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「しゃぼん玉」
2019年7月26日

乃南アサさんの「しゃぼん玉」は帰る家も
頼る家族も仕事も友人もなく恋さえもしたことがない
絶望感のみで生きている青年が主人公です。



我が身を「何一つ持たず、ただ漂って
生きているだけの、やがてパチンと
消えてしまうしゃぼん玉」と感じており

「着地したら消えてしまう」
「人とかかわると消えてしまう」と
逃げることしか考えていない青年が
その日に帰る場所と洗濯された衣類、
上等ではないけど何だか心地いい寝具、
そして、自分を頼ってくれる人、
笑顔になって欲しいと願う人との出会い、
心のこもった食事をとることで
徐々に変わってゆきます。

 

田舎の情景描写も美しいことでした。
ことさら、水の音が臨場感を持って描かれていて
青年の荒んだ心にあたたかいものをもたらします。
例えば、田舎の家の雨音に耳を澄ませて
そのうち、雨音を楽しい嬉しい愉快と感じ
自分の中にこんな感情があったのだと驚く。
そんなことを考えながら眠りについた日は
きっといい夢がみられるんだろうなぁなんて
読み手も幸せなキブンになれます(*^▽^*)。

 

想像通りの展開でしたが、エピローグでは泣きました。
人は、誰かに愛されている、
誰かに必要とされているという思いで
希望を持って生きられるというメッセージをうけとりました。
方言があるからこその人物の個性を
想像できて読みやすかったです。

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「ふたたび蝉の声」
2019年7月23日

内村光良さんの「ふたたび蝉の声」は
何気ない日常や思い出の振り返りのような小説でした。



過去と現在を行ったり来たり
そこに、親が老いていく時の寂しさや
家族の病のことなども描かれています。

 

臨場感がすごくあってウッチャンって
いったいどんだけ数多くの経験してるんだろか?
と、感じました。
もちろん、小説がすべて作家自身の
実体験などとは思ってはいないけれどね。

 

ウッチャン本人が

知り合いの誰かと誰かを足して創った人物もいれば、
まったくの想像で創った人物もいたり……。

と語っていました。

 

舞台俳優の進をとりまく人々が
オムニバス形式で主役になり
場面が次々入れ替わります。
終盤、大泣きした章があって
(ネタバレになっては
いけないのでかけませんが)
ああ、理想の来し方行く末だなぁって思えました。
素朴な文章が読みやすかったです。

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「ひと」
2019年7月19日

「ひと」は短いセンテンスで読みやすく
大泣きはしなけれどウルウルしながら
あっという間にスイスイっと読めました。



健気で人が良過ぎて譲ってばかりの
主人公に「そんな無防備な」とハラハラしたり
いいことがあるとそろそろ嫌なことが
起こるんじゃないかとヒヤヒヤしたり
これ以上に辛いこと酷い目にあったら読めないな
なんて立ちどまることも度々あって。
けれど、目次が
一人の秋、一人の冬、一人の春、夏
なので、一人じゃなくなる、きっと
と、信じ安心して最後まで読めました。

 

悪いヤツ、嫌なヤツも出てくるけれど
イイ人が当たり前に淡々と現れる感じがいいです。
ホッとしたのは猫が苦手だった主人公が
猫をなでた描写でした。

 

ご縁が大事

「人材に代わりはいても人に代わりはいない」

ぴったりのひとに出逢うべくして出逢えると信じています。
ハートウォミング系やっぱいいですね。
初読みの作家さん小野寺史宜さんの
小説は爽やかな読後感でした。

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「思わず考えちゃう」
2019年7月16日

絵本作家ヨシタケシンスケさんの
「思わず考えちゃう」は、ほのぼのとした
あるあるがいっぱいなのです。



中でも子育ての章の共感が心地よしでした。
「川遊びでぬれちゃって裸でシートベルト」
と、いうくだりに大笑い!
で!思い出した!
我が家でも裸にランドセルあったあった!
川遊びして全身ずぶぬれの坊主が
半ズボンは履いていたけれど右手にずぶ濡れTシャツ
ランドセルを半裸の上にしょっていたっけ。
あのランドセル姿は今も鮮明に覚えています。
「裸の大将?山下画伯か??」って思ったものね。

