金澤syugen
金澤syugen オフィシャルサイト
オフィシャルサイトはこちら 金澤syugen オフィシャルサイト
最近のエントリー
最近のコメント
アーカイブ
ブログ
 
「天使の柩」
2017年1月19日

図書館で借りた村山由佳さんの
「天使の柩」を読みました。 



母親から捨てられ、
育ての祖母からはあらゆる虐待を受け
父親からも見放された
中学生のハーフの少女は
祖母に「おまえは売女になる」言われ続け
自分は醜くいやらしくと思い育ちました。


自分より弱い存在に向けてうっぷんをはらす大人、
子供には何を言ってもいいと思っていて
残酷な言葉を平気で吐く大人、
読んでいて、こんな大人っている
と、自分が子供側に立った意見が自然に溢れだしました。


ある日、主人公の少女がよその家の台所に立ち
こんなことを思います。

どれも古くて質素なものばかりなのに、
みすぼらしい感じがしないのはひとつひとつのものが
大切に使われているからなんだろう。
生まれ変われるなら、この家に生まれてきたいと願い
お鍋でもスプーンでもいい
自分の役割さえ果たしていればちゃんと存在を認めてもらえて、
本当の寿命がくるまでは捨てられる心配のない身分・・・・・。


とてつもなくせつなくなりました。
わずか14歳の少女が、自分は価値のない人間だと思い込んでいるのです。
村山由佳さんの作品をよく読むのですが
「心の傷」を描くのがとても上手です。
物語最終は、まあるくまあるくおさまって
ホッとします。




村山由佳さんとの出会いは直木賞受賞の「星々の舟」でした。



衝撃的でした。
戦争体験のある父親から「聞かされていた戦争」
ご本人がシベリアに行った折
「戦争が本当にあったこと」と衝撃を受け
「戦争を題材とした辛い話をハッピーエンドに
書きたかった」的なことを読んだことがありました。
戦争小説ではなく、戦争が描かれています。

幸福とは呼べぬ幸せも、あるのかもしれない

と、いう終わりの言葉が印象的でした。




村山さんの作品を読むといつも思います。
辛い経験がある人だから
優しさが描けるのだろうと。
不幸な出来事、禁断の恋や不倫、
辛い経験が描かれていても
嫌な気持ちのままでは終わらないのです。
新刊が気になります。

投稿者 rin5chan : 2017年1月19日 カテゴリー: 気まま図書館 | コメントはまだありません »

« メイン »

コメントをどうぞ