簡形式の
小説「ののはな通信」を読みました。



高校生の文通や授業中のメモは
確かに経験あるけれど今となっては
(ましてや他人の)興味はなく
いったんは読むのやめようとしたものの
図書館の紹介文を読んで
おもしろくなるのかな
以前に読んだ作品も良かったしな
図書館の長い順番待ちの末だしな
と、読み進みました。


無音で読書するのだけど
一章では、ドラマ高校教師の主題歌
(森田童子さんのぼくたちの失敗)がリフレインします。


二章では、ののとはなの再会があり
会えなかった時期の恋や様々な経験と
近況を手紙で語りあいます。
そして、大きな転機を迎え
連絡を取り合わないことを決めます。


三章で手紙はメールになります。
ののが亡くなった愛おしい人の
思い出をかくうちに
「文章って、変なものですね。
過去やあの世とつながる呪文みたい。」
文字にすることで偲ぶことも供養ですね。


はなが「ひとが手にすることのできる
最もうつくしいものは、
宝石でもお花でもなく、記憶なのです」と
若い日の二人を懐かしく振り返ります。


ののが「記憶が私たちを生かす糧」と
決して後ろ向きな意ではなく
愛し愛された記憶が人を前進させると語ります。


最終章では、宮崎駿監督映画の懐かしく
清らかな曲(手島葵ちゃんが歌う)が
耳の奥でリフレインしました。


自己評価が低く他力本願だった
はなの成長は力強く
年月が人をかえる感じと
それでいて縁のある人とは
また繋がれるものなのだと希望が持てて
終盤はとても感動していっぱい泣きました。


若い頃のひかり
歳を重ねて研磨されてゆき放つひかり
きっとあるよね、
そう思える一冊でした。

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「ブルーハワイ」
2018年8月20日

夏らしい表紙の青山七恵さんの
「ブルーハワイ」を読みました。



独立した六つの短編小説は
教師と教え子、同僚の女性、母娘、
姉妹、女友達、従妹、祖母と孫
などなどの女性特有のどこか
時に神経質だったりするあるあるが満載でした。


「ミクラ―シュの日」という小説が好きでした。
長く付き合っていて気のあう友人は
一番一緒にいてラクチンなはずなのに
旅先で喧嘩してしまう感じ
わかる、わかるのです!


楽しい旅になるようにと最初は
お互いにいい意味で緊張しているんだけど
旅も終盤に近付くとだんだんと
苛立ちが積もってきます。
で、喧嘩のきっかけもなんだかわかるのです。
暑さ寒さは人によって違っていて
そういうことで突発的に我慢できず衝突しちゃいます。


異国の地で孤独や恐怖もあって
さらにさらに過去にさかのぼって
ひっかりを自分でみつけては積もらせてゆきます。
主人公の胸の内には負の感情が渦巻くのです。


けれど、だんだんとクールダウンしてゆくと
反省もします。
寂しい気持ちになった時、あの子がここに
いてくれたらなと考えます。
で、おしまいには「走れメロス」をちらっと思いだした。


夏らしい表紙って思ったけどこれ水着じゃなく下着ですね。



裏表紙で気づきました(^_^;) 。

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「エンディングドレス」
2018年8月15日

蛭田亜紗子さんの「エンディングドレス」は
この時期に読むのにふさわしいお話でした。



最愛の人をなくした主人公の麻緒は
絶望感の中で自殺する準備を進めています。


ひょんなことから死に装束を作る
終末(決して週末ではない)洋裁教室に
通い陽気な3人のおばあさんトリオの
おリュウさん千代子さんしのぶさんと
一緒にエンディングドレスを
縫うための課題に取り組みます。


戦時中にはたちを迎えた千代子さんは

「娘ざかりのいちばん輝いていたころ、
わたしは着飾ることがいっさいできなかった。
せめて死に装束はとびっきりお洒落をしたいと思って(略)」

千代子さんの思い出が
せつなくて大泣きしました。
戦争中に青春時代を過ごした多くの女性が
経験されていることと思われます。
千代子さんの母親が浴衣だけはと
とってあったというその親心にも大いに泣きました。


『自分以外のだれかのための服を
つくってください』の章でも
千代子さんの優しさにキュンと泣かされました。


おリュウさんが最期の装いに選んだのは
真っ赤なビーズ使いのドレスで
それは、おリュウさんの好きな花に
囲まれた時にとてもひきたつ衣装でした。


主人公の変化していく様がとても手ごたえがあって

「服を一着完成させるごとに、
わたしはばらばらになった自分のパーツを
縫い合わせるように立ち直っていた」

というセリフが心に残りました。
主人公が人と接し交流することで
少しずつ再生していきます。
読後は爽やか気分になれました!

平和を意識することが多い
この時期にちょうどこの小説に
出会えたことに感慨深い思いでいます。
終戦記念日の今日、二度と戦争が
起こりませんようにと強く祈ります。


女性が自由に装うことができる
今の時代はとても幸せだと感謝します。
そして、ハレの日に花嫁様の
お手伝いができることは誇らしく
さらに丁寧に大切にと心から思いました。

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