「髪結百花」 | 2019年1月29日 |

泉ゆたかさんの「髪結百花」は
吉原を舞台にした髪結さんのお仕事
時代小説でした。
各章で髪を結いあげてゆく
描写にワクワクしました。
表紙は灯ろう鬢です。
花魁の艶めかしさ
着物やかんざしの華やかさを
想像するとさらに奥行きが広がるようです。
四章では、懐妊の時から
「この子が生きてくれるなら」
と、我が子のために死ぬことは
「そんな嬉しい死に方」何も怖くないと
言い切る潔い花魁の姿に感動しました。
遊郭での花魁の悲惨な境遇に
寄り添う髪結いさんの女性としての
人生もまた悲しいものです。
けれど、最終章では
登場人物すべてが好きになれました。
読み終えてこんな風に命がけで
産んでもらったんだなぁ
母親に感謝しなければって思いました。
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「愉楽にて」 | 2019年1月25日 |

図書館で順番待ちの長かった
林真理子さんの「愉楽にて」が読めました。
二人の富裕層の男性が主役で
東京、京都、シンガポールを舞台に
現代の源氏物語のごとく
優雅で甘美なことでした。
登場人物が「あ、あのIT社長のこと」や
「きっと、あの会社ね」ってうかがい知れて
林真理子さんが実際に見聞きしていることを
元に構築しているんだろうと感じました。
そして、女性を値踏みするごとくな
お化粧や服装、雰囲気なんかの描写がさすがでした。
いくつになっても甲斐性があれば
恋ができるというメッセージを受け取った思いです。
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「本日は、お日柄もよく」 | 2019年1月21日 |

機を逸して読めていなかった
原田マハさんの「本日は、お日柄もよく」
この度、ご縁あって読みました。
お話に登場するスピーチを読む度
言葉や文章の美しさ
力強さに心を揺り動かされました。
言葉の魔力って、なるほどです。
言葉の持つ力に魅せられた主人公が
なんていい日なんだろう、今日は。
大好きな人たちが、こうして、
集まってくれた。
私たちの、新しい門出のために。
結婚式の日のこの言葉に
今までの金澤syugenの
いくつもの感動のシーンが甦り
卒業新郎新婦様達の最高の笑顔が
思い出され、あたたかぁ~い
気持ちで読み終えました。
美しい日本語を次の時代へと
繋いでゆけたらとも感じました。
初めての古本屋さんにてのお買い物は
満足まんぞくでした。
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「リトルガールズ 」 | 2019年1月15日 |

錦見映理子さんの「リトルガールズ」に
ある思春期の頃、美しい女子友に憧れる
感じは女子の誰もが通る道な気がします。
登場人物の人間関係も複雑
それぞれの思いも複雑です。
夫が妻をすごく愛している
その表現が不思議だったりもしました。
太宰治賞とのことです。
錦見映理子さんの経歴を読んで
「校閲」さんと知り、なるほどでした。
子どもから大人までいろいろな
登場人物の目線で
めまぐるしく語り手が変わるのだけど
とても厳密に描かれていて
スラスラっと読めました。
あ、表紙の裸婦画は50代の女性です。
年末年始と案外と忙しく
なかなか一気読みは難しかったのですが
久々にイッキしました。
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「猫のお告げは樹の下で」 | 2019年1月11日 |

青山美智子さんの「猫のお告げは樹の下で」は
七つの短編からなる人情味いっぱいのファンタジー小説でした。
悩みを持つ各章の主人公が猫のミクジから
お告げをうけとります。
お告げで見えるようになるわけじゃなく
見ようとしていなかったことに
気づけるという感じなのです。
猫の描写も愛情あふれていて
神社に現れるハチワレ猫の様子を
想像することも猫好きにはたまらないことでした。
一番泣けたのは
思春期の娘を持つ父親の章でした。
我が子とコミュニュケーションが
うまくできないことに寂しさを感じ悩む父親が
家族って、電車に乗り合わせたようなもんだ。
そして
時期がきたら自然に、自分の意志で親と違う電車に乗り継いだ。
と、我が身の成長の時期を思います。
私は娘を持った経験も
父親になった経験もないけれど
どしちゃったんだろうってくらいに泣けました。
七つのお話は、おしまいで
主人公の気づきと前向きに歩む姿に
ホッコリあたたまれます。
好きな言葉があって
「神の見えざる手で必要な人のところに渡るようにできてるものよね」
「えにし」ということに思いをめぐらせ
まわりにいる人にあらためて「感謝の思い」を
言葉にしたくなりました。
「猫」がタイトルに入っていたから
借りたのですがハートウォーミングで
幸せになれるオススメ本です!
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「フランス座」 | 2019年1月7日 |

