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「アイアムマイヒーロー!」
2021年9月30日

「アイアムマイヒーロー!」は自堕落な大学生活を
送っている主人公がタイムリープして自身とは違う
小学生の姿になって過去の自分と対峙するという
ファンタジーです。
ノスタルジックな雰囲気の中に不審者や
動物虐待事件というミステリー要素も加わります。



「あの時違う道を選んでいたなら」と過去の
選択について考えることは誰にでもあると思うのです。

 

主人公の過去の自分は万能感に満ちている
自己中なガキ大将でした。
自称ヒーローの過去の我が身を「人生の
ピークはあの頃だった」と感じつつ嫌悪します。

 

友人に助けられ人とのかかわりを通し
また未来の自分からもメッセージも受け取って
自身を見つめ直す最終章が爽やかなことでした。

 

作者の鯨井あめさんは1998年生まれだそうです!
若いかたの感性って新鮮で刺激になります。

 

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金澤syugenはオーダーメイドの少人数の結婚式、
生家ご出立、挙式、フォト婚のサポートもいたします。
衣装コーディネート、オリジナルアイテムのデザイン、
和婚式の会場紹介などポイントサポートもご相談ください。
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「アフター・サイレンス」
2021年9月27日

本多孝好さんの「アフター・サイレンス」は
警察から依頼され事件被害者やその家族の
ケアをする心理カウンセラーを主人公にした連作短編集です。



自身も傷を持つ女性カウンセラーが
クライエントの痛みを理解し謎解きをしてゆくのです。
それぞれの章で意外だったり
さらなる暗い影を残すような結末が絶妙でした。

 

重い物語でありながら明るさも感じられるお話でした。
人の心の繊細なヒダが描かれている
この心理ミステリーはシリーズ化して欲しいものです。

 

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「オーラの発表会」
2021年9月24日

綿矢りささんの「オーラの発表会」の装丁は
昭和っぽいザ・メルヘンなデザインだなぁ
と思いきや、よーく見ると花束が鏡から飛び出しています。



無菌純正培養で育ったような主人公は
他人に興味がなく冷静沈着で思考がウブなのです。
両親がそんな娘の孤立を心配し
大学進学を機に一人暮らしをさせます。
最初は共感しづらいと思っていたけど登場する
人々のキャラクターがユニークで度々笑えます。
主人公が一人暮らしをして共生の意味に気づくお話でした。

 

美味しいこと、幸せなこと、楽しいこと、
誰かと一緒だからさらなる喜びってありますよね。
人との繋がりが希薄になりがちな時代
そして、コロナで人に会うこともままならない昨今です。
一人でも生きていけるけど、人と関わることで
得られる感動もあるということをあらためて思ったのでした。

 

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「みとりねこ」「ニャンニャンにゃんそろじー」
2021年9月21日

有川ひろさんの「みとりねこ」はどのお話も
猫は飼い主のことを飼い主は猫のことを思いやっていて心が温まります。



子育てを描く「シュレーディンガーの猫」は
ダメダメな夫が拾った猫の世話をきっかけに
人間らしく父親らしくなっていきます。
奥さんの性格がおもしろくてはずんでいて
夫の成長を褒めて伸ばし夫婦の仲が
深まっていく感じが微笑ましいことでした。

 

「猫の島」(この頃は有川浩さん)は以前読んだ
9人の猫好きの作家さんのアンソロジーで
「ニャンニャンにゃんそろじー」に入っていました。



この時も「猫の島」が特に大好きでした。
沖縄の空や海、自然の表現が清々しく
今回、再読でも十分に泣けました。

 

「ハチジカン」と「こぼれたび」は
映画「旅猫リポート」になっているというこでunextでも観ました。

 

どのお話の猫も魅力的で
猫に振り回される飼い主に共感しきりでした。

 

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「星々たち」
2021年9月17日

桜木紫乃さんの「星々たち」は重くて暗い
切なくもある親子三代の女性の人生模様が
昭和から平成の時代を背景にノスタルジックに描かれています。



不甲斐なくずるかったりだらしない男に
翻弄される不器用な女性。
子供より大事な愛ってのはまったく理解できず
嫌悪しかありません。
ですが、靄がかかるようなぼやっとした艶かしく
不快で不衛生な臭いまでするような世界観に
たまらなく惹きつけられるのです。

 

寒々しい空気感と幸薄い女性達の血が
時間や場所を超えて繋がる構図は圧巻でした。
決して明るいストーリーではないのに最終章では
薄明るい光がさしこみ読後感は良かったです。
やはり桜木紫乃作品が好きです。

 

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「やさしい猫」
2021年9月14日

中島京子さんの「やさしい猫」は猫ワードの
タイトルと装幀の印象からほっこりほのぼのな
ハートウォーミング系と思い読み始めたら
ズシンと重たい社会派小説でした。



事情があって在留資格が切れたスリランカ出身の
男性が入国管理局に収容されます。
男性には日本人の奥さんとその娘の高校生の義理の子供がいます。

 

