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「カケラ」
2020年8月17日

湊かなえさんの「カケラ」は美容整形がテーマで
各章でその人物から見た一人の少女の自殺についての
”事実”が口語体でつづられています。



外見の自意識や幸せの感じ方って多様で
他人にはわからない苦悩もあって当然で
どんなことも主観の問題なんだよねーっと感じました。

 

エピローグでの美容外科医の主張
「あなたというカケラがぴったり
はまる場所は、必ずあるから」はなるほどで
タイトル「カケラ」の意に納得しました。

 

イヤミス苦手でおそるおそる読み始めるも
真実が気になって二日で読み切りました。
読後の今も真実はどうもわからずで
しっくりこない思いがひっかかる・・・・・
ぁ、これがイヤミスってことか。

 

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金澤syugenは、お急ぎ婚、こぢんまり婚、
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「ファルセットの時間」
2020年8月14日

坂上秋成さんの「ファルセットの時間」は
かっては女装を楽しんでいて今は妻子もいる
34歳の主人公が16歳の見目良く歌声美しい少年に惹かれます。



女装化というだけでひとくくりにはできない
様々な人々の生きにくさが描かれていました。
女性であればマニッシュスタイルやボーイッシュも
ファッションとして公にできるのに
男性が女性っぽい装いをすることはとても大変なようです。

 

話し言葉はカギカッコで囲んでいなく
改行もされていなくて誰が話したという説明もなく
ですが、まったく混乱することなく
リズムもあって読みやすくきれいな文体でした。

 

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「奈緒と私の楽園」
2020年8月11日

藤田宜永さんの「奈緒と私の楽園」で
昭和ノワールの世界を楽しみました。



主人公の作家がずっと昔に女性のふりをして
雑誌に書いたフィクションの人生相談。
数十年後、それを手に「これは私の母です」と
母親を探す若い女性が現わるという
不思議なはじまりかたでした。
終盤、刺激的な内容へと変わってゆきます。

 

藤田作品は今まで何冊か拝読し
最近の作品であっても昭和っぽく
どこか湿度もあって懐かしさが感じらます。

 

今年お亡くなりになった藤田さんは
福井から東京、そしてパリで勤め人となり
結婚、離婚とかなり波乱万丈の人生だったようです。

 

帰国されてからは小池真理子さんと
小説家になることを夢みて同居されたそうです。
小池作品には、時折軽井沢のお家や風景が
紹介されていますがそこに藤田さんも
お住いだったのですね。
お二人が寄り添って笑う写真に
素敵なご関係だったことがうかがい知れます。

 

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「ただいま神様当番」
2020年8月7日

青山美智子さんの「ただいま神様当番」は
神様が願い事を叶えてくれるのではなく
神様の願い事を叶えなければならないというお話です。



ジャ-ジ姿の神様はちっとも威厳がなくて
人間くさくもある可愛いキャラクターです。
五つの連載短編のそれぞれの主人公に
当番がまわってきてお当番さんの間は
神様は左腕に宿っていて
その左手は時に、本人の思いとは違う
勝手で大胆すぎな行動をします。

 

神様の願いは、ワガママを言っているようで
お当番さんに気づきをもたらせてくれるものなのです。
抱える不満や悩みが次第に変化し
お当番さんが成長するといつのまにか
当番が終わっていたという
ユーモラスであったかいお話でした。

 

今作品も作者さんの猫好きが伝わってきます。
昔の人は猫の目を見て時計代わりに
したにはへぇーでした。
ウチのモコちゃんが赤ちゃんの頃
朝と夕では瞳の色が違って見えました。

 



ミニチュアアートの田中達也さん(Instagramで
フォローしています)のカバー写真も可愛いのです。

 

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「夜の向こうの蛹たちは」
2020年8月4日

近藤史恵さんの「夜の向こうの蛹たちは」は
本来なら、撫でるくらいの関係で終わるはずの
三人の女性の人生が深くからみあい
人生が大きくかわっていく心理サスペンスです。



主人公のキャリア7年の女流作家が
文壇のパーティーで話題の
美貌の新人作家と挨拶を交わします。
主人公はこの時、新人作家の作品と
本人の話し言葉とのあいだに違和感を覚えるのです。

 

新人作家には秘書がいて
主人公はその秘書に興味を持ち
会話するう秘書秘書が小説を書いて
いるのではないだろうかと考え始めます。

 

容姿が邪魔をしていると思い込む女性と
誰かに寄生しないと生きていけない女性に
疑惑の目をむける主人公。
そして、真相を知るうちに三人の関係は
意外すぎる方向に流れてゆくのでした。

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「片想い」
2020年7月31日

東野圭吾さんの「片想い」は600ページの
厚みに圧倒され我が家の本棚に積読状態。
けど、読み始めるととまらなくなって
二日続けての夜更かしをしての読破です。



表紙の「メビウスの輪」は、男と女は
裏と表ではなく、人はみな両方の面を
持ってるという象徴で性同一性障害が
大きなテーマとなっています。

 