ビートたけしさんの「フランス座」は
装丁が洋菓子のパッケージ
(昔の資生堂パーラーの箱っぽい)
のようにきれいです(*^▽^*)
お父さんの話はテレビで何度も
聞いたことあるエピソードでしたが
それでも笑いました。
子供が大学に行っておらず
ストリップ劇場でバイトしていることを
知りながらもお母さんが、ずっと
私立大学の学費を払い続けていたり
こっそり大家さんに家賃をおさめていたり
さらに小遣を渡すくだりでは
ホロリと涙が出ました。
母親の愛情の深さには胸うたれますね。。。
「師匠に出会って、俺は一生の夢を拾った」
下積時代の自伝的私小説は
昭和ならではの粋も感じました。
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「となりの脳世界」 | 2019年1月2日 |

村田沙耶香さんの「となりの脳世界」は
あるあるがいっぱいのエッセイです。
芥川賞作家の作品ってどうも
その文学的な言いまわしに
疲れることが多いのだけど
スラスラサクサク読めます。
二人きりで遊んだことのない女性と
温泉に入った時、その人がお腹を
隠していたからつられてお腹を
隠す話はゲラゲラ笑いました。
「彼女が懸命に隠している部分を
丸出しにしているのが恥ずかしかった」
「彼女がおでこを隠していたら、
おでこを隠していた」と言うのです。
とても可愛らしい女性なのでしょうね。
昔使った歯ブラシとデートする妄想話や
旅行に行く時にあの袋と探す話
日常の瑣末な事柄も
村田さんが書くとおもしくなるようです。
速音読していると度々、吹き出して
ヘロヘロな音読になります。
共感できることも
理解しがたいこともあったけど
ほんわかしていて女性にオススメです。
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「ポストカプセル」 | 2018年12月25日 |

折原一さんの「ポストカプセル」は
15年遅れで届いた手紙をめぐるミステリーです。
ラブレター、遺書、礼状、脅迫状、
受賞通知、待ち合わせの連絡など
15年前の手紙が引き起こす
波紋を描いた一話完結小説です。
が、なんと最後にすべてが繋がり
謎がしっくりおさまるのです。
なので、一気に読まないと結末章で
わからなくなります。
図書館から借りた本が
今、手元にちょうど10冊
年末年始は図書館のお休みもあるから
貸出期間が長くて嬉しいなぁです。
私も人並みに師走でせわしなく、
なかなかゆっくりとは読めないから
この時期はエッセイを選んで
お正月は頭がこんがらがりそうな
長編小説を一気読みしてやるんだ!
うん!そうしよう!
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「ツキマトウ 警視庁ストーカー対策室ゼロ係」 | 2018年12月19日 |

真梨幸子さんの「ツキマトウ
警視庁ストーカー対策室ゼロ係」は
ストーカーをテーマにした連作ミステリーです。
自身は被害者と思っているけれど
実は加害者だったりします。
加害者と被害者が紙一重って
言うのが怖いのです。
登場人物の心情や行動がとにかく
変わっていて理解しがたいものが
多かったのですが
「嫉妬と羨望の違い」は
ふうむ、なるほどでした。
昭和歌謡の「キャンディ」の
歌詞の解釈は、えー?そんな!
っと、びっくりです。
原田真二さん、可愛くて爽やかだったから
そんなエロテックでおどろおどろしい
内容だなんて思いもしませんでした。
人間関係が絡まりまくって
時間軸も飛びまくり
一気読みしないと見失ってしまう感じで
頭の体操になったはず(*^▽^*)。
ラストでどんでんもあります。
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「お別れの色」 | 2018年12月13日 |

図書館が2週間の調整期間で
ちょっぴり寂しかったものだから
休館明けはなんだかソワソワして
湿度をたっぷり含んだイチョウの
落ち葉で足を滑らさないように
気をつけながら走りました。
予約の本とお休みの間の新刊も
借りれて嬉しいなぁ
っと、外に出たら降っていて
傘を持たずに来てしまったから
図書館のティールームで
お茶して待つことにしました。
借りたばかりの本とハーブティで
過ごす時間なんと贅沢なことでしょう^^
吉本ばななさんのどくだみちゃんとふしばな
シリーズは毎回、読んでいます。
今回の「お別れの色」は愛犬との
別れの気配を感じるお話が
愛情深く綴られていました。
日常の中で寝たきりのワンちゃんに
見つめられて、見つめ返す時
その目に映し出される魂の姿しか見えていない。
もう、愛おしくていとおしくて
しかたないという感じで
人間同士だとなかなか叶わないですよね。
崇高な愛情です。
明日にも死ぬかもしれないっていう
ワンちゃんのためにふかふかのベッドを
用意して早く寝かしてあげたい
と思いながらつくのがこわい気もして
いつも犬と歩いた道をゆくという
くだりはもう大泣きです。
切々と静かな文章で丁寧に
心のうちが描かれていて
ほのぼのするエッセイでした。
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