 

『今しかないのにもったいない』は
身に沁みる言葉です。
最近、よく思うのです。
あんなに可愛くておもしろかった幼い頃を
なぜもっと大切にできなかったのだろう
いっぱい楽しめなかったのだろう
余裕なかったなぁっと・・・・・
が、エッセイ読みながら
あ!そういう後悔は自分だけじゃないんだと思えて。
あと、我が子の幼い頃のことを宝物のように
度々、思い出している感じもです。
そんな安心感が心地よしの章でした(*^▽^*)

 

ゆるいイラストも楽しいエッセイは
どこからでもお気楽に読んで良いので
忙しい時の脳味噌リフレッシュにむいている一冊です。
あ、ウチの坊主も
お、おにぎりが好きなんだなぁ(*^▽^*)

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「そして、バトンは渡された」
2019年7月11日

瀬尾まいこさんの「そして、バトンは渡された」は
音楽とご飯がなにかと良いアクセントになっていました。



一緒に食事をすること、会話することの大切さありますよね。
中島みゆきの「糸」を主人公の優子の
ピアノ伴奏で義理父が歌うシーンが好きでした。

 

優子が心に思う
音楽は心や体に入っていくだろう
というくだりがとても共感できました。
確かに、身体であっても心であっても
辛くて食事も励ましの言葉も受けとれない
そんな弱った時でも音楽に癒されること
元気づけられることってあります。

 

義理父が親になることは
未来が二倍以上になること」と。
子供を持つって苦労も増えて
心配事も二倍に増えます。
けどけど、確かにそれを超える幸せがあります。
あと成長の足跡も我が子の記憶は
鮮明さをとどめる宝で、何度思い返したって
あきることも色あせるもありません。

 

優子の結婚で反対する父親の姿に
リアルを感じます。
親も人なので無償の愛でありたいのに
「してやったのに」ってなことにもなりがちで
まぁ、どこの家もケンカしてまう
それが、普通。
家族を大切に想う愛情あればこそ
幸せになって欲しいからこその衝突。
どっちの気持ちもわかるわかる。
それを説得する婚約者
そう!結婚ってそういう努力があって
絆が深まることがあります。

 

世知辛く心が痛くなる報道が
多い昨今、善良な大人に守られている
子どものお話に和まされました。

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「マジカルグランマ」
2019年7月8日

柚木麻子さんの「マジカルグランマ」は
図書館の予約待ちの間に直木賞候補になっていました。



主人公の74歳の正子さんが先輩女優の
アドバイスでおばあちゃんらしく
外見を変えることから始まります。
自信家で自己中の正子さんの
頭は案外と柔らかく行動力もあり
SNSなんかも器用にこなすのです。

 

現実的では無い設定ではありますが
過去から現代への社会問題をからめながら
夢、存在価値を求めるサクセスストーリーです。
ご近所やお友達や家族もいい人に
囲まれていて良かったなぁって感じました。

 

年老いても成長できるんだ!
年をとることに悲観的にならず
いくつになっても
過去より未来のほうが大事
と、前向きになれるお話でした。

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「アタラクシア」
2019年7月3日

金原ひとみさんの「アタラクシア」は
登場人物の生活や行動がすべて刺激的で
暴力シーンではちょっと苦しく感じました。



恋人間も夫婦間も友人同士も
えらく難しい言葉で議論しあってて
私には経験ないなぁーと考えたりです。
ですが、相手に対して
嫌だと感じることやここが好きも
言葉にしないと伝わらないことがあって
良い関係を続けてゆくには
会話することは大事なんだと思いました。

 

章ごとに主人公が変わる長編小説で
一つ一つの章が確立していながら
それぞれの絡みかたがお見事で
登場人物達の表と裏の顔が
おもしろく描かれていました。
そして、迎えた最終章はホラーと言ってよいでしょう。