性はグラデーションとは言い得て妙で
比率はそれぞれだけど、誰もが
男性の気質と女性の気質を持っていて
自身の中でシーンによっても男女比が変わる
そういったことを再認識しました。
ジェンダーに限らず、善人の面と悪人の面や
Sな時とMの時なども言えますよね。

 

一個だけ違和感をぬぐえなかったのは
美月の置いてきた我が子への想いです。
心にひっかかっているくらいではなく
いつも胸のうちに重たい石のような
暗雲をかかえて生きているはずで
そのへんの描き方だけはしっくりこなかったです。

 

終盤、主人公がかかえていた秘密と
スポーツマンの友情にホロリでした。
セクシャルマイノリティのかたへの深い配慮も感じました。

 

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「素敵な日本人」
2020年7月28日

東野圭吾さんの「素敵な日本人」は9つの
短編が殺人ミステリー、SF、ファンタジー、
スピリチュアル、ヒューマニティなどなど
すべて毛色の違うのです。



「今夜は一人で雛祭り」は主人公の
亡くなった奥さんがお姑さん(母親)と
うまいこと付き合っていたことを
雛人形飾りの写真を見て気づくのです。
そして、その娘は母親の真意を
感じ取りながら賢く成長し近く嫁ぐ日をむかえます。
右と左の文化のある国ならではのお話しでした。

 

「水晶の数珠」が一番好きでなお話しで
父親の愛情に泣けました。
主人公の父親が

「人間いつかは死ぬ。老衰が一番いいが、
そうでないなら癌でいい。
残された寿命を味わいながら死んでいくのも悪くない」

病気を怖がらずに受け入れて丁寧に生きてゆくは理想ですね。
能力が親族に受け継がれるという設定は
「ツナグ」を思い出しました。

 

登場人物の哀愁や弱さ愚かさも感じつつ
読後は前向きになれるお話達で
日本の季節の行事と他人を思いやる気持ちは素敵なことでした。

 

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「コンビニたそがれ堂花時計」
2020年7月23日

村山早紀さんの「コンビニたそがれ堂花時計」は
時を戻したい、もう一度やり直したい
と、願う人々の三つの物語です。



中学生の女の子の友情を描いた
『踏切にて』がいちばん好きでした。
人の心の中には、善だけでなくちょっとした
妬みの感情など悪の部分もあって当然なわけで、
仲良しの二人でさえも互いへの負の感情があり
それに気づいてもいます(ここが賢い!)。
友を大切に思う姿は健気で愛おしく
泣けてしかたなかったです。

 

ねここさんの着物の柄が桜、金魚、烏瓜と
季節にあわせて変わるのも楽しかったです。
ねここさんが言うように「過去はかえられない」
過去の後悔を未来に向けての糧にしなきゃね
と、思える優しい余韻が残るお話でした。

 

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「アーモンド」
2020年7月20日

ソンウォンピョンさんの「アーモンド」は
感情を持てないという障害を持った少年ユンジュのお話です。



暴力的なシーンに度々、嫌な気分になったり
ユンジュに恐れの感情もないがゆえの
行動にハラハラもけっこうありました。

 

終盤「あちゃー!」と声を上げてまいました。
ネタバレになってはいけないから書けないけど
そんな!理不尽な!って感情です。
小説を読んで泣くことや声を立てて笑うことは
あれど、叫ぶは初めてでした。

 

一章から四章へと主人公の挿絵の背景の色が
明るくなってゆくことで少年の心の成長を表現しているようです。
恋心や友情、大事なものを守りたいという
気持ちはとにかく尊いことで
明るい未来を感じさせる終わり方でした。

 

追記
ユンジュが映像と小説について思うことです。

映像の中の物語は、ただ撮られて描かれている通りにだけ存在している。
その世界に、僕が変化させられるものは何もないのだ。
本は違う。本は空間だらけだ。

ああ、そうか!私が小説を好きなのは
こういうことか!と思えました。
私が小説を読む時、モノの質感を想像したり
話し方や声質を描いたり
そういうふうに自由に脳内変化させることが
とても好きなようです。

 

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「まだ温かい鍋を抱いておやすみ」
2020年7月17日

彩瀬まるさんの「まだ温かい鍋を抱いておやすみ」は
ファンタジーも人情話もあります。
穏やかでありながら人間関係の難しさや厳しさが
描かれていて時にピリリと辛く痛みもあります。



「大きな鍋の歌」は余命わずかな友人に
不器用ながら寄り添う主人公が
友との食の記憶を通し我が人生を見つめ直します。
無骨な男牲なのだけど、友はその気質が心地よいのです。
これ相性ですね、食の記憶が友の最期の時に
幸せをもたらせたこと良かったよかった
と、ボロ泣きしました。

 

食は命の源で心を育てること。
そして、食をともにすることは
最大のコミニュケーションで
人との関係を築ける素敵な時間です。
コロナ自粛中は
「また、(以前のように)ごはん行こうね」
と、励まし合いながら生活していました。
それが、希望でもありました。

 

香り立つくらい美味しそうな活字が
胃袋を刺激するので夜の遅い時間に読むのは危険です(*^_^*)

 

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