入国管理局では病気になっても外部に閉ざされていて
医療を受けることができないや出身国に帰らない
(帰ると5年は日本に入国できない)限りは
収容期間に終わりがないのだというのです。
この春のスリランカ人女性の事件の報道が
ピンときていなかったのだけど今作を読んで
こういうことなら起こりうると感じました。

 

男性は良き家族と経済的な援助、そして
人との出会いにも恵まれていて弁護士さんを
立てて協力者が物証を集めてができたけど
ほとんどの場合、そういう展開にはならないそうです。

 

「やさしい猫」はシンハラ民族に語り継がれる
猫と鼠の民話なのですね。
猫と鼠はマジョリティとマイノリティの比喩では
なかったのかと高校生が語りあうシーンがあります。
シビアな問題だけど終始わかりやすく
温かみのある言葉で紡がれていました。

 

度々、追い詰められていく家族のことが
心配で夜更かしして一気読みでした。
道のりの険しさったらなかったけれど
お話の〆には素敵なサプライズもありました。

 

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「氷柱の声」
2021年9月11日

くどうれいんさんの「氷柱の声」は
登場人物達へのいっぱいの愛情が感じられるお話でした。



東日本大震災と関わった7名の20代の若者への
取材をもとに等身大の言葉で紡がれていました。
取材(著者さんも物語の主人公も)での
「その人の話したいことを聞く」という
姿勢におおいに好感が持てました。

 

著者さんは俳句や短歌が専門のようで
独特のユーモアある情景描写
そして、オノマトペの数々も可愛らしいのです。
芥川賞の候補作になる本って読みにくくって
苦手なんだけどするする読めました。
「震災もの」ではないという意味も私なりに理解しました。

 

氷が春にむけて時間をかけて溶けていくような
気持ちの変化を「氷柱の声」と表現されたのでしょうか。
明るい未来を感じさせてくれる好きなお話でした。
オススメです。

 

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「ヴァイタル・サイン」
2021年9月8日

南杏子さんの「ヴァイタル・サイン」は医療現場の
裏側を描いたちょっぴり恐怖な医療小説でした。



主人公が激務と人間関係で追い詰められ
疲弊してゆく様子に息苦しくなりました。

 

肉体労働と頭脳労働には対価が払われるが、
看護師たちの感情労働には払われていない。

患者さんからは天使であることを求められ
自身の感情をおさえなくてはいけない
医療職や介護職のかたがたには本当に頭が下がります。

 

最終章で、働き方改革や改善がすごい速度で
すすんでプライベートでも明るい兆しを
感じさせてくれてホッとしました。

 

テレビドラマで医療モノってどうも
リアル感なくて観ないのですが今作は
現場を知り尽くしている作者さんの筆力あって
お話に入り込んでの一気読みでした。

 

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「ブランド」 
2021年9月5日

吉田修一さん「ブランド」 はエルメスや
ティファニー、サントリーなど錚々たる
ブランドの広告の短編小説&エッセイで
今まで読んできた吉田作品からは感じ取れない
世界観や人となりが伝わって来るようでした。



吉田作品との出会いは「悪人」「パレード」で
ボウズに貸してもらって読んだのがきっかけです。
今作で神宮外苑について書いている章で

ベンチにちょこんと座り(略)
たとえば殺人を犯した登場人物のセリフや
不倫中の女性の気持ちが、ころんと頭の中に落ちてくるのだ。

そっか、今まで読んだ小説のことを思い返し
作者自身も経験のなかろうことを読み手の
腑に落とし込んでくれた言葉達はそんな風に
生み出されていたんだなぁ。

 

東京のバーを舞台にしたエッセイが
続く章があって何軒ものおしゃれそうなバーが
出てきてどんな感じなんだろうって店構えとかを
想像するのも楽しかったです。
あ、この中でウェスティンホテルのバーで
飲んだことありますヾ(*・∀・)/。

バーで酒を飲むという行為は、
どこか本を読むのに似ている(略)

これすごーくわかります。
好きだったはずの作家さんなのになんだか
今日はページがすすまないということもあります。

 

エッセイで吉田さんがお酒を飲まない
女性にはがっかりするって書かれてあって
思わず「呑めます!たらふくいけます!」と
挙手でこたえたいキブンでした。

 

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「星のように離れて雨のように」
2021年9月2日

島本理生さんの「星のように離れて雨のように」は
傷を負っている人の繊細な心の動きを丹念に描いた小説でした。



宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」と並行し話は進み
どこかミステリーを読んでいるような趣もあります。

 

コロナ禍を背景に人生の岐路に立つ
女子大学院生が主人公です。
父親の失踪や親族との辛い記憶が深い
心の傷になっていてその囚われがあっての
生きづらさをヒリヒリ感じるのです。
甘やかさと辛辣さが交互に襲ってきて
読んでいて苦しくなることもありましたが
言葉の柔らかさで読み進めます。

 

他人と関わることで自分が見えて
くるってことがあると感じました。
少しずつ明るく温かい方へ進んでいく終盤にほっとしました。

 

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