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「人魚の眠る家」
2019年6月30日

今日、6月30日は人魚の日なのだそうです。



「人魚の眠る家」は殺人もミステリーもない
新鮮な東野圭吾作品でした。

 

「心臓死と脳死」をどう受け止めるべきかを
深く考えさせられました。
我が子を事故で亡くす親の気持ちは
想像もできないものです。

 

「子供への思い」あればこその 母親の狂気、
ただ同じ立場になったとしても
とんでもない経済力がないと
このような展開にはなりようがないだろうと感じました。

 

脳死や臓器移植については
求めて知ろうとはしないことでしたが
移植医療や海外での臓器移植の問題など
分かりやすく理解出来て勉強になりました。

 

悲しく辛い話でしたが
薔薇のふくよかな香りが漂うようなエピローグは
希望が持てるものでした。

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「トリニティ」
2019年6月27日

窪美澄さんの「トリニティ」は461ページ
現代、戦後、高度成長期やバブル期と
各時代の背景の描写も細やかなドキュメント風小説でした。



三人の女性がそれぞれ懸命に生きた姿に胸打たれます。
結婚、仕事、子供、さらには恋
得た物と手に入らなかった物があって
どの道を通っても後悔はあるのだろうと感じました。

 

がむしゃらに仕事をする母親に
愛して欲しいと心が満たされていないまま
成長した子息の語りのくだりが
泣けてなけて仕方なかったです。
子息が母親の生い立ちや
仕事を得ることの難しさも知ることから
自身が母親の影響を受けていることを認め
母親を許し愛おしさも感じ
さらに誇らしく思える時を迎える。
もう涙が溢れてとまりませんでした。

 

世代交代と栄枯盛衰
女性の生き様、死に様が切ないくらい
見事に描かれていました。
2019年上半期読んだ中で1番でした。
私的オススメ本です。

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「晴れときどき猫背そして、もみじへ」
2019年6月24日

村山由佳さんの「晴れときどき猫背そして、もみじへ」は
もみじちゃんの母親の真珠ちゃん、さらには
おばあちゃんのこばんちゃんとの出逢いも綴られています。



村山さんに家の猫ちゃん達は
なんとも自由に山で遊びカエルとか
食べていてその野生っぷりにびっくりします。
母猫こばんちゃんが我が子の真珠ちゃんとの
子離れのシーンにはとても驚きました。
そして、村山さんとこばんちゃんとの
再会シーンには大いに泣けました。

 

猫は野生動物なんだから
予防接種や避妊、去勢手術で命を
コントロールしてはいけないという
当時の村山さんの同居人さんの考え方
そして、不幸な猫を増やさないために保護する
どちらの意見も猫への愛があってこそ
こういうくだりでは真顔になって読んでいました。

 

我が家のモコちゃんはもともと捨猫です。
拾った方がいてその里親に
なったのですがとにかく我が家では
溺愛して育てました。
そんなわけでモコは過保護のヌクヌクの
生活にあぐらをかき外には興味ない様子でした。

 

ところが、モコが半年の頃の予防接種に
行く日に脱走したのです。
探しても探しても見つからなくって
一晩中泣きながら探したけど
会えなくて・・・・
明け方には、一人で生きて行くことを
選んだモコの幸せを祈りました。

 

すっかり朝になって、通勤通学の時間帯
空気を震わすみたいな声が
どこからかして、それは私にしか聞きとれない声で。
ぐるっと探したら、植え込みの中から声がする
よっぽど怖い思いをしたのか呼んでも出て来なくって。
そりゃー、びびりやもんねーモコは。
走って家に帰って、好きなキャッツフードと
マタタビとを持って並べてみたところ
そうっと警戒しながら出てきたモコの
首根っこつかまえて鞄に入れて家に連れて帰ったわけです。

 

あったかいお湯で洗って乾かして
一緒にゴロンとしたこと
一生の中で一番幸せなお昼寝でした。

 

世界中のすべての猫が幸せで健康で
穏やかに暮らしてくれたらと願います